紐情
初出:べったー/2018-09-18




紐情


「カミュのばか!いじわる!へんたい!わからずや!」
「なんとでもいえ!」

「カミュなんて嫌い!」

言い捨ててイレブンは走り去っていった。


「あら、カミュちゃん、嫌われちゃったかしら?」

一部始終を見ていたシルビアに茶化すように言われ、カミュは背を向けたまま膨れた。

「カミュの言い分は十分にわかるぞ?」

グレイグが理解を示してくれて、何時もの少し冷めた顔をつくってから、カミュは漸く2人の方に向き直り、シルビアに促された席へと腰かけた。

「万年雪が欲しいって?」
「ああ。鍛冶で使うとか何とか。あいつ、ほんと、鍛冶となればすぐに無茶するんだぜ?」
「まあ、イレブンちゃんの鍛冶に救われてるのは違いないけどね。戦力面でも経済面でも。」
「…。」
「とはいえ、この時間から雪原は流石に冷えるな。」

イレブンは、万年雪欲しさに、こんな夕暮れからシケスビア雪原に行きたいと言いだしたのだ。
普段は折れるカミュも今回ばかりは頑として頷かなかった。

「あいつ、この間まで38度の熱出してたんだぜ?治ったばっかってのに、こんな時間から雪山に行き拾いに行くなんて、流石にどうかしてるぜ。そりゃあいつの鍛冶の技術は予想以上だったし、助けられてはいるけどよ、そもそも慌てて作る必要はねぇだろ。明日の朝でも良いんだしよ。」

カミュは捲くし立てる様に言い放ち、シルビアがそっと注いでくれた酒を一気に飲み干した。

「この間拾って居なかったか?」
「この間拾ったのを、その熱の時に氷嚢代わりに使っちゃったのよ。」
「そうだったのか。自分の為に使ってしまったというのが余計に悔しかったのかもしれないな。」

しかし、珍しいこともあるものだな、とグレイグは首を傾げた。

「イレブンが結構強行的な移動をしようとするのはよくあることで、カミュがそれを制することもままある話だ。それでもカミュは普段、イレブンを説得するような言い方をしている印象だったのだが、今回は中々感情的だったな。」
「そういえばそうね。カミュちゃん、何かあったの?」
「別に。最近アイツ、頑固なんだよな。」
「反抗期かしら。良く解るわぁ。」
「…ゴリアテは反抗期で飛び出したままだったな。」

2人はカミュを諭すようなことも、咎めるようなことも言わない。
カミュは悶々としていた。


今回については、絶対に自分が正しいと思っている。
大事な勇者、そして大事な恋人が体調を崩すのはもう御免だ。
イレブンに拗ねられたことは何度もあるのだが、いつもは拗ねているのさえ可愛いのに、今回は割り切れない。

「(原因は、あれか…)」

カミュは溜息をつき、席を立った。

「カミュちゃん?」
「あいつマジで頑固だからな。1人でルーラされても適わねぇし、何時もみたいにちゃんと説明してくる。俺の心配性は流石に解ってるだろうしよ。」
「ああ、それがいい。お前たちの雰囲気が険悪なのは、仲間としても心配になるからな。」
「喧嘩しないようにね?イレブンちゃんも結構今はナーバスだと思うから。」
「ああ。じゃ。」


カミュは階段を上って部屋へ向かう。

時が立てばたつほどイライラは消えて行き、
ただ心苦しさだけが残る。

カミュはドアをノックした。

「入るぞ。」

イレブンの布団は山が出来上がっていた。
どうやら体育座りに布団をかぶっているらしい。
それは彼が良くする行動の一つで、拗ねているのと同時に反省の態度でもある。

「イレブン。」

ベッドのすぐ脇へ歩み寄り、もう一度名前を呼ぶと、もぞもぞと山が動き、隙間から顔がのぞいた。何だかそれは寂しそうだ。

「確認したいことがあるんだ。」
「なに?」

「俺のこと、"嫌い"になった?」

女々しいとは思いつつも、胸につっかえていたものがそれだとカミュは気付いた。
どんなに正しい理由でイレブンのワガママを却下したとしても、イレブンに嫌われるのだけは嫌だ。

「嫌いになられるくらいなら、これから2人きりででも万年雪拾いに行く。」
「…。」
「お前に嫌われるのだけはマジで勘弁だからな。」

イレブンは布団をモゾモゾと脱いだ。
お蔭で美しい髪が乱れている。


「カミュ、ごめん。あんなこと、言うつもりなかったのに…カミュのこと嫌いになるわけないのに。」

見上げてくる水色の目は悲しそうで寂しそうで、カミュは思わず額にキスを落とした。
イレブンは少し恥ずかしそうにはにかんでから、ポツリと謝った。

「ごめん。」
「俺こそごめんな。」

イレブンの腕が伸びてきて、首に抱き着こうとするので、そうさせてやりながらも、カミュはベッドに座り込み、細い体を抱きしめた。

薄っぺらい体が重なって、互いの脈さえ感じられた。
何時もより少し早めの脈動に、少し緊張しているのが解る。

「ごめんね、ワガママ言って。」
「俺こそ頭ごなしに却下して悪かった。最近、鍛冶へのこだわり、強くなったか?」
「…早く装備整えたくて。皆の命がかかってるもん。」
「けどな、その為にお前がまた風邪ひいたり体調崩したりされたら俺達としちゃ複雑だぜ?」
「ごめん。」

ラムダから雰囲気が少し変わったのは気付いていた。それより前と同じように微笑んでくれるし、仲間に気を使ってくれはしているが、一人で焦燥しているように見えた。
何処かに消えてしまいそうに感じてそれが怖くて、繋ぎ止めたい気持ちから、ずっと秘めていた思いを伝えたのは2か月ほど前のことだ。
幾らでも受け止める覚悟はあるのに、イレブンは遠慮するかのように頼り切ってくれない。

「何時でもちゃんと相談しろよ?なんつったって、相棒なんだからよ。」
「うん。」
「それに…苦しかったり、辛かったりしたら、ちゃんと恋人の胸に泣きつくこと。いいな?じゃねぇと、折角恋人になったのに、何か寂しいし。…本当に俺のことが嫌いになってるんなら別に、しょうがねぇけど。」
「そんなことない!」
「本当に?」
「ほんとに!」
「…俺のこと、好き?」
「大好き。」

イレブンが何時ものように微笑んでくれて、胸のつかえが漸くとれた。

改めて何度もキスをして、見つめ合って睦言を交わしていると、何時もの恋人の雰囲気に戻ってくる。
イレブンの目は少し甘えるような視線にカミュの下半身が疼いた。

「(これは、やってもいい雰囲気だよな…)」

イレブンの負担になると解っているので、本当は毎夜のように愛し合いたいのを我慢している。こんな日くらいねだっても良いだろう?

「イレブン?」
「ん…?」
「…セックスしても、いいか?」
「いいよ。」

カミュはベッドにどかりと座り込んで、イレブンを呼び寄せる。
それから向い合せに座らせて、キスをしてから服のベルトを指でつっついた。

「脱がせて良いか?」
「うん。」

イレブンをゆっくり脱がせていく。
上着は勿論のこと、ズボンも下着も脱がせて、すっかり裸にする。
相変わらず恥ずかしそうに隠そうとするのが可愛い。
カミュもまたイレブンに見つめられながら服を脱ぎ捨てる。

互いに何も身に着けていない状態になってから、また改めてキスをする。

「セックス久しぶりだな。」
「うん…してなかったからちょっとカリカリしてたの?」
「それもまあ、ゼロじゃねぇな。」
「じゃあ、もっと定期的にエッチする?」
「いいのか?」
「…毎日とかはしないからね?」
「流石に解ってるって。」

カミュがイレブンの腰に手を回すと、制止された。

「だめ、シャワー浴びてないから。」
「構わねぇし。」
「僕がやだ。…一緒にシャワー浴びる?」
「マジで?」
「背中綺麗にしてあげる。」

イレブンの可愛いお誘いを断る理由はない。
2人は手をつないで風呂場へと向かった。

イレブンが背中を流してくれたので、カミュもイレブンの体を綺麗にしようとしたのだが、
綺麗にしてからじゃないと触らせないというので、カミュは先に風呂を出た。

必要なものを用意してからベッドで待っていると、暫くしてイレブンが戻ってくる。

「お待たせ。」
すぐそばに座ってくれた白い肌からは石鹸の香りがする。

「丁寧に綺麗にしてきたな?」
「うん。」
「じゃあ、どこ舐めても良いよな?」
「え?ひゃああ!」

イレブンの首に噛みつくようなキスをして、押し倒してから、鎖骨や肩、脇をゆっくりと焦らすように舐める。

「やあん、まって!」
「風呂で充分覚悟して来ただろ。」
「けど、そんなところ舐められるなんて、ひゃあん!」

胸に痕を付けながら、乳首もねっとりと舌を絡める。
ちゅぷちゅぷと舐めていると、ピンク色の乳首が硬くなってくる。

「感じてんだな。」
「や、やあん!」

そのまま腹に舌を這わせ、恥骨にキスをして、カミュの愛撫を見張るように見つめている水色の目に赤い舌をチロチロ見せつけてから、
ちゅぷりとイレブンの幼いペニスにしゃぶりついた。

「だめえ!」

ダメという割には、すぐに硬くなり始める。それが恥ずかしくてダメだと言っているのだろうが、それが可愛いので止められても止められない。

ちゅぷちゅぷ
音を立てながら愛撫を続ける。

「だめ!イっちゃうよぉ!」

首をふって懇願してくるので、イかせない程度に舌で嬲りあげて口を離した。
とろりと糸が引く。

「あ、あぁ…」

半泣きの不服そうな目で見つめられて、うっかり笑いそうになる。
ああ、そうだ。不服そうな目だって膨れている顔だって、何だって可愛いんだ。

「…カミュ、いじわるする。」
「お前が可愛いから意地悪したくなるんだぜ?」
「やぁだ!」
「そんなにイきたくないのか?」
「だって…僕、すぐにイっちゃうもん…。」
「けどイくの気持ちよくて好きだろ?」
「カミュといっしょにいきたい…」
「はぁ…可愛いこと言ってくれるよな。」

一緒にイきたいとおねだりをされては、応じない訳にはいかない。

カミュは一度イレブンの体を起して、たっぷりとキスをする。
ぬちゅぬちゅと舌を絡める音に、お互い煽られていく。

見つめ合った瞳は、すぐにでも繋がりたいと訴えていたが、そういう訳にはいかない。

「イっしょにイくためには、ちゃんと準備しねぇと。」

もう少しの我慢だぜ?とこめかみにキスをしてやって、今度はうつ伏せに寝かせる。
イレブンが、そっとこちらの様子を伺ってくる。
「腰、あげる?」
「上げてもらえると助かる。無理はしなくていいぜ?」

イレブンが膝を折り、腰を上げてくれる。
さっき愛撫されていたペニスはまだ硬いままで、ぷるぷるしている。
視線を上げれば、白く美しい尻がある。

思わずキスをすると、ひゃん!と声を上げてから、だめ!とお怒りの声が聞こえた。
それらを無視して、何度も痕をつけるようなキスをしてから、
漸く秘部に軽く触れた。

「ッ、んん…」
「オイル塗るぜ?」

用意していたオイルを手に取り、しっかり温めてから秘部に宛がう。

ぬちゅぬちゅと音がする。

「カミュのゆび、感じる…」
「すげぇ、温かいな。ここもしっかり綺麗にしてきたんだろ?もうはいるかもな。」

ぬぷん

「ひゃ!」
「入るな。もう少し奥まで入れるか。」

ぬぷぬぷ

「だめ!」
「けど入れねぇと駄目だろ?解さずに俺のもん入れるわけにいかねぇし。」

もっともな事を言いながらも、中のイイ場所をあえて探る。
イレブンとセックスをしたことはそんなに多くないのだが、
いつの間にかドライでアクメをキメられる体になっていた。

コリっと掠める。

「ひゃあああん!」

自分の声に驚いたのか、近くに放置されていたタオルを引き寄せて、噛んだ。

可愛い声が聞こえなくなるのは残念だが、指をぐっと咥えこみ、腰を揺らす姿を見てしまうと、責める指を止めることなどもう出来ない。
カミュは中のイイ場所をコリコリと刺激しながら、じわじわと指を増やし、解していく。

「んッ、んんんん!!」
「指三本目だからな。」
「んんー!」
「気持ちイイだろ?もっと気持ちよくしてやるよ。」

オイルを足し、じゅぶじゅぶと音を立てながら三本の指で中を蹂躙する。
イイ場所を刺激しながら、揺れる尻にキスをする。

「んんッ!」
「オイル使いすぎたか?ここにまで滴れてるぜ。」

そう、蜜を零し始めたイレブンのペニスを空いている手で揉みし出した。

「ひゃあんん!!」

背中が仰け反り、口からタオルが落ちるほどの嬌声を上げた。

「らめらめッ!かみゅッ!やめてぇえ!!」
「どこが一番気持ちいいんだ?尻?中?ここ?」

付け根をぎゅっと掴むと体がビクンと跳ねる。

「あ、あ、」

じゅばじゅばじゅばじゅば
ぽたぽたぽた

「らめッらめぇえ!!」

口をガクガクさせて、懇談してくるので、キスと手淫は止めてやった。
その代り秘部の中のアクメポイントをゴリっと強く刺激すると、
甲高い声を上げて、啼いた。

「あっ、ああんッ!」

秘部がぎゅうぎゅうしまり、腰がビクンと跳ねる。

「はぁ…はぁ…」

体をぴくぴく跳ねさせながら、じんわり力が抜けていく。
ゆっくりと指を抜くと、体がぽすんとベッドに落ちた。

「ひどい…いっしょっていったのに…」
「イっちまったか?寸止めのつもりだったんだけどよ。」
「ッ…!」
「悪い。本当に悪気はなかったんだぜ?可愛くて指止められなくなっちまっただけで。次はちゃんと、中で一緒に行くから。お前のイってるとこ見て、もうガチガチだし。」
「…。」
「本当だって。」

白い体をひっくり返すと、イレブンの泣き顔が見えた。
キスをしようとすると、一度抵抗をされたが、それさえ遮って半ば強引にキスをすると、抵抗も止み、舌も絡んでくる。


「んッ…はぁ。」
「ちゃんと一緒にイくからな。」
「ほんとうだよ?」
「ああ。」

額にキスをしてやってから、イレブンの脚の間に体を挟み、両足を抱える。

「今日は、お口のはいいの?」
「フェラなんかされたら秒でイっちまうぜ。」

本番行為が出来ない状況で、イレブンが時々してくれる。
小さな可愛い舌が必死にこの中々自慢のサイズのペニスを舐めてくれる。
正直、お世辞でもうまいとは言えないが、愛情を感じられてカミュは気に入っている。

だが今日だけは無理だ。もう、さっきの喘ぎ声でかなり臨界が近い。

「イレブン、ちゃんと見ろよ。見える様に入れてやるからな。」
「はずかしいから、いい。」
「見てくれよ。お前のこの大事なとこに、俺の熱が収まるとこをよ。ちゃんと意識してほしいんだ。俺のちんこがガチガチなのは、お前が愛しいからだって。」
「うん…。」

イレブンに見える様に、背中をすっかり丸めるように脚を持ち上げて、イレブンのくぽりと広がった秘部に亀頭を押し付ける。
久しぶりだったが、何時ものようにくぽりと収まった。

「今どうなってる?」
「カミュの、おちんぽお尻にはいってる…!」
「どこまで?」
「さきっぽだけ…あッ」

ぬぽりと抜く。
そしてまたぬぷりと入れる。
それを何度も繰り返していると、イレブンの体は求める様にパクパクし始める。

「それ、だめ…!」
「気持ちいいか?」
「もっと、おく欲しくなる…カミュ、おくにちょうだい…」
「何を。」
「かみゅの、おちんぽ…」
「ちゃんと言えたから、奥まで入れてやるな?」

ゆっくりと押し込んでいく。

ぐぷ ぐぷ

「ふあぁあ…」

イレブンは腰を持ち上げ振りながら、カミュのペニスを飲み込んでいく。
結合部からオイルが涎のように溢れる。
奥まで押し込むと、一段と高い声が漏れた。

「あんっ」
「奥まで入ったな…相変わらずイレブンの中、すごく気持ちが良いぜ。」
「かみゅの、きもちいいよ…きもちいいところにいっぱいあたるよ…」
「ああ。お前のきもちいいトコ、全部解ってるからな。」

どちゅん と一度突きあげると、あんッと啼いた。

「はぁ…ぶっちゃけもうイけそう。」
「だしていいよ…?」
「まだだろ。お前がにゃんにゃん言ってるとこに、びゅんびゅん出してやる。」
「あぁん、もう、えっちなことばっかりいうんだもん。」
「尻でちんこしゃぶりながら、その程度で恥ずかしがんなよ。」

どちゅん

「あんッ!きもちいい!」
「もっと気持ちよくしてやるからな。」

細い腰を掴んで、ゆっくりと腰を振り始める。

ぱん ぱん ぱん ぱん

秘部の内壁に絞られるようにして先走りが溢れるのがわかる。
「こんなに気持ちよけりゃ、そりゃ出るよな…お前の中今、俺の先走りでドロドロだからな。」
「んっん、あんっ、かみゅの…!」

パンパンというピストンに、イレブンがあんあん啼く。
結合部からは、溢れ出す先走りがカリで掻きだされてくる。

「ふあ…はぁ…」

ばちゅ ばちゅ ばちゅ ばちゅ

「あぁ…かみゅの…」
「すっげ、もうドロドロ…そろそろ、いいか?」
「ん…ぼく、いつでもいける…カミュに、いっぱいおせーし出してほしい…」
「出してやるぜ?溜まってる分、全部な。」

陰嚢が疼く。
イレブンの指がカミュの二の腕を掴んだ。
「かみゅ…かみゅ…」

ぱんぱんぱんぱん

「はぁはぁはぁはぁ」
「イレブン…!」
「かみゅ…あん、あんッ」

自然と律動が早まる。
陰嚢がイレブンの柔らかい尻に当たるのも、美しい脚がじんわり汗ばむのも、細い指が必死にシーツを掴んでいるのも、
全てが愛しく、高まらせてくれる。

「あんッあんッあんッあんッ」

イレブンが胸を震わせる。
眉をひそませ、涎が溢れ唇が艶っぽく光る。

「はぁ、いくッ、いくっいくっ!」
「イこうぜ?」
「あぁん、かみゅッ!いく、いっちゃうッ、いくッいくいくッ!!」
「イレブンッ!」
「かみゅ!かみゅ!あ、あッああんッ、や、やああん!」
「イレブンっ…!」

白い体がビクンと跳ねた。

「ッ…!」

びゅるるるッびゅびゅるっ

カミュのペニスが吐精した。
中を巡る精子の熱に、イレブンが啼く。

「あぁ…あっ…はぁんっ…おせーし…かみゅの…」
「イレブン…」

カミュは繋がったままで、近くに落ちていたタオルでイレブンの汗をぬぐう。
敏感なせいかビクンと震えたが、優しく触れていると、落ち着きを取り戻してくる。

「はぁ、カミュ…きもちよかった。」
「ああ。最高だった。何時ものことだけどな。」
「うん。」

カミュは刺激にならないよう、ペニスをそっと抜く。そしてキスをした。
疲れからか反応は鈍いが、咥内は熱く、溶けそうだった。

「イレブン…」
「はぁ…はぁ…」
「やっぱ久しぶりだったし、結構シンドイよな。」
「へいき…カミュ…」

イレブンが体を何とか起こし、よろよろとカミュの下半身に指を伸ばす。
「まだ、たまってるよね…?」
「けど」
「だして…全部、ぼくのなかに…ぜんぶ、うけとめたいの…」
「イレブン…」

イレブンの愛が受け止める愛なら、カミュの愛は突き進む愛だ。

イレブンを愛する心の全てをイレブンに受け止めてもらいたい。
彼が受け入れてくれるというのなら、尚のこと。

恋人の意識が軽く飛んでいるのは解っていた。
けれども、頑張って微笑んでくれたその愛に甘えたくて、
カミュは再びイレブンを抱いた。

彼が望むように、自分が望むだけ。
全ての愛と精を、愛する人に注ぎ込んだ。




そして夜は明けた。




青白い朝日が部屋に注ぎ込む。
ベッドには身動きの取れないイレブンと、その腰を摩るカミュの姿がある。

「本当に、本気でやっちまった。悪かった。」
「ううん。いいの。ごめんね、先に意識とんじゃって。本当は最後まで」
「いいんだ。受け入れてくれただけで、マジで嬉しいから。」

イレブンは少しだけ寂しさを含んだ笑みを見せた。

「…ねぇカミュ。」
「ん?」

「どんなに…どんなことがあっても、僕はずっとカミュのこと、好きだからね。」

「急にどうしたんだよ。」
「なんでもない。」
「急にそんなこと言われると何か心配になるけどよ…それは俺も同じだ。例え何があっても。」
「ありがとう、カミュ。」
「もう少し寝られるぜ?何なら昼から出発にするって仲間に言ってくる。」
「うん…じゃあもう少し寝ようかな…体、まだ熱いから…」

そっと軽いキスをしてやると、イレブンは幼く笑って眠った。









「カミュのばか!」
「…はいはい。」

シルビアが2人の部屋の前を通ると、そんな声が聞こえて、カミュが出て来た。

「どうしたの?また痴話喧嘩?」

からかうと、ばつが悪そうな顔をされた。

「…あー…イレブンの熱が再発した。」
「あら。お楽しみの後ちゃんと服着せてあげなかったのね。」
「そりゃ、あんなに綺麗だと服着せるの勿体ないって、ちょ!?」
「やだー!朝一からオノロケね?」
「おい!」
「どうせ仲直りの勢いでお楽しみしたんでしょ?」

20近く違う大人にからかわれカミュはより不機嫌な顔をした。

「はぁ…つーことで、出発は明日以降だ。」
「今日はイレブンちゃんのパシリね。」
「ああ。早速万年雪も調達して来る。氷嚢用と、鍛冶用にな。」
「いってらっしゃい。」

カミュは逃げる様に走り去っていった。

「なんだ、今日の出発は延期か?」
「ええ。」
朝食を食べようとやってきたグレイグが状況を察した。

「全く…。イレブンの声が聞こえたと思ったが…また喧嘩か?」
「そうね。まぁ痴話喧嘩みたいなものだけど。」
「喧嘩ばかりで仲違いになったりはしないだろうな。」
「大丈夫よ。」

シルビアは笑う。

「彼らの心は、もう、離れないもの。」





紐情〔チュウジョウ〕 結ばれて離れない心。結ばれて解けぬ心。

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