スパンコールドレス
初出:べったー/2018-05-28






「はあ?」

着替えて出て来たイレブンを見て、何とか出した感想がそれだった。
本音をぐっと堪えた結果、そんな感じになってしまった。

痩躯をスパンコールドレスで包み、スリットから覗く美しい曲線は網タイツである。
ノースリーブから白い肩が見え、黒のロンググローブをしている。
しかもあのサラッサラな国宝級ヘアはより艶やかだ。
顔はばれないよう、マルティナが大会でつけていた蝶のマスクをつけているのに、マスクの下はしっかりメイクがされている。姉と姐の共作の力作だ。
首にはイミテーションの大きな青い宝石の首飾りが光っている。

「…。」
「こんなことする意味あんのか?」
「しょうがないでしょ?依頼人からのご希望なんだから!」


依頼の内容はこうだった。

依頼人はカジノの関係者。
カジノの金庫にしまってある、特大サファイアが怪盗に狙われているので護衛してほしいというのだ。
ただ、盗まれないよう警備だけしていればいいというものではないという。

というのも、以前も二度ほど、今夜と同じくパーティの夜に侵入されている。
一度目はまざまざとしてやられたのだが、
二度目は狙いのサファイヤの警備を厳重にした結果、盗まれずに済んだという。
ただ、違う問題が発生した。
怪盗はまるで腹いせのように、パーティの参加者がしていた高価な首飾りを盗って行ったというのだ。

招待客に被害が出るようなことは、観光業としては絶対に避けたい。
そこで、サファイアの警備をしつつ、本物の参加者に被害が出ないよう、
サファイアそっくりの首飾りをして、囮になって欲しいというのだ。
今イレブンが首から下げているのはその為に預かった偽物の首飾りである。


「だからって何で男が女装して参加しなきゃいけねぇんだ。」
「背が高くて、髪の綺麗な人が良いっていうから。」
「マルティナでいいだろ。それかセーニャ。」
「あたし達じゃ背丈が足りないんだって。かといって、シルビアじゃ目立ちすぎるし、グレイグなんてギャグにもならないわよ。」
「…。」

イレブンは消去法で選ばれた結果だった。
というか、髪が綺麗な、の時点でイレブンを狙っているとしか思えなかった。

「怪盗が過去に狙った獲物が、二度とも髪の綺麗な女性だったからって。」
「だからってよ。」

仲間たちが不平を漏らす間、イレブンは黙っていた。

「ま、とにかく、怪盗が捕まえられなかったとしても、
今夜を無事にしのげば良い訳だし、何とか終えましょ?ね、イレブン。」
「うん…。」

仲間たちは宿を出た。
その瞬間からイレブンに視線が注がれる。
「…。」
「ったく、物珍しそうな目で見やがって。」


カジノの入り口付近までイレブンを護送して、作戦を確認する。

「とりあえず、張り込みは夜中の0時までね。持ち場は大丈夫?」
「まぁなんとかなるんじゃないかしら?。」
「イレブン、変なヤツに絡まれたらデインしていいかなら?」
「…うん。」

イレブンは俯いたままだ。

「さっさと怪盗捕まえて、宿屋でゆっくりしましょ?」
「はい!イレブン様、お気をつけて。」

双子はやる気に満ちている。
マルティナが明後日の方向を見ているグレイグを肘で突っついた。

「ほら、グレイグ、ちゃんとエスコートして。目立つし貴賓っぽさも出るでしょ?」
「しかし、なぜ俺が…。」

グレイグが赤面し照れていることに、俯いているイレブンが気づくわけもなく、
イレブンは数歩駆け出して背を向けながら、仲間に告げる。

「大丈夫、1人で行けるし…カジノのところだよね?僕行ってくる。皆は見張りをお願いね。怪盗捕まえてね!」
「ちょ、ちょっとまってイレブン!」
「イレブン、俺は別に、嫌だといっているわけじゃ!」
「平気平気!行ってきます!」

イレブンは振り向きもせず、慣れない靴だというのに、駆けて行ってしまった。



仲間一同の間に微妙な空気が流れる。

「…完全に拗ねてたわねイレブンちゃん。」
「やっちゃったわね。っていうか、アンタのリアクションがいけないのよカミュ!」
「俺かよ!?お前らが褒めるところだろ!俺が褒めるとか…!(人前で褒められるかよ!)」
「ごめんなさい、私は、その、イレブン様の美しさに半分嫉妬してしまって…。」
「っていうかグレイグ、何で拒否したの。」
「いや、姫様、なんというか…、嫌だったわけではなく、中々重責で…!」
「何が重責よ!あんなイレブンと歩けるなんて、もう二度とないわよ?」
「全く、皆だめねぇ。誰か一人でも褒めてあげてれば…。」

発言をせず黙っていたロウに視線が集まるが、ロウもため息をつく。

「…ワシから褒められても、孫的に複雑じゃろ?」
「…だよな。」

孫の女装を褒める祖父というのは、イレブンとしても辛いだろう。

何をどう反省しようが、今更どうにもならない。
仲間たちはイレブンの努力を無駄にしないためにも、作戦の遂行を約束した。




イレブンは会場に無事に入った。
しかし、仮面をつけた貴族達が酒を飲んで談笑していたり、女が男に口説かれたりしている。
そもそもこういう雰囲気自体に慣れていないので、何をすればよいのかもわからない。
とりあえず会場の隅で立っているだけだった。


イレブンはしょげていた。
不本意の女装は、皆に大不評を買っただけだ。
しかも、カミュにまで、だ。
「…やっぱり、似合ってないよね。こんなの。」
だが、逃げ出す訳にはいかない。

「とりあえず、耐えればいいんだから。本当は目立たなきゃいけないんだけど…。」
イレブンは周囲を見渡す。
皆マスクをしてはいるが、視線を感じる。異質なものを見るような視線だ。
イレブンは自分の服装を改めて思い出す。
肩は張っているし、どう見ても男と解るだろう。パーティに一人で乗り込んできた女装男でしかない。悪い意味で充分目立っている。

「はぁ…。」

物憂げ姿が実に艶やかなことに、本人は気付いていなかった。



「独りかい?」

1人の男に声を掛けられた。イレブンより背が高い、黒いスーツの男だ。
マスクで顔は見えないが、グレイグと同じくらいの年齢だろうか。

「え、あ、はい。」
「…こういうことを聞くのは失礼かもしれないが、もしかして男の子かい?」
「…はい。」
「すまない、下らないことを聞いてしまった。男だろうが女だろうが、君は十分すぎるほど美しいよ。」
「え、」

初めて女装を褒められて複雑だが、イレブンの心が少し明るくなる。

「こんな格好、恥ずかしいんですけど…。」
「何が恥ずかしいんだい?とても似合っているよ。」
「それは」

お世辞とは解っているのだけれど、仲間のあの態度の後だったから、
そのありきたりな褒め言葉にうっかり油断をしてしまった。
というか、そもそも警戒の二文字が希薄なイレブンに、この任務は向いていなかったのだ。

「その美しい姿を見せるために参加しているわけではないのかい?」
「そ、そういう訳じゃないんですけど、その、招待されて…。」

嘘の下手なイレブンにしては頑張って言い繕った。

「と、友達にからかわれて、こんな格好しちゃって…。」
「そうか。ではその友達に感謝せねばな。美しいものを見せてもらった。」
「あ、あの」

そこまで褒められると何だか怖い。
しかし、男が遮蔽物になっているのか、周りからの視線が少し緩和されたようで、ちょっとだけ安心した。

「人目につくのが恥ずかしいなら、少し柱の陰にでも隠れて居なよ。飲み物を貰って来てあげるから。」
こういう場所に慣れていなかったイレブンにとってありがたい提案だったので、甘んじて受けることにした。

男は柱の陰にイレブンを隠してから、飲み物を取りに行き、暫くしてから戻ってきた。
「あの、僕」
「お酒は駄目だったかい?」
「え、はい、実は…。」
「ではこちらを。」
男に差し出されたのはピンク色の飲み物だ。
「これは?」
「単なる桃のジュースだよ。酒が駄目かもしれないと、両方貰って来ていたんだ。」
「お気遣いありがとうございます。」
「いいんだよ。さ、乾杯しよう?」
男がニッコリ微笑んだのにつられて、イレブンも微笑み、
チリンとグラスを鳴らして、それを飲んだ。

飲んでしまった。

それから暫く、他愛のない話をしていた。
男はイレブンの事情を探ることはなく、自分が海運業を営んでいるとか、どの町が美しかったとかそんな話をするものだから、イレブンもすっかり打ち解けてしまったのだ。

5分もすると視界がグラグラし始めた。
「あれ…。」
ふらりとすると男に支えられた。
「すみません…おさけの味しなかったのに…。」
「大丈夫かい?柱に寄りかかった方がいいんじゃないか?」
促されて、イレブンは柱に身を擡げた。
目の前に男が立ち、転ばないよう肩を抑えてくれる。

「やさしいんですね…。ごめんなさい、僕に構っちゃって、パーティ楽しめてないですよね。僕ここで大人しくしているので、楽しんできて下さい。」
「十分楽しいよ。君とおしゃべり出来て。」
「でも、」
「これからがもっと楽しいんじゃないか。」
「たのしい…?」

イレブンは虚ろな目で男を見上げた。
揺れる視界では男が口角を上げていることなんか見えやしなかった。

男はイレブンと自分持っていたグラスをウェイターに預けた。
空いた、力の入らない腕を男の首に回される。
見つめる様に言われて、マスクの奥の目を見つめていると、
男の無骨な指がイレブンの腰をなぞる。

「綺麗だ…町で見かけた時から綺麗だと思っていたよ。」
「っ…あ」
「名前は…たしか、イレブン…だったね?」
「ッ」
「覚えているよ。最初に君がこの町に来た時から。」
「う」

指がスリットの下を這って行く。
むずむずする、気持ち悪い。
しかし力は入らず、脚の間に脚を入れられて、柱に縫い付けられた。
声を出そうにも出ない。

「は…はっ…」
「太腿に当たるよ?男の子の部分がね。さぞ可愛いんだろうね?」

太腿で探るようにぐりぐりされて、腰が震えた。
同時に男の股を擦り当てられ、固いものに気付くが、叫ぶなど出来るわけがなかった。
スリットの奥を這っていた指が、ドレスの中に至り、
男がニヤリとした。

「すごいね、中までバッチリ女の子だ。早く、拝ませてくれよ。」

男がイレブンの腰を抱くように支えて、近くの給仕に声を掛けた。
「少し酔ってしまったようなんだ、休める場所はないか?」
「ええ、それでしたら空き部屋がございますので、そちらで休まれてはいかがかと。」
「すまないね。」

朦朧としているイレブンは、傍目にも気分が悪い客にしか見えなかった。
給仕に案内された部屋に入って、男はベッドにイレブンを寝かせた。

「はぁ、はぁ…」
「イレブンくん、愉しもうね。最高に気持ちよくしてあげよう。」

男はドアに鍵をして、さらにバリケードとして近くにあった木箱や机をドアの前に並べる。
それからツカツカとベッドに歩み寄りイレブンの首飾りに触れる。
「こんなものさせなくても、すぐに君と解ったよ。」
「あッ…んッ…!」
「本物の美しさを湛えた君にイミテーションなんて無駄だけれど、着飾った君とセックス出来ると思えば、悪くない小道具だ。」

男の、気持ち悪いほど器用に動く指がイレブンの肌に触れようとした瞬間だ。


ガチャガチャと金属音がしたかと思えば、あっという間に鍵が開いた。
ガタンっと乱暴な音を立ててドアが破られ、バリケードが崩れた。

開かれたドアの奥には、青い光を放つ男女7名。

天罰が下った。




セクハラ男に全ての憎しみと怒りを叩きつけてから、
カミュが真っ先にイレブンに駆け寄った。

「イレブン!」
「か、みゅ…?」
「イレブン、もう大丈夫だ。」
「…っ…。」
「イレブン?」

カミュは察した。

「カミュ、イレブンの様子は?」
男を縄で拘束しながらマルティナが様子を伺ってきたので、とっさに嘘をついた。

「酒飲まされたっぽい。先に連れて帰るぜ?」
「イレブン様、大丈夫ですか?」
「平気だろ。前もこういうことあったけど、二日酔いで済んだしな。けど、水飲ませて寝かせてやらねぇと。そいつ、頼んだぜ?」
「任せなさい!イレブンのこと頼んだわよ?」
「おう。」

カミュはイレブンを抱え、先に宿へ戻ることにした。
シルビアと目があった。どうやらシルビアは察してくれたようだ、後は何とかしてくれるだろう。
流石に、媚薬でドロドロになっているなどと、仲間に言える訳がなかった。

男にしては軽すぎるイレブンを抱えて、宿のカウンターで水を貰ってから部屋に戻った。
鍵を掛けても全く落ち着かなかったが、フェロモン出しまくりのイレブンが他の人間の目にさらされる可能性が無くなったことに、一安心した。

「イレブン。大丈夫か?」
「かみゅ…。」
「水飲んどけ?」
「ん…。」

グラスごと渡したが1人で飲める状態ではないらしい。
後ろから肩を支えてやり、口にグラスを付けてやって少しずつ飲ませた。
「っ…はぁ…。」
「少し落ち着いたか?」
「…かみゅ…。」

仮面を外してやると、頬を真っ赤に染めていた。
それも、完璧なメイクをして、すっかり女になったその女顔のままで。
「…。」
美しさに息を飲んだが、イレブンはぷいっとそっぽを向いた。
「ありがとう…へいき。もうだいじょうぶ…。」
「力全然はいってねぇけど?」
「へいき。…かみゅ、おねがい。」
「何だ?」
「…すこしだけ、ひとりに、して…。」
「なんで。」

そしてハッとする。
イレブンが仕込まれたのは酒ではなく、恐らく媚薬なのだ。
酒なら出してしまえば何とかなる。では媚薬はどうすればいい?

「お前、」
「おねがい…ひとりにして…。」
「流石にこの状況でお前一人には出来ねぇよ。」
「…。」
「つーか、恋人だろ?相手させろよ。」
「やだ。」
イレブンは力が入らないにも関わらず、カミュの腕から逃げようとするので、
カミュは潔くベッドに寝かせてやった。
「俺じゃだめか?」
「やだ!」
「何でだよ。」
「やだ…。」

イレブンはベッドにゴロリと転がって不貞腐れたようにブツブツ何か言っている。
スリットから美しい脚が見えて、うっかり目を奪われる。
あのパレードの白タイツを履きこなす脚は、網タイツも履きこなしていた。

「こんなふくも、おけしょうも、ぜんぶやだ、どうせにあわないもん。」
「何言ってんだ、」
「かみゅだって、いやでしょ?こんなぼくとなんか、えっちしたくないでしょ?」
「んなわけねぇだろ。」
「こんなことなら、いっそ…、せめて、きれいだって、いってくれたひとと」

察しの良いカミュは理解した。
あんな男についていってしまったのは、誰も褒めてくれなかった女装を褒めてくれて、
イレブンの傷ついた心に取り入ったからだと。
だからといって、他の男とした方がマシだなどと言わせて堪るか。

「恋人の前でそういうこと言えんのかお前は。」
「こいびとなら、うそでも、おせじいってほしかった。」
「お前を傷つけたことについては真面目に謝る。けどな、あの状況で言える訳ねぇだろ?」
「…。」
「俺が、どんだけ頑張って嘘ついたか、お前わかるか?」
「わかんない!」
「盗賊服だったら一発でばれるくらい腰ヤバかったんだぜ?つーか今もだし。」
「…ばか、へんたい」
「変態で結構。じゃあ、今いうぜ?本音。」
「やだ」
「やらせろ。今すぐやらせろ。服着たまま、ガンガン突かせろ。」
「…。」
「駄目か?嫌か?…嫌なら辞めるぜ?無理矢理やって傷つける趣味ねぇし。」

暫くイレブンは沈黙していた。カミュも黙っていた。
それから力の入らない体を何とか起こして、カミュを見た。

「かみゅ。」
「ん?」

この状況下でも水色の瞳は晴れ渡った空のように澄み、
少しだけ寂しそうにカミュを見つめていた。

「ぼくのこと、もう、ぜんぶ、ぐちゃぐちゃにして。ぜんぶ。なか、あついの。」

唇に齧り付いてやった。
イレブンの咥内は熱く、それだけでもうカミュは燃えた。
くちゅくちゅと唾液を混ぜ合わせる様なキスをしたあとで、

「犯しつくしてやる。」

そう言い放ってやった。

起き上がれないイレブンにとって苦痛ではない体位にせねばならない。
うつ伏せのイレブンの胸の下に枕を挟んで呼吸をしやすくしてやる。
腰は持ち上げれば何とかなるだろう。
兎に角解そうと、カバンからオイルを持ち出して、スリットを捲った。

「!?」

言葉を失う。

網タイツは解っていた。だがまさか。

「おい、ガーターベルトまでしてるって…しかも、女物の下着まで付けてんのか。」
「だって、いつものだとみえちゃうから、こっちにしろってシルビアさんが。」
「あの野郎…。」

といいつつ、たぶんカミュがイタダキマスすることを念頭に置いていたのだろうと思えば、
ありがとうございます!と心の中で頭を下げた。

「男物の時は出来ねぇけど、女物ならいけるか。」
「なに…?」
「着たままはめるからな。」

下着をぐっと横にずらし、イレブンの秘部を晒す。すでにピクピクしていた。

「あ、あぁ、カミュ…。」
「触るぜ?」
「ん…。」

イレブンの隣、顔が見える位置に安心させてやる。「ん」とキスをせがむので数度キスしてやる。
内心慌てていることもあって、何時もより多めにオイルを掬い取り、
菊間にゆっくりと塗りたくり、指でツンツンと刺激し、ゆっくりと入れる。

「あ、あ」
「気持ちいいか?」
「きもちぃ…カミュの、ゆび…。」

ぬちゅぬちゅと音を立てる。

「ガーターベルト…すげぇエロいな。」
「んっ…。」
「それだけならズボンの下につけてもばれねぇし、なぁまた今度つけてくれよ。」
「やーだ。」
「なんだよ。」

黒いガーターベルトと黒い網タイツに包囲されている白い尻と、脚の付け根が輝いている。
ぷるんぷるんと震えるのか可愛くて、指を突っ込みながらも尻にキスをしまくる。
「あんっ、だめっ」
「可愛すぎかよ。」

ぬぷり。
指を二本に増やし、焦らないようにゆっくり解す。

「かみゅ、まだ、だめ?」
「え?」
「もう、ほしいよ…。」
「駄目だろ、さすがに。」
「あぁんッ、いじわる、なんで?」
「何でって、まだ二本だぜ?せめて三本は入れてほぐさねぇと流石にな。そんなに小さくねぇし。」
「もうはいるもん。…かみゅの、まだかたくなってない?」

イレブンは力なく手を伸ばしてきて、カミュの太腿に指を這わせ、ゆるゆると腰へ向かう。
「こんなぼくじゃ、たたない?」
「んなわけねぇって言ってるだろ?」

ズボンの紐を探り当てると、その奥にあるものに触れようと紐の隙間からグローブをはめたままの指を伸ばしてくる。
「いや、もうそこガチガチだからあんまし触んな。」
「むぅ。」

指は退く気配を見せず、下着の奥でガチガチになっている熱を探っている。
恋人にペニスを撫でられながら、恋人の秘部を解す。
力みが抜け、すっかり指を咥えこんでくるようになった。
「一発いっとけ?」
カミュは指をずぶずぶと奥へ差し込み、イレブンの良い場所をコリコリ刺激した。

「ひゃぁあああん!!」

絶頂に近い声を上げて背がビクンと反った。
普段は雌イキをさせなければこんなに感度が上がらないのだが、媚薬の効果か、
性感帯がすでに目覚めきっているらしい。

「あ、あぁんッ!いっちゃうッ!」

くちゅ くちゅ くちゅ くちゅ 

「あッ、あ、あんッ!やっ、あッ!!」

秘部がぎゅっとしまり、雌を決めているのが解る。

「あ、あ…イッ…ん…。」

はぁはぁと荒く息をして、体を震わせる。
「イけたか?」
「ん…。」
艶めかしく腰を振り、溶けた目でカミュを見つめてくるので、
僅かに開いている唇にしゃぶりついて、くちゅくちゅとキスをする。

「イレブン、マジ限界なんだけどよ。」
「いれて?」
「流石にまだダメだろ。けどこのままだとマジでやばいから、先に口でいいか?」
「いいよ。」

カミュはイレブンの顔の前に移動し、ズボンの紐を解き、ガチガチに猛る雄を見せつけるように下着を下ろした。

「あ…すごい…。」

久しぶりということもあるが、それはイレブンの想定を超えた熱だった。

「お前がすげぇ可愛くて、エロいからだぜ?」
「ほんとに…?」
「ああ。しゃぶってくれるか?」
「ふぇら?いいよ?」

そういって指を伸ばしてくるのを制した。
「折角のグローブが汚れちまうぜ?」
「とる。」
「付けとけよ。腕長くて似合ってる。カリまでしゃぶってれたら、腰振るから。」
「うん。」

イレブンが何とか上体を持ち上げてくれるので、その下に枕を移動させて固定させた。

誘うような目をしながら、紅をひかれた唇から、チロリと赤い舌を見せてくるので、その舌の上に亀頭を乗せる。
小さな舌は鈴口をツンツンと刺激し、それから亀頭をゆっくり舐め上げた。
そのまま舌に促されるようにゆっくりと、小さな口に熱を捩じ込んでいく。

「うっ」
亀頭をすっぽり頬張って、しかしそれだけですでに顎が痛いのか、
うっすらと涙を浮かべている。
「苦しいよな。」
しゃぶったまま首を横に振る姿が健気で、より高まってしまう。
美しい髪を何度も撫ぜて、髪にキスをする。イレブンの苦しそうな表情が少し穏やかになったのを見計らってから、ゆっくりと腰を振り始めた。

じゅぶ じゅぶ

イレブンの唾液がドロドロと溢れて、肉棒を伝い、陰嚢に流れてくる。
深く入れるつもりはないのに、段々とカリより深く、竿の途中まで口に入るようになっていた。

がぽ がぽ がぽ

口の中一杯にしゃぶりながら、なお舌で男のイイ場所を探ろうと熱い舌が咥内を蠢く。
カミュはそれに攻め立てられるような感覚になりながらも、
腰を振りつつ、再びイレブンの秘部に指を向かわせる。
秘部はカミュの指二本をパクリと咥え、オイルをぬちょぬちょと鳴らした。

「んッ、んっ!」
「ちゃんと馴らすからな。」

オイルを足して、少し雑にはなるがしっかりとほぐす。
自分の雄を口でしゃぶり、秘部で指をしゃぶるイレブンの痴態に、
堪らない支配欲を覚え、射精感が近づいてくる。

指を少し乱暴に抜くと、体がビクンと震え、
秘部は物欲しそうにパクパクしている。
そろそろ入れても良いだろう。
だがその前に、小さな口を汚してやりたい。

「そろそろ、出すぜ?」
汚れていない方の指でイレブンの顎を持ち上げてやると、プルンと口からペニスが飛び出す。
「あ、だめ、おくち。」
「ああ。お前の頑張ってご奉仕してくれた舌の上に出すからな。」

イレブンが恍惚とした顔で口を開けて舌を出すので、
カミュはその上に亀頭を乗せて、
数度ペニスを扱き、赤い舌を目がけるように吐精した。

びゅるびゅると飛び出した白濁をイレブンは舌や口で受け止めて、
少しだけ嬉しそうに笑った。
「ん…」
「濃いよな。出していいぜ?」
口を閉じて首を横に振り、閉じた唇から僅かに舌を出して、唇についた精液を舐めた。
「普段、初心な反応ばっかな癖に、結構大胆なんだよなぁ…。」

フェラチオだって最近覚えたというのに、薬の影響とはいえ今日は文句も言わずにイラマをして咥内射精なのだから、とんでもない。
だが、今日のイレブンにはあまり不釣り合いには思えなかった。
大人の上品な化粧がされた美しい顔に、美しい髪を少し乱して、唇は愛液で汚れている。
グレーが基調のスパンコールドレスを着て、
今はスリットが捲り上げられて、ガーターベルトに黒い女物の薄い下着が丸出しになっている。
その姿は淫靡で、官能的だった。


「イレブン、そろそろ一番気持ちがイイやつしようぜ?」
コクリと頷くので、その前にキスでも、と思ったのだが、
イレブンがペロリと見せた舌の上にはまだ、白濁が残っていた。
「まだ残ってんのか。水飲んで流し込むか?」
首を横にぶんぶん振る。
どうやら味わっているらしい。
「ったく、淫乱にも程があんだろ。…今度はこっちでも味わえよ。」
パシンと尻を叩くと体が震えた。

秘部はパクパクと熱を求めているままだ。
指でグチュグチュと刺激をしつつ、淫乱な恋人が満足するくらいまでペニスを育てる。
その間、折角なので女物の下着を弄ってみる。

ガーターベルトが縦断する白い尻をゆっくり揉みしだくと、腰が揺れた。
「こういうの好きなんだな。」
女物の細い下着をペチンペチンと引っ張ったり擦りつけたりしても、ビクビクを震えた。

網タイツの中にゆっくりと指を伸ばしいれる。
「太腿やわらけぇ。」
指の腹で撫でる様に刺激すると、体をくねらせた。
「くすぐったぃ。」
「やっと飲み終わったのかよ。」
「ん…まだ、おくち、カミュのあじするよ?」
「ったく。」

ペチペチと尻に肉棒を叩きつけて、擦りつける。
「あ、あぁん、あついっ」
「熱いの好きだろ?」
「すき、カミュ、いれて。」
「その前に一回キスさせろよ。」
「うん。」

イレブンの薬は大分抜けてきているようで、自力で体を起し、
カミュの首に腕を回して、体をぴったりを合わせてたっぷりとキスをした。
イレブンがしがみ付いていてくれるおかげで、肩、背中とゆっくり撫でてやれる。
そのまま捲れあがっている尻を優しく紋で、秘部を意識させながら、
舌を絡めた熱いキスをする。

「はぁ、かみゅ、かみゅ」
「後ろから突かせろよ。」
「うん。」

イレブンは今度は四つん這いになり、挿入を待つ。
カミュは改めて下着をずらし、秘部をぐっと開いて、
再び猛った肉棒をグリグリと押し付けた。
「あ、あんッ」
「入れるぜ?」

馴らしが荒かったので、少し心配だったのだが、
思った以上にすんなり入った。
「んッ、あっ」
ゆっくりと奥へ押し込んでいく。
指が触れていなかった場所も、すっかり柔らかかった。
まだ奥は薬の影響が残っているらしい。

「はぁ…はぁ…かみゅ…おく、あついよ…」
「熱いだろ?これから一杯、滅茶苦茶にしてやるからな。」

少し乱暴に奥を一突きすると、あンッ!と一際大きな声で啼いた。
「変な声でちゃった…。」
「今日は隣もいねぇし、一杯良い声出していいからな。可愛い声聞かせてくれよ。」
「ん。」

ゆっくり引き抜いて、どちゅん、と一突きする。

「ッああ!!あんッ」

ピストンをゆっくりと速めていく。先走りが零れていくのをが解る。
ピッタリと密着している秘部と棒の隙間から、トロトロと蜜が溢れてくる。

ぐっちゅ ぐっちゅ ぐっちゅ

「ッや、あ、あ…きもちっ、かみゅ、きもちぃ」
ドレスの下に指を這わせて、健気に雄を咥えている尻を労わる。

ぱちゅ ぱちゅ ぱちゅ ぱちゅ

「んっあ、あ、…きもちい…かみゅ、かみゅ」

下着をずらされただけで、秘部に雄をねじ込まれているというのに、
イレブンは自分が置かれている状況など考えることが出来るわけもなく、
ただ与えられる快感に溺れていた。

嘘でもいいから、似合っていると言って欲しかったあの時の気持ちを、
こうして愛されることで満たしていたかったのかもしれない。

だが事実、あの時カミュは彼にしては珍しく、気の利いた言葉が思いつかない程に、
イレブンの美しさに動揺していたのだ。
そしてその美しい人がいま、自分のペニスで甘く啼いている。
それが堪らなく快感だった。

だから、もっと乱してやりたい。

「イレブン、どうだ?こんなドレス着て、恋人に後ろからガンガン突かれて。」
「はずかしッぃ…け、ど、ッ、イイっ…きもちぃ…ッ」
「俺も何時もとちょっとちげぇ風に興奮してるぜ?…乱暴にしてやりてぇ。」

カミュはイレブンの腹に腕を回して、ぐっと上半身を持ち上げた。
「ひゃぁああああああああ!!」
本来ほど力の入らないイレブンの腰がずるっと落ちて、
ガチガチのペニスに貫かれた。

「あッう、ッあああ」
「すっげぇ奥だろ?ヤバイとこまで貫通しそうだな。」
「うッ、う…」

下から、がぽがぽ突き上げると、イレブンは唾液を垂らし、髪を振り乱しながら悶えた。
「らめ…らめ…」
少し蟹股になっている内腿を強く抓むように愛撫して、
細い女物の下着から毀れているイレブンの小さな雄を軽く妻弾いた。
「ひ、ひッあッ!!」
「ここイっちまうと直ぐ意識飛んじまうからな。ここは最後の最後だぜ?」
体を撫でるのをやめ、腰を両手でぐっと掴み、
カミュは射精すべく、律動を早めた。

じゃぼ じゃぼ じゃぼ じゃぼ
「っ、あ、あ、い、いっく…!!」
「奥の奥に精子ぶっかけてやる…!」
「やぁああん!」

イレブンの手袋をはめた指が、腰を掴むカミュの腕を掴んで、軽く爪を立てた。

「イちゃう、おく、おくで、イっちゃうッ」
「何で奥突かれてイくんだよ。」
「かみゅの、かみゅの…きもちいからッ!」
「俺の何がだって?ん?」

ばちゅんっ

「やぁあああッ!!」
体がビクンビクンと痙攣した。
「俺が出してねぇのに、また雌キメたのか?」
「っ、う…」
「本当に、可愛いな、イレブン。苛めてぇなぁ…っ」

ぱちゅ ぱちゅ ぱちゅ ぱちゅ 

「あ、あ、あ、あ、」
「イレブン、おねだりできるか?」
「するっ、する、ッ」
「ほら、じゃあ、おねだりしてみろよ、な?」

じゅぷ じゅぷ じゅぷ じゅぷ 

「ほら。」
「ッ、あ、かみゅの…ッ、お、せーし、ぼくの…ッおっ、おくッにッ」
「ん?」

どちゅん

「あんッ!」
「もっかい言えよ。」
「ぼくの、おくッにッ…!か、みゅのッ…おせーし、く、くださいっ!」

カミュはイレブンの腰を両腕でぐっと下へ抑え込み、滾ったペニスで激しく突きあげた。

「ッあっ!」
イレブンは声を出す余裕もなく、体を大きく痙攣させて、
太くなり過ぎたペニスをぎゅうぎゅうと締め付けた。
「あ…あ…」
さらにぐっと押し込むと肉壁がぎゅうぎゅうと抵抗し、ペニスを締め付ける。
ぶちゅぶちゅと先走りやオイルがあふれ出てくる。

「ッ…すっげぇ、イレブン、出すぜ?」
「だしてっぇええ!!ひゃ、きゃッああぁああ!!」

ぎゅんぎゅんに締め付けられたまま数度激しき突き上げて、
小さいなりにそそり立っていたイレブンのペニスを扱き、手の中で射精させた。

「や、やッ、あ、ああんッ…!」

イレブンが女のような甲高い嬌声をあげたと同時に、
カミュはびゅるッびゅるっと射精した。

「ッ、う…」
さっき口に出したというのに、一切減っているとは思えない程の量を、
イレブンの奥の奥へ注ぎ込む。

「はぁ…ッ」
愛しい人の中を犯して、射精感と、支配欲が同時に満たされた。


イレブンは流石に疲れたのか、ぐったり崩れ落ちてきたので
射精感に浸っていたカミュは慌てて抜いて、イレブンを横にしてやった。

「はぁ…はぁ…。」
「イレブン、大丈夫か?」

さっきまで乱暴に犯していたというのに、カミュはすっかり優しい恋人の顔に戻って、
その身を案じた。秘部から精液を零れていく。
イレブンは顔を真っ赤にしながらも、幸せそうにうなずいてくれた。

「かみゅ、いつもより、はげしかった。」
「…久しぶりだったし、なんつーか…悪ぃ、盛り過ぎた。」
「おんなのこの服きてると、こうふんするんだ?」
「…男の服でも、お前なら興奮するけどな。」
「えっち。へんたい。」

そう恋人を詰りつつ、イレブンは指を伸ばしてカミュの手を握った。

「だいすき。」

お礼の代わりに、こめかみや肩にキスをしてやると、イレブンは幼い笑顔で笑った。

「かみゅ、きょう、さすがに、もうむり。」
「解ってる。無理はさせねぇよ。休んでろ。綺麗にするから。」
「うん。」

カミュはイレブンの服を脱がし、風呂に入れてやった。
セックスの後に服を脱がすなんてあまりないので、何だか不思議だった。
しかし、悪い気分じゃなかった。


仲間たちが走って戻ってきたころには、すっかり始末も済み、
イレブンは水分補給をして、
何時もの服を着てベッドに寝ていた。

焦ったようにドアがノックされて、仲間たちが入ってきた。
そうだ、そう言えば元々は仕事で警備にいっていたのだった。

「イレブン!」
「寝てる。水飲んで風呂入ったし、明日には大丈夫じゃねぇか?」
「そう。」
「で、そっちは?」

仲間たちは事の顛末を説明した。

「はあ?あの男が怪盗だったって?」
「そうなのよ!っていうか内部犯ってやつ?」
「どうやら、あの男は確かにカジノの関係者だったようなのじゃが、
怪盗というのをでっち上げて、宝石を着服横流ししていたらしい。」
「なるほどな…。」

「しかも!今回は、最初からイレブンちゃん狙いだったってわけ!」
「マジか!」

けしからん話だが、イレブンは町の犯罪者に目を付けられるほど可愛いということだ。

「…まぁ、良く考えれば依頼の内容自体、変な話だったわよね。」
「そうですわね。イレブン様ほど背が高い女性なんて中々お目にかかりませんし。」
「髪が綺麗っていうのも、何か抽象的で怪しかったわ。」

「けど、カジノの人からお礼は出たのよ?」
「マジか。イレブンが嫌々女装した苦労は水の泡にならずに済んだってことか。」
「無駄骨にはならなかったようじゃ。…救いはそれくらいじゃの。」

仲間たちは疲労感から深くため息をしつつ、一同揃って眠っているイレブンを見た。

「…そもそも、警戒心のけの字もないイレブンに囮なんて無理な話だったのよ。」
「だな。」

とりあえず、事件は解決した。
イレブンの復調を待って、旅を再開することになり、仲間たちも部屋へ戻っていったのだが、
シルビアだけがそっと一度戻ってきた。

「ねぇカミュちゃん。」
「どうした?」


「あの下着、好きにしてね?」


そう言い残し、ウィンクをして去って行った。

「完全にばれてやがる。…つーか、やっぱそこまで踏んでのことか。だよな。」
改めて可愛い寝顔を見た。
「元々可愛いんだから、女装なんかいらねぇよな?」

そうはいいつつも。

あの時イレブンが身に着けていたものは、
すでに洗濯をすませ、カバンの中にあることは、イレブンにさえ黙っておこうと、
カミュは心に決めた。






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