『猫好きのための魔導書』
初出:べったー/2019-06-16




カミュとイレブンは古代図書館の中央の部屋にいた。

本来の目的は依頼された資料の捜索で、それはあっさり見つかった。
改めてここまで来るのも一苦労だし、折角ならと、
自由時間をとって、各々興味のある分野の本を漁っていたところだ。

「カミュはどんな本探してるの?星の本?」
「ん?まぁな。」

適当に答えてみたが、実際はある本を探していた。

「(背が伸びる呪文ってのは、どっかに載ってない物か…?)」

イレブンと恋人の関係になって久しい。
キスだって、夜のお楽しみだって何度も経験してきているが、
イレブンを見下ろせないということ、それだけが今でも歯がゆい。

「イレブンは何探してんだ?」
「え?んー、特に何をっていう訳じゃないんだけど、何か面白そうな本無いかなって。旅の役に立ちそうな本とかないかなー。」

イレブンは楽しそうに本棚を見つめている。

サラリとした髪、凛とした横顔。
背表紙をなぞる指は美しい。

先にも言った通り、付き合って久しいのだが、
カミュは、イレブンの姿、声を聴く度に、惚れ直している気持ちでいる。

「(ほんと、たまんねぇな、俺の恋人はよ…)」

鈍い恋人は熱い視線に気付くわけもなく、嬉々として本を眺めていたのだが、
あ!と声を上げ一冊の本をとった。

「カミュ見て!」
「どうした?」
「『猫好きのための魔導書』だって。」
「はあ?」
「あれかな、マタタビの匂いが出る魔法とか?」
「なんだそれ。」

いつものトンチンカンな予想をしながら、イレブンは本を捲った。

「えっと…『私は猫が好きだ。猫を愛している!』だって、凄いね。猫可愛いもんね。」
「猫好きって、時々変なヤツいるよな。猫への愛情がなんか変わってるっつーか…。」
「『だが、私がどんなに愛しても、猫は私に振り向いてくれない。』猫だもんね。」
「だな。」
「『私は考えた。どうしたら猫に愛して貰えるのかを。来る日も来る日もそれを考え、そしてとうとうひらめいたのだ!』」
「へぇ。」
「『私が猫になればいいのだ!』だって!すごい発想力!」
「…何がしてぇんだ。」
「『私は持ちうる限りの知識を使い、古代図書館に通い、苦行に耐え、そしてとうとう、猫になるための呪文を発明した!』」
「え!?」
「『その呪文がこれだ。』へえ!そんなに頑張って発明した呪文を普通に本に書いちゃうんだ!えっと…すごく読みにくいけど…『アャニルスンャニンャニトコネイイワカテッナニコネ』?かな?」
「はあ?」
「だってそう書いてあるんだもん!」
「それ逆から読めばネコに」

グラッ

カミュが的確なツッコミを入れようとした時、建物が大きく揺れた。

「イレブン!本棚から離れろ!」
「え?」

ビックリして固まっているイレブンをとっさに庇い、床に伏せた。

ゴゴゴゴと地鳴りのような音がしたかと思えば、
円錐形の書斎のドアが、バンっと乱暴に閉じられてしまった。

「ちょ!」

ここのドアは確か、あれこれボタンを押したり階段を動かしたりなんだり、苦労して開けたはずのドアだ。
中に入った状態で閉じられてしまったら、どうやって出ればいいのか、カミュは冷静にそんなことを考えていたのだが、
カミュが冷静で居られたのはこの時が最後だった。

「カミュ…」
「大丈夫か?イレブン。イレブン…?え?」

腕の中で守っていたイレブンがゆっくり顔を上げた。

カミュは見を見張った。

耳だ。

イレブンの美しい髪の間から、
モフモフでフワフワの三角形の耳が生えている。

「イレブン?」
「カみゅ?」

自分は幻でも見ているのではないかと、そっとそのモフモフのフワフワに触れてみたのだが、
「はにゃん!」
と、とんでもない声を上げて、イレブンが身を震わせた。

「やら、だめ!みみ、びんかんなの!」
「敏感とか、そういう…え、マジかよ…」

もう一度触れてみる。
うん、モフモフだしフワフワである。
それに「ひゃぁん!」というイレブンの声に連動してピクピクと震える。

「イレブン…耳、生えてるぜ?」
「耳?元々あるよ!」

ド天然なイレブンが自分の、人間の耳を引っ張って見せる。
「いや、だからそれ以外にも耳がよ…これな?」
再度モフモフの耳を触れると、イレブンも恐る恐るそれに触れる。
そして目を真ん丸く見開いて、「もふもふだ!」とつぶやいた。

「かみゅ、どうしよう!耳4つになっちゃった!」
「4つとかいう以前に、それ、どう見てもネコミミだぜ?」
「え!?」

イレブンはもう一度自分のネコミミを触る。

「ほんとだ!」

もふもふだー!と言いながら自分のネコミミを触っているイレブン。
そもそも元があんなに可愛いのに、さらにネコミミなんぞ生えて、
それが可愛くない訳があるまい。

自分の耳とたわむれているイレブンは、カミュにとってとんでもなく可愛い生き物だった。

「それって自分で動かせるのか?」

うーん、と小難しい顔をして、何とか動かそうとしているらしいが、それがまた可愛い。

「あー、マジやべぇイレブン可愛すぎる。」
「もう、かみゅはいつもそうやってからかうんだから。」
「ネコミミ生えているイレブンとか激レアすぎるし、今のうちにキスしてもいいか?」

恋人から謎のネコミミが生え、ドアは閉じられて密室になっているというのに、
そんなことより何より、とにかく可愛い恋人とキスがしたくて堪らなくなった。
もっとも、部屋の外には仲間たちが居るし、イレブンが不在と解れば、この部屋まで探しに来てくれるだろうという楽観的な考えもあったので、そこまで考えなしという訳でもなかったのだが、
このドアが開こうが開かまいが、兎に角可愛い恋人とキスがしたかった。

「ちゅーするの?」
「いいか?」
「いいよ?んッ!」

そういって目を瞑ってくれるので、カミュはありがたくキスをした。

「んッ…」

ねっとりと舌を絡め、頭を手で寄せて、息を奪うような濃厚なキスをする。
イレブンがカミュの服を掴み、体を寄せてくれるのがまた可愛い。
くちゅくちゅとまるで、子猫がせがむような愛らしさに、
カミュはそっとイレブンのネコミミに触れてみた。

「んっ!」

イレブンは少しびっくりしたようだが、ミミに触れるカミュの手を振りほどくことはなく、
ミミに与えられる緩慢な刺激を感じながら、
カミュの熱い舌に不器用に応じる。

「んっ…んっ…」

漏れる声にカミュは煽られた。
触れているミミはフワフワで、暖かい。触れる指を止められない。
絡んでくる舌は熱く、とろけそうだ。

少し息苦しそうな様子だったので、そっと唇を離すと、
つぅっと糸が引いた。

「ふあ…かみゅ…」

幼い顔は真っ赤で、目元は潤んでいる。
濡れそぼった唇はまだカミュの舌をねだっている。

「イレブン…エロすぎ…」
「だって…かみゅ、みみさわるんだもん…」
「ネコミミ触られんの好きなのか?」
「きもちい…」

カミュの理性がグラつく。
こんなにトロットロのイレブンは、久しくお目にかかってない。
これがもし宿屋の個室であれば、もう今すぐにでも全部脱いで襲い掛かっているところだ。

「個室…?今は…密室…!!」
「かみゅ…」
「いや、まて、仲間が、くるかも、しんねぇし…!」

グラつく理性を何とかとどめようと、そう考えを飛ばしてみるが、
子猫のように「かみゅ、かみゅ」と呼んでくるイレブンを見るやいなや、カミュは本能に抗うことを諦めた。

「イレブン…」
「かみゅ…」

イレブンが四つん這いでカミュの背中に胸を寄せてくる。
「かみゅ…ぼく、からだ、あついよ…。かみゅが、みみいっぱいさわったからだよ…?」
「悪い…けど…」

個室だ。そんなに寒くもない。
一応、絨毯だ。机もある。
机に手をつかせてバックなら…

「イレブン、お前も、その…気持ちよくなりたいだろ?」
「うん…」
「…今のとこドアしまったままだし…2人きりだし…」
「うん…」
「…するか?」
「うん。」

イレブンのしなやかな腕が首に絡みついてくる。

本番は久しぶりだ。

カミュは、出来上がったイレブン、見つかるかもしれないというスリル、公共の場でという罪悪感に、いつも以上に興奮した。

イレブンを立たせ、机に手を付けさせ後ろを向かせる。
流石に全裸でというわけにはいかない。
下だけ脱がして簡潔に…と、イレブンのズボンの紐を解き、ズボンと下着を下ろした。

ぴょこん、と姿を現した。

紫のコートの深いスリットの隙間から、
ふわふわでひょろりとした、尻尾が。

「え?」
「しっぽ、さわっちゃだめだよ?」
「え、つーか、しっぽ?マジ?」
「うん。」

イレブンは背を反らし、驚くカミュの顔を見て、少し得意げな顔をしてから、
尻尾をゆらゆらとからかう様に揺らして見せた。

「えへへ、しっぽ!」
「マジか…マジなのか…」

ネコミミと尻尾が生えているイレブン。

「触って良いか?」
「だめ!」
「いいだろ?少しだけ。」
「だーめ!」
「なんでだよ。」
「触られたら、きもちよくなっちゃうもん。」

気持ちよくなると言われて触らないバカはあるまい。

カミュはイレブンに断りもなく、
そのひょろひょろしている尻尾をそっと掴んだ。

「ひゃん!」

ネコミミがピクンとして、尻尾の毛が少し逆立った。

「らめ!」
「可愛すぎだろ…」
「らってきもちぃもん」
「じゃあもっと気持ちよくしてやるぜ。」
「やぁあん!」

ふわりとしたしっぽにほおずりをして、焦らすように背中をゆっくりと撫で上げた。

「ふあぁ…」

すごくいい反応だ。
カミュの腰がぐっと熱くなる。

尻尾を触りながら、背中を反らしたイレブンと、再びキスをしまくる。
形をなぞる様に、薄い体に手を這わせる。
戯れの触れあいから、前戯へと変わる。

「かみゅ…」
「イレブン…」

愛する人の名前を呼び合い、呼吸を奪い合い、
ここがどこかなんてどうでも良くなってきて、
早く繋がりたいと思う。

「イレブン…中、解すぜ?」
「うん…かみゅ…」
「どうした?」
「べっど、いきたい…」
「え?」

流石にベッドは無かったはずだ。なんといってもここは図書館なわけだし…と、思わず周囲を見渡すと、
ベッドがある。

「マジか…?」

ベッドだ。しかもキングサイズ。
イレブンが暴れ回っても落ちないだろうというほどのサイズ。

こんなに大きなものがあったら最初から気づくと思うのだが、
理性が失踪中のカミュには、何も判断つかなかった。

ただ、このどうしようもなく可愛い恋人がベッドでのセックスを所望しているのであれば、望みをかなえてやりたかった。

イレブンを抱え上げ、ベッドに放りだす。
そのまま、すぐに剥ぐように服を脱がせた。

何時もの白い肌。
それに、ネコミミに尻尾。

幼い雄を美しい脚で隠しているのだが、
さらに尻尾で器用に隠している。


カミュは自分も服を脱ぎ捨てた。
もう、絡み合っているところを仲間に見られたら、もう潔くカミングアウトするしかない。
今、何よりも大事なのは、
自分を求めているこの可愛すぎる恋人を満足させることだ。

「ほぐすぜ?」
「うん…」

カミュもベッドに上がり、まずは改めてキスをする。見つめ合って、微笑みあい、これからの行為を確かめあう。
イレブンを四つん這いにする。尻尾は座り悪そうにフラフラしている。
カミュは自分の荷物からオイルを持ってきて、手に取り温めてからゆっくりとイレブンの秘部に塗り込んだ。

「あっ…」
「久しぶりだからな、ちゃんとしねぇと。」

ぬちゃぬちゃとオイルがなる。
久しぶりとはいえ、今まで何度も経験してきたイレブンの体が、
比較的直ぐにカミュの指を咥える様になってくる。

ゆっくりと焦らすように広げていると、
尻尾が腕に絡みついてきた。

「かみゅぅ、もういいよ…?」
「まだだろ。万全を期さねぇと。」
「けど…」
「なんだよ。」
「ッ…こんなの、つづけられたら…ぼく、さきに、いっちゃう…」
「先にいってイイんだぜ?」
「やだぁ…あッ!」

カミュは得意げに、イレブンのイイ場所を掠める。

「らめッ!」
「ほら、大好きな雌になれるだろ?今日は、雌猫か。」
「や、やッ、あ、まって!」

くちゅくちゅくちゅくちゅ

「や、やああ!」

イレブンの背中が反った。

「イっちゃう、イっちゃうよぉおお!」
「イっとけ。」
「らめ、むり、むりぃ!」
「何が無理なんだよ、すっげぇ締め付けてきてるぜ?」
「きもちぃ、きもちぃい!いっちゃう…!」

髪を乱し、身を捩る。

「はぁイくっ…いくッ…!あ、あぁッ…!」

ビクンっと体が震える。
メスをキメた。


力が抜けた体がベッドに崩れ落ちる。
少し恨めしそうにカミュを見るので、思わず優しいキスをした。

「いじわる…」
「好きなくせに。」
「むぅ…」

ベッドで暫し抱き合ったが、白い指がカミュの逞しい腹筋をなぞり、その下へと伸びていった。
「…かたい?」
「硬いぜ?…触るか?」

茶化すつもりで言ったのだが、
イレブンはのそのそと顔をカミュの耳元に寄せて、小さな声で、
「なめてあげる」
と囁いた。

「いいのか?」
「うん。」

カミュはベッドに脚を放りだし、イレブンは四つん這いでカミュの股間に近寄った。

「いっぱい気持ちよくしてあげるね?」

そういって、美しい髪を手で押さえながら、
ゆっくりとすでにそそり立っているカミュのペニスに唇を寄せた。

鈴口にチュっとキスをしてから、カリをゆっくりと舌で転がす。
イレブンの小さな口には少々大きすぎるが、
舌全体を使って、雁首や筋をたっぷり愛撫してくれる。

ぴくぴくと震えるネコミミに、ゆらゆらと揺れている尻尾。
チロチロと見える不器用な舌は、まさしく子猫のようだ。

「かたいね?」
「お前のせいだぜ?硬いのが好きか?」
「かみゅのがすき。」

チュっとキスをさせると、それだけでもうはじけそうなのだが、
イレブンはまだ飽きずにペニスを舐めている。
「かみゅは、チュッてされるので、おくちにいれるのと、どっちがすき?」
「え?つーか、入らねぇだろ。」
「やってみる。」

イレブンはそっとそそりたつペニスを指でつまみ、
彼なりに精一杯に口を開けて、亀頭を咥えこんだ。

「んッ」

イレブンの口の中は熱い。
歯が当たらないよう頑張って気遣ってくれているのが愛おしいが、
眉を顰め、苦しそうに涙目になっているのが何よりたまらない。
こんな顔を見ていたら、このまま咥内に発射してしまう。

カミュは少し乱暴に小さな口から引き抜いた。
どろりと唾液が滴れる。

「あ…」
「そろそろ、中入れさせろよ。」
「くち、へた?」
「気持ちがイイから出しちまうぜ。だから、な?折角解したんだし。」

何か、不満げだったが、体が火照るような熱いキスを何度もして、イレブンを組み敷く。

「いいよな?」
「うん…」
「前からするか?」

自分で提案しつつも、気づく。
尻尾が邪魔ではないか?

「尻尾的に、バックか?」
「かみゅのかお、みたい…」
「だよな…。」

さて、どうしたものか。

「じゃあ、きじょういしてあげる!」

イレブンは楽しそうに提案をしてから、カミュをゆっくり押し倒し、
腰を跨ぐ。

「いいのか?」
「うん。いれて?」
「尻広げられるか?」
「ん…」

イレブンが自ら尻を広げてくれるので、カミュは腰を浮かせ、イレブンの秘部に、亀頭をゆっくりと挿し入れた。

「あ…」
「久しぶり何だからゆっくりいけよ?」

イレブンはカミュの腹の手を突き、ゆっくりと腰を下ろす。

肉壁を硬い熱が掻き分けていく。

「はぁッ、あぁ…」

イレブンが身を捩り、頭をふりながら、ゆっくりとゆっくりと腰を下ろす。

ぐぷん

「ああん!」

腰を下ろし終えると、熱は奥の奥を突きあげた。

「イレブン…」
「かみゅ…しゅごい…あつくて…かたくて…」

イレブンは唇を濡らし、恍惚とした表情でカミュを見下ろしている。

「騎乗位するっていったのはお前だぜ?腰、ふれるか?」
「ん…」

イレブンが細い腰をゆっくりと前後にグラインドし始める。
肉壁とペニスが擦れ合う。
カリが擦れ、扱かれる。

「イレブン…!」

ペニスの気持ちよさは勿論のこと、
ネコミミと尻尾が生えたイレブンが緩慢に、自分の上で腰を振っている様は、
かつてない興奮を覚えさせる。

ぬっぷ…ぬっぷ…

緩慢だ、しかし極上である。
まさしく扱かれていると感じる。

「かみゅの、おちんぽ…きもちぃ…きもちい…あ…」
「ああ…お前の中、すっげぇ気持ちイイぜ?」
「かたいの…いっぱいごりごりしてて…かみゅ…かみゅ…」

グラインドが大胆になる。
イレブンの内腿や尻が汗ばんできて、肌がぴったりとくっつく感覚に陥る。

「イレブン…雌いけるか?」
「さっきも…いったのに…?」

一心不乱に腰を振りながらイレブンは背中を反らし、「あん…」と甘い声を零している。
尻尾が揺れているのが見える。

「上下に動かせるか?」
「ん…こう…?」

イレブンは脚をM字に開き、腰を浮かせ、体を上下に降り始めた。
自分のペニスが愛する人の中を出だり入ったりしているのが見えて、カミュは滾り、
思わず腰を突きあげ、イレブンの奥を突きあげた。

「あぁん!」

官能的な嬌声の上げて、体を小刻みに震わせた。

「らめ…おくは…」
「ほら、腰止まってるぜ?」
「ん…」

イレブンは再び腰を上下にふる。
カミュのものから溢れてくる先走りが、秘部から溢れていて、
パンパンと肌がぶつかる音が、密室となった部屋に響いている。
男のペニスを舐るように締め付けてくる秘部に、カミュはもう臨界寸前だった。


「マジ…もっとガンガンお前のエロいとこ、責めてやりてぇ…」
「にゃぁん!」

カミュはイレブンの腰に腕を回すと、ペニスを突き上げたまま、上体を持ち上げた。
「かみゅぅ!」
「体位変えるぜ?」
イレブンが尻尾を体に挟まないよう気を付けながら、うつ伏せにさせた。

「猫なんだし、バックでいいよな?」
「らめぇ、はげしいの、いやぁん…」
「好きなくせに。」
「かお、かおみたいの!」
「とりあえず、バックでイってから、その次の体位はちゃんと顔見える様にしてやるぜ。」

カミュはイレブンの腰をぐっと持ち上げ、
リビドーの全てを発散させるべく、激しく腰を振り始めた。

ぱん ぱん ぱん ぱん

「あん、あん、あん、あん」
律動に合わせ、イレブンが嬌声を上げる。
時折、リズムを崩すように奥を突きあげ、イイ場所にガチガチのカリを擦りつけた。

「あ、あぁんッ、イくっ!」

右腕を腰引き寄せ、より奥を刺激する。

「ああッ、かみゅッ、むり、にゃぁん!」

ゴリゴリとせめてから、一度手前まで引き抜き、今度は浅い場所に擦りつける。

「そこもらめぇえ!」

強すぎる快感にイレブンが身を捩り、逃げようとするので、
更に腰を引き寄せ、左手でイレブンの可愛い乳首を弄った。

「ひゃああ!」

指で乳首をコリコリと弄ぶ。
ひっぱったり、つねったり、或いは何かのボタンのように押し込んだりすると、
イレブンは強制をあげながら、狂ったように腰をふる。

「むりッ!イク、イっちゃうよおお!」
「イっていいんだぜ?ほら。好きだろ?」
「しゅきッ!しゅきぃ、きもちぃいい!!」

秘部がぎゅっとしまり、ペニスを手放す気配はない。
器用で大好きな指に、敏感な乳首を弄ばれながら、
イレブンは送付を捩りながら、絶頂寸前に追いやられる。

「いくッ、いくいくいく!」

とどめと言わんばかりにカミュがイイ場所を激しくついた。

パンッ パンッ パンッ

「やあ、むりぃいい!らめッ!らめぇ!いく、いっちゃうよぉ!!!」

じゅぶじゅぶじゅぶじゅぶ

「イクッ!あ、にゃ、にゃあぁああああん!!」

体がビクンと震え、キツイ秘部がよりきつく締まる。
尻尾がピンと立ち、毛が逆立つ。

「ッ…!」

中の熱に、この締まり。
まだ軽く痙攣している体に、ぐっとペニスを突き上げた。

「ひぐッ!」

腰を両手でつかみ、カミュは奥の奥を激しく突いた。

どちゅ どちゅ どちゅ 

「にゃあああああ!!」

イレブンの中の奥の奥の、ゴツゴツしたところにカリを擦りつけ、
激しく腰を振った後、
びゅるるる、と熱い精子を解き放った。

「ああ!あ、あ…」

その熱の熱さに、イレブンは三度体を震わせる。
秘部はしまり、ペニスを手放さない。

「ッ…どうだ?奥の精子ぶっかけられんの…気持ちイイだろ?」
「うっ…はぁ…はぁ…きもち、いい…」

掴んでいた腰を手放すと、イレブンの体はぽとりとベッドに落ちた。

「あんッ」

弄られ、敏感になっている乳首がシーツに擦れて声が漏れる。

カミュはまだ繋がったままで、緩慢に腰を振る。
射精し少し萎えたペニスを、イレブンの中で再度育て始める。

白い尻に腰をこすりつける様にしていると、
イレブンが腰を左右に振ってくる。

「こんな刺激じゃ物足りねぇか。」
「かみゅの…あつい…きもちぃ…おせーし…」
「精子もっと欲しいか?」
「ほしぃ…かみゅ…」

イレブンはネコミミをピクピクさせ、
尻尾をピンと立てて、発情をアピールしている。
いつも以上のおねだり上手だ。

「ほんと、発情期の雌猫って感じだぜ…。」
「かみゅ…もっと、えっちしたい…いっぱいちょーだい…?」
「ああ。」

カミュが再び腰を持ち上げ、求められるままに激しく腰を振ろうとした。



その瞬間だった。



「イレブン!カミュ!」

仲間の叫ぶ声が聞こえた。
ドアが開いた。


カミュはサーっと血の気が引いた。
流石に萎える。
そして冷静に、自分たちの状況を考える。

今、俺達は何をしていた?
ネコミミが生えたイレブンと、服を脱ぎ捨て、ベッドで、
しかもあの可愛い嬌声を遠慮なく響かせ、おねだりもパッチリで、
なんといっても、奥の奥に、熱いものをぶっかけて…

覚悟をして行為を始めたとはいえ、実際にその状況に立ち会うとなれば大変なことだ。
裸で抱き合っている、というだけならまだしも、
ネコミミイレブンとバックでパコパコ、なんて、
「実は愛し合ってて」とかいう説明で理解してもらえるレベルではない。

誤魔化さねば!


「え、ちょ!え!?」

到底、誤魔化せるとは思えないが、カミュは何かを言わねば、と声を上げた。

「こ、これは、その、」

まずはイレブンの裸を隠さねば、とシーツを剥がそうとしたのだが、シーツがない。

「え?」

むしろ、ベッドもない。
ここは絨毯だ。
そして、服は着ている。

「あれ…って。おい、イレブン!?」

イレブンは自分の下で顔を真っ赤に寝転がっている。

「(どういうことだ…?っておい!?)」

ネコミミが生えていない。
状況が読めずに動揺していると、仲間たちが駆け寄ってきた。
イレブンは火照った顔をさらに赤くしながら、のそのそと体を起す。

「2人ともどうしたの!?」

ベロニカが困惑した声を上げた。
困惑しているのはカミュも一緒だが、とにかく何か説明しないといけない。

「ええっと、これは、その…急に部屋が揺れてだな…。」

慌てて繕った言い訳のつもりだったのだが。

「やっぱり?」

ベロニカが納得したような声を出す。

「あたしたちも、急に揺れたんでビックリしたのよ!それで二人の様子を見に来たら、ドアが閉まってたから、慌てて解除しに…。」
「そうだったのか…。」
「そうだったのかって何よ。」
「いや、だから、急にドアがしまって…本が落ちてきたら困るってイレブンをかばって…」
「う、うん!」

イレブンがカミュの話に乗ってきた。

「僕が本棚の近くにいたから、カミュがあわてて駆け寄ってきてくれて…」
「うふふ、カミュちゃんらしいわね!」
「大丈夫?頭とか打ってない?」

よく見ると周囲には厚い本が何冊も落ちていた。

カミュは考えた。
もしかすると、本当に頭を打ったのかもしれない。
お蔭でエロい夢をみたのかもしれない。
…だとすると、この体に残っている感覚はなんなのか、ということになるが。
だが、お互いに服を着ていて、ベッドもないという現実がきっと現実だ。

「イレブンの代わりにカミュが頭を打ったっていうことかしら。」
「カミュちゃん、グッジョブね!」
「…俺の心配もしろよ。イレブン、大丈夫か?」
「大丈夫だよ?カミュは大丈夫?」
「ああ。…イレブン、お前だけだ俺の心配をしてくれるのは…!」
「とりあえず皆無事でよかったですわ。」

仲間たちと合流し、かつ、大変な事態を目撃されずに済んだということに、
カミュは何より安堵した。

グレイグが落ちている本を書架に戻そうと拾い上げる。

「ふむ…なんだこの本は。」

見覚えのある表紙だ。

「『猫好きのための魔導書』か…。」
「!?」

カミュはビクッとした。
グレイグがパラパラと中を捲るが。

「何も書いてないぞ。」
「え?そうなの?」

マルティナが覗き込むが、ほんとね、と言っているあたり、
本当に何も書いてないらしい。

「もう戻りましょ?今夜はクレイモランの宿屋でゆっくりしたいわ。」
「そうだね…。」

お互いの無事に安堵して、一行は書斎から出る。
さすがにここらへんの魔物は敵じゃないわよねーと楽しげに先を往く女性陣の後ろをついていく。

「ね、ねぇカミュ…」

イレブンが服をツンツンと引っ張ってきた。

「ん?」
「ぼ、僕たち…さっき、部屋で…」

可愛らしい顔をかぁっと真っ赤に染めた。

「…だよな?けど、ベッドなんか無かったし、2人そろって同じ夢みてたとか…?」
「そ、そうなのかな…けど…」

イレブンは恥ずかしそうに少し俯き、カミュから顔を反らした。

「…ぼく…カミュの、感じるの…おくの方…」

「…!」
「それに、耳の感触も…」
「い、イレブン…」
「カミュ…」

さっきまでの行為を思い出す。
熱く愛し合ったあの時間は、幻だったのか?あるいは。

「後で…考えよう。」
「うん…。」


あれがなんだったのか。

真実を知る由は無かった。
例えそれが、幻だったとしても、
イレブンにはネコミミが似合い、そして、
互いに深く愛し合っているという事実に、変わりはない。

そっと手を握った。












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