ねこ
初出:べったー/2018-05-20
Pixivにもあげましたが、オリジナルはベッターのため


「…あー…なぁ。」
「うん?」
「この旅が終わっても、ずっと、俺の相棒で居てくれないか?」
「いいよ?」
「けど、きっと、お前が思ってる相棒と俺が求めてる相棒は違うと思うぜ?」
「そうなの?」
「ああ。それに名称も本当は"相棒"じゃねぇ。」
「どういうこと?君の求めてる相棒って、なに?」
「それはな」




戦いが終わって、祝勝会が終わって、カミュにそう告げられて、
僕らは、"相棒"になった。

カミュは「恋人」と称したいみたいだけど、
僕は何となく恥ずかしくて、「相棒」と名乗ることにした。
向こうはちょっと不満顔だったけど、何時もみたいにしょうがねぇなって了承してくれた。

カミュの気持ちを告げられた時は、正直戸惑った。
けど、カミュと一緒に過ごす未来がすんなり思い描けたから、
僕は頷いた。


カミュにはこれから予定がある。妹さんと一緒に旅をすること。
だから、相棒とはいっても暫くは2人にはなれない。

カミュは一緒に行かないかって言ってくれたけど、
マヤちゃんからしたら兄弟水入らずが一番楽しいはずだから、流石に遠慮した。

そしたらカミュは、とりあえず1週間だけ一緒に旅をしたいといってくれて、
今は、デルカダールからクレイモランまで旅をしているところ。
思い出の場所をめぐる旅。
ホムラの里やサマディー、ダーハルーネで寝泊まりした。


僕らは…恥ずかしいけど、恋人だ。
恋人っていったら、その、アレもするんじゃないかって、
カミュに手を引かれながらそれを勘ぐってる。

知識上、一応知ってる。
男同士でも、女の子とするやつの擬似的な行為が出来るって。
ど、どこをつかうのかも、いちおう…。

けど、僕は女の子としたこともない。も、もちろん男の人とも…。

べ、べつにしたいって思ってるわけじゃないけど、
カミュがしたいっていったら、その、ちゃんと、期待に応えたい…っていうか…。

でも聞く勇気なんか無かった。
勇気を振り絞って聞いたとして、
「え、お前そういうのしたいの?」とか、
「男同士でどうやってすんだよ。」なんて言われたら…僕は消滅したくなる。
僕が知ってて博識なカミュが知らないってことはないと思うけど。

とにかく、カミュに任せることにした。
僕はカミュと時々キスするだけで十分幸せだったし、この距離感のままでもよかったから。
距離を縮めるも維持するも、カミュの自由にしてほしかった。

今回の旅は、以前と違って、この二人旅は最初からカミュが仕切ってくれてる。
宿屋を選ぶのも、部屋を選ぶのもカミュ。

だから今も、フロントで部屋をとってるカミュの背中を見つめつつ、耳を澄ませる。

「ツインベッドのお部屋ですね。空いてますよ。」
「(今日もツインベッド…。)」
今日で4泊連続のツインベッド。…べ、べつに残念がってはないよ?
むしろちょっとホッとしてるっていうか…。

レストランの無い宿屋だったから、予約をするだけして、
他のお店で食事を済ませることにしたらしい。
カミュは手を上げてフロントから戻ってきた。

「メシ食って来ようぜ?」
「うん。」

レストランでご飯を食べた後、カミュが酒場に行きたいといったので、立ち寄った。

「酒買ってくるからちょっと待っててくれねぇか?」
「飲んでいかないの?付き合うよ?飲めないけどね。」
「いや。2人だけの時間が欲しいからな。」
「…うん。」

カミュがカウンターまで買いに行ってる間、
僕は店内の柱の陰で待っていた。

そんなに長く待ってるつもりじゃないのに、何だか長く感じて、
周りの様子を伺うと、偶然、屈強そうなお兄さんと目があった。
お兄さんはハッとした顔をしてから、何だか楽しそうにこっちへ来た。

「お兄さん可愛い顔してるね。」

可愛い可愛いって、子ども扱いされるのには残念ながら慣れてた。
「可愛くないもん」というと「その反応も子どもっぽくて可愛い」って、
散々マル姉にからかわれたので、反論は止めておく。

「1人?」
「人を待ってて、」
「へぇ、彼女?」
「ち、ちがいます…」
「じゃあ彼氏か。」
「え!?」
彼氏…!?何でわかるの!?
「あ、その反応は彼氏か。へぇ…いい趣味してんねぇ。」

屈強なお兄さんの友達と思しき人も寄ってきた。

「え、なになに可愛い子見つけたんだ?」
「やべぇだろ?これはギンギンだわ。」

ぎんぎん?…か、金目のものなんか身に着けてたかな…。
思わず指だの耳だのを触る。特に装備品はつけてない。
見当がつかなくて、何時もの軽いパニック状態になってたけど、
僕の様子に構うことなく、お兄さんたちが聞いてくる。

「彼氏、こんな可愛い子おいてっちゃっていいのかねぇ。」
「あの、」
「彼氏君帰ってくるまで、どう?ちょっとくらいいいだろ?」

暇つぶしにお話しするのはありかもしれないけど、
このお兄さんたちと話が通じるのか謎だった。ぎんぎんの意味も解ってないのに。
「頭から疑問符出てるぜ?」って言われそうな顔をしてたと思うんだけど、
さらにお兄さんたちは構わず、僕に、難問を投げてくる。

「お兄さん、タチ?ネコ?」


たち?ねこ?

ねこって猫??
じゃあ たち ってなに?…あ、イタチ?

頭の中をネコとイタチがぐるぐるする。

イタチ派かネコ派かってこと?
普通選択肢としてはイヌだろうし、何か変な感じはしたけど、
冷静に考える余裕なんか無かった。理性のリングでもしてくればよかった。

イタチに良い思い出がない。
人の家のニワトリを襲って来たり、卵を盗もうとしたり、
イタチに悪気はないんだろうけど色々大変だったことがある。
ネコといえばサマディーを思い出す。ご飯食べてるネコ可愛かったなぁ。やっぱネコ派かな。

「ね、ネコ…?」


「へぇネコか。いいね。」
「背が高いのにネコなんだ。まぁ横になればあんまり関係ないしな。」

うん、ネコ可愛いよね。
猫の可愛さに身長は関係ない気がするけど、猫とゴロゴロするの楽しいよね。
お兄さんの楽しそうな声に、猫の愛らしい姿を思い出して笑いそうになるのを堪える。

「俺、バリタチなんだよね。どう?」

ばりたち?

聞きなれない単語に脳内の猫が逃げ出す。
聞き間違い?
バリタチじゃなくて、バリスタだったのかな?
デルカダールのとこに置いてあったやつ?ち、ちがうか、流石に。
じゃあコーヒー入れる人?
僕がお酒ダメなの解っててコーヒーを入れてくれるってこと?

「3人でさ、どう?」
「口だけでもいいし。」

口だけ!?コーヒーを口以外で楽しむの!?
そんなわけないか、違うんだ、きっと「バリスタ」の話じゃないんだ。

余計に混乱した。メダパニの重ね掛け状態だ。


「てめぇら、何してんだ。」


大好きな声が聞こえて、混乱が収まった。彼の声は理性のリングより効果があるかも。

「あ、」

背の高いお兄さんたちの後ろに、青い髪が見える。

「人の連れに何してんだっつってんだよ。」

何時もよりドスが効いてる。怖い雰囲気が満ちてる。

「お、彼氏君帰ってきちまったか。残念。」
「何かされたくなかったら、可愛い子をこんな場所に一人にしてんじゃねぇよ。久しぶりに楽しめるかと思ったのによ。けっ!」

お兄さんたちは舌打ちして、カミュを睨みつけて去って行った。
カミュはその後ろ姿を物凄く怖い顔で睨んで、
何も言わずに僕の腕を引いて、さっさと店を出た。

「カミュ、ごめん、僕」
「いや、俺のせいだ。悪かった。」

外はすっかり暗くなってて、人の通りもまばらだった。
僕は、カミュが助けてくれたことが嬉しくて、
でもまだちょっと震えが止まらなくて、
カミュ袖をそっと掴んだ。それに気づいたらしくて、眉を顰めて笑う。

「そういう時は、こうしてくれて構わないんだぜ?つーか、しろ。」

そう言って僕の手を握ってくれる。
温かくて、すごく落ち着いた。

「怖かったろ。」
「で、でも、大丈夫。良く解んないこと聞かれただけだったから。」
「それも大概怖いだろ。外で待たせるよりはって思ったけど、あいつらの言うように、あんなとこに可愛い恋人を1人にするとか"彼氏君"としての自覚が足りねぇよな。ほんと悪かった。」
「え」

ビックリしてカミュを見ると、さっきの睨みつけてた目とは同じと思えない程優しい目をしてた。

「あいつらに言ったのか?彼氏がいるって。」
「え!?え、えっと…否定しなかっただけで…。」
「そうか。…けど、ちょっとは嬉しかったぜ?お前が公にしてくれた感じがして。」

手だってロクに自分から握っちゃくれねぇからな、と笑う。
僕だって本当は握りたいけど、でも、恥ずかしさに勝てなくて…。

宿屋の部屋に戻るまで手を握ってた。
手をつないだままフロントに寄るのは恥ずかしかったけど、
カミュは何だか楽しそうだった。…僕も、嬉しかった。



部屋のドアを閉めると、カミュは確かに鍵を掛けてから、
すこし真面目な顔をして、すでにベッドに飛び込んでいた僕を見た。

「なぁ、イレブン。さっきの連中と話してたことなんだけどよ。」
「うん。」

「…お前、ネコなのか?」


頭の中に、猫がにゃーんと鳴く図が浮かんだ。
猫は好きだけど、別に僕が猫なわけじゃない。

「え、そ、それは」

「いや、何も不都合なわけじゃなくて、むしろ都合がよすぎるっつーか」
カミュはツカツカ歩み寄ってきて、寝てる僕を組み敷くように覗き込んだ。
かっこいい顔がちょっとだけ照れてるように見えた。

「お前、そういうの全く知らねぇと思ってたし、俺はタチだから、いや、別に他の奴としようってわけじゃねぇけど、お前相手ならやっぱり主導権とりたいっつーいみでタチっていうか。…お前、前からネコだったのか?それとも俺に気を使って…?」
「え?」
「いや、別にお前の過去を詮索するつもりはねぇし、昔に相手が居たっていわれてもガッカリしたりはしねぇから。まぁお前の顔っつーか性格じゃ、ネコだよなぁ…。」

カミュはちょっとほっとしたような顔をして、髪をくしゃくしゃにするみたいにかいた。

「あー…俺ほんと、マジチキンだった。最初からちゃんとお前に言っておけばよかったんだ。」
「なにを…?」
「精神的なとこだけじゃなくて、体でもちゃんと恋人になりたいってな。」

そう言われてはっきり解った。
ネコとかタチとかは、恋人とするアレコレの話だっていうことに。
ついでに、僕がネコで都合がよかったということも。
ネコの意味はわからないけど、安堵してるカミュにそれの意味はとても聞きづらい。

けど、黙ってるわけにはいかないし、僕もカミュの"相棒"になる時に覚悟したんだ。

「君の相棒になるって決めたときから、覚悟は出来てたから…。」

それは嘘じゃない。
僕は、君についていくし、君に添っていきたい。


「イレブン…。」
「僕、君のお察しの通り、そういうの疎いし、解んない部分ばっかりなんだけど…。けど、」
「俺がちゃんとリードするから。無理とかさせねぇし。」
「う、うん…。」

カミュはまっすぐに僕をみた。
とても綺麗な青い目が僕を見つめてる。
何だか恥ずかしい。けど、とても幸せだった。

「イレブン。」
「うん。」
「これから、お前と愛し合いたい。…いいか?」
「はい。」

真っ直ぐに返事をするとカミュにギュッと抱きしめられた。
それはとても力強くて、僕は幸せな気持ちになった。

僕は、大好きな人と愛しあうんだ。



お風呂に入るように言われて入った。
結局、愛し合うと言っても僕は何をすればいいのかわからなくて、
どっちなのか解んないけど、とりあえず男同士でするときに使うところを綺麗にした。
カミュがリードしてくれるって言ってたし、綺麗にしておけば大丈夫だろうと思って。

お風呂から上がると、今度はカミュがお風呂へ行った。
「直ぐ出てくるから…寝ないで待ってろよ。」
「う、うん…。」


カミュのお風呂は何時も短いけど、今日はすごく長く感じた。
シングルベッドの上に座って待つ。
どうしたって先のことを想像する。

おじいちゃんのムフフ本は読んだことがある。でも半分くらい意味が解んなかった。
だから余計に心配なんだ。
「そんなこともわかんねぇの?」みたいなことになったらどうしようかって…。
しかも「ネコの意味が解らない」と聞くタイミングも逸しちゃったから。

「悪い、待たせたな。」
「だ、大丈夫だよ。」

きっと10分も経ってなかった。

カミュはそっと僕の隣に座って、
とりあえず何時もの優しいキスをしてくれた。

「体冷えてねぇか?」
「うん。」

ぎゅっと抱きしめられて、体が震える。
カミュの体はあったかくて、いつもなら安心するのに、
今日はドキドキする。

「ヤバくなったらすぐ言えよ?絶対に止めるからな。」
「う、うん。」
「…お前が、受け止めてくれるって言ってくれた、それだけでもうヤベぇくらい嬉しいから。」
「か、カミュ。あの、」
「ん?」

聞くなら、今しかない…!

「そ、その、僕は、どうしたらいいの…?ネコって、」
「気を使うのは俺の方だ。いっそマグロでも構わねぇから。」

マグロ!?

ネコとマグロ…?

マグロ…?

頭の中で猫が必死にマグロの尻尾を引っ張っている絵が浮かぶ。

「あ、あの」

解らない単語が増えて、オロオロしている僕に構わず、
カミュは僕をゆっくりとベッドに倒して、
何時もとは雰囲気が違うキスをおでことか、顎とかにしてくる。
ドキドキして、猫のこともマグロのことも頭からすっとんだ。

「脱がせなくても出来るけど、どうする?寒いんなら着たままでも。」

世の中には、着たままえっちするのが好きな人が居るっていうことは、
おじいちゃんのムフフ本の特集に書いてあったから知ってる。
けど、読者アンケートでは脱がせる派が多かったから、きっとカミュは脱がせたいんじゃないかと思った。

「脱ぐ。」
「じゃあ脱がせるぜ?」

一度体を起して、スリーパーを脱がしてもらう。自分で脱げるよ…!

「し、下着は自分で脱ぐからね?」
「そうか?脱がせるの好きなんだけどな。」

か、カミュとお風呂入ったことあるし、どうせ、僕のがまだアレだって知ってるだろうけど、でも、恥ずかしいから見えないように下着を脱いで、隠すように座った。

「ほんと、恥ずかしがり屋だな。けど、それもいいんだよなぁ。」
「そ、そうなんだ…。」

僕だけが脱いでる状況。
これは、どうなるの?僕は、どっち役なの?

「前から思ってたけどよ、脚とかすげぇ綺麗だよな。」
「そんなことないよ!子どもの頃からやんちゃして怪我ばっかりだったよ?」
「そうか?ほら、こんなにスベスベでツヤツヤだぜ?まるで女みたいだな。いや、女でもこんなに綺麗なのはそうそう居ねぇだろうな。」

女みたい…?じゃあ、僕が、女の子の役なのかな…。
っていうことは、されるほう…?

カミュがそっと脚に触る。ちょっとくすぐったいけど、カミュの手は温かくて気持ちがいい。
キスを一杯してくれる。体を撫でる手が、脚から腰やお腹に移っていく。

「大事なとこ触って良いか?」
「だいじなところ…?」

僕の、お子様なところ…!?
怖い、けど、覚悟したじゃないか僕!

「いいよ。」
「じゃあ。」

カミュはベッドに横になって、その上に僕を膝を折って寝かせる。
僕はカミュの首に顔を埋める様にしていた。
カミュの匂いがする。ドキドキする。

カミュに何度もキスをされて、気が散っていたところ、
ふと、暖かい指が僕の腰から、それから、お尻の方へ伸びていくのでビックリした。

大事なところって…そこ…!?
っていうことは、やっぱり僕が女の子側なんだ。
綺麗にしておいてよかった…!

カミュの指が綺麗にした場所に届く。

「!!」

くすぐったくて、ちょっと怖くて、体が跳ねた。
けどカミュの指は止まる気配もなく、
ツンツンと刺激して、優しく撫でてくる。

「ん…カミュ…」
「あんまり緊張すんなよ?ゆっくり馴染ませるからな。」

馴染ませる…?

カミュが枕元のカバンから何かをだした。
小さな瓶。中はよく見えない。

「…一応、用意しとくもんだな。悪ぃ、瓶握ってくれねぇか?蓋開けるから。」
「うん。」

僕の大事なところから左手を離すことなく、右手で瓶の蓋を開ける。
本当にカミュは器用だ。

空いた瓶の中は透明の液体が入ってた。

「これなに?」
「オイル。男は濡れねぇだろ?」
「!?」
「初めてなんだし、え、いや、初めてじゃねぇかもしれねぇけど、」
「は、初めてだから…!」
「だ、だよな。ちゃんと痛くならねぇようにしねぇと。」

カミュは瓶の中身を左手にたらして、指先で混ぜ合わせる様にしてから、
またさっき触ってた場所に触る。びくっとする。

「悪ぃ、まだ冷たいか?」
「で、でもカミュのゆび、あったかいよ…?」

さっきみたいに指の形をはっきり感じる、というよりは、ぬるぬるして変な感じ。

「あ」

出口なのに指が入った。
「い、いぃい!!」
「調子乗った。痛いか?」

僕は全力で首を振ってカミュを見た。
カミュは何だか、嬉しそうな情けなさそうな顔で僕を見て、
おでこにキスをしてくれて、そのままぐりぐり触ってる。




初めてなのに、僕はすっかり慣れてきたみたいで、指が数本入ってる。らしい。
カミュの指があったかくて、違和感もちょっと無くなってきてて。

「カミュ、まだダメかな…?」
「念入りの方が良いだろ?」
「けど。」

太腿にカミュの熱を感じてた。…僕のより数段格上なカミュのもの。
正直、怖い。けど、僕だって男だからカミュが辛いのも解る。

「…これ以上待ってたら、もっと…その、おっきくなっちゃったりしない?」

勇気をもって聞いてみると、カミュは言いよどんだ。
「…一理あるけどよ。」
「痛かったら、ちゃんというから…。」

暫く考えたあとで、彼は念を押すように言いつけた。

「約束だぜ?」

僕が頷くと、体を起して、キスを何度もする。
「イレブン…こっから本番だぜ?本当に良いんだよな?」
「うん。」

一度強く抱きしめられて、さっきよりも深いキスをして、唇を離したら目があって、
くすぐったくてちょっと笑った。カミュも笑ってる。
それから僕は四つん這いにされる。
肘は折って良いといわれたので、お尻を突き出す格好になった。
一杯触られてたからか、そこまで恥ずかしくない。

お尻にさらにヌルヌルを増やされて、ちょっと冷たくてビクっとしたけど、
カミュのあったかい指で馴染まされて少し力が抜ける。

「痛かったら絶対に言えよ?」

か、カミュのが、入ってくるんだ…!

指が抜かれて、固いものが当たった。すごく熱い。
「ちゃんと、いれてね?」って、ちょっと怖くてビクっとしたのを隠すように言ってみる。

さっきよりも一寸強く広げられて、固いのが来る。
「ッ…!」
「息止めんなよ?深呼吸とか出来るか?」
「いき…。はぁ…はぁ…。」

意識しないようにお腹でゆっくり息をする。
すると、お尻に、ずぷって入った。

「イッ!」

変な声が出て口を押える。
固いのがどんどん奥に入ってくる。カミュの指がバタバタしてたところよりももっと奥。

「ん!ん!」

大きな声が出ないように耐える。無意識にシーツをぎゅっと掴んでた。
「はぁ…!はぁ…!」

結構入ってると思ったけど、まだまだ入ってくる。
熱い。

「かみゅッ!!」
「い、痛いか?」
「へーきッ、へーきだよ…、あつい…おしりあつい…!」

異物にびっくりして敏感になってるのか、カミュのあついのがビクってしたように感じられた。

「イレブン、もうちょっと、もうちょっとだけ奥入れるぜ?」
「んッ、うんっ…」

深呼吸を繰り返す。

ずぶり。

「ッ!!!」


お尻にカミュの体があたった。
不思議と解った。カミュのが、あのおっきいのが全部、ぼくの中に入ってるって。

「ぜんぶ…?」
「ああ、全部だ。苦しいだろ?」
「へーきだよ…えへへ…ぜんぶ、はいっちゃったんだね…はじめてなのに。」

嫌じゃなかった。こんなこと想像もしてなかったけど、嫌だとは思わなかった。
きっと、カミュだから。僕の大好きな人だから。
大好きな人と一つになるって、幸せな事なんだ。

「初めてなのに、無理させてるよな。けど、すっげぇ嬉しい。お前が受け入れてくれるなんて。」
「ぼくも、ぼくもだよ…。」

顔が見られないのは辛いけど、幸せだっていう気持ちを一杯伝えたかった。
カミュはそれを受け入れてくれたみたいで、
背中にいっぱいキスをしてくれた。

「そろそろ腰動かしても大丈夫か?」
「うん…。」

気軽にうんって答えたけど、とんでもなかった。

入ってくる時とは全然違う。
ずるずると、おっきくて、熱くて固いものがお尻から出ていく。

「っあああ!!!」

ビックリして大きな声が出た。
カミュの動きが止まる。
「へーき、ちょっと、おどろいただけだから、へいき…動いていいからね?」
「ああ。」

ずるずると出ていくかと思えば、またずぶずぶと入ってくる。
それが繰り返されて、とてもゆっくりで痛くはないけど、
出ていくときも入ってくる時もゾクゾクした。

これが気持ちがイイっていうことなのかな…?

あんなにゆっくりだったのに、段々早くなってきて、
ぬちゃぬちゃ音が聞こえる。

「んッ、んッ、んッ、んッ、」

奥の方に当たると声が出ちゃう。
カミュが動くのは一定でもなくて、抜き差しが浅い時もあって、けど、奥のところまで入ってくることもあって、
僕は煽られて、
シーツをぎゅうぎゅう掴みながら、抑えきれない声を漏らして、それを受け入れるだけだった。

「はぁ はぁ はぁ はぁ」
「イレブン…。」

ドンドンと奥に当たる。カミュの体がお尻に何度も当たって、
何かがぬちゃぬちゃ言ってるのが聞こえて、
中は熱いし、カミュのちょっと荒い呼吸も聞こえて、僕はふわふわした。

腰をぎゅっと掴まれた。

「イレブン…だしていいか…ッ?」
「うん…いいよ、だして…。」

何をっていうのは考えてなかった。
けど、大好きな人がそうしたいって言ってるなら、受け止めたかった。

「あ、あー、あー…」

体とお尻がぶつかってパンパン聞こえる。
中がドンドンする。

「名前、呼べるか?」
「なまえ…かみゅ…かみゅ…。」
「ああ。可愛いぜ?イレブン。もっと呼んでくれよ。」
「かみゅ…かみゅ…」

ふわふわした意識のまま僕はカミュの名前を呼んだ。

中をドンドン突かれるのが早くなって、カミュの呼吸が荒くなったのに気付いた。
「イレブン、出すぜ…?」
「ん、かみゅ、かみゅ」

お腹をぐっと持ち上げられて、上体が上がった。
シーツを掴めなくなった指が、無意識にお腹を持ち上げるカミュの腕を掴む。
下からパンパン突かれた。

「ッ」

カミュがぐっと奥に入ってきたその時、

ビクンとした。

自分でもわかんないけど、奥の奥にあたって、体がギュンとした。

「らめッ!」
「イイってことかッ…?」
「らめ、かみゅ、らめッ!」

舌が回らない。
けど、これは大変だって、頭の中のどこか冷静な僕が慌てた。

「ひゃ、ひゃあああ!」
「イくって、いえよ?」
「いく…いく…」

ギュンってした場所を激しく突かれて、まるで何かが駆け上がってきて、
意識がまだらになっていく。

「ッあ、ああああ!!いくッ、いくッ!!」

駆けあがって来たものがそのまま突き抜けて行った。
お腹の中がキュンってしたと思う。

「イレブンッ!」

聞いたこともないようなカミュのちょっと焦った声が聞こえて、
中がぶわっと熱くなった。

「はぁ、はぁ、はぁ…イレブン…。」
「かみゅ…。」
「奥に出しちまった…感じたか?」
「あついの…わかる…。かみゅ…」

ずぼってカミュのが出て行って、僕はベッドに力なく押し倒された。
仰向けにされて、カミュが覆いかぶさってきた。

その目はすごく真剣だった。
さっき僕がしてたように、カミュがシーツをぎゅうっと握ってた。
何かを耐えてるみたいに。

「イレブン」

キスをしたのを覚えてる。

「イレブン、ほんと、悪い。」
「ん…?」
「負担なのは解ってんだ、けど、もっと、もっと欲しいんだ。受け入れて欲しいんだ。」
「か、みゅ…」

「お前の中に、たっぷり注ぎ込んで、隅から隅まで、お前を俺のもんにしてぇ。
心も、体も、お前の全部が欲しいんだ。な、いいだろ?」

カミュが欲しいっていうなら、それでいいんだ。

僕は頷いた、と思う。



そこから、記憶がない。




起きた時は、隣の綺麗なベッドの上で、カミュの腕の中だった。
カミュは寝てた。満足そうな顔をしてた。
僕はちょっと喉が渇いたから動こうと思ったけど、動けそうもなくて、
もぞもぞしているとカミュを起してしまった。

「ごめん、起しちゃった。」
「いや…悪い。おきれねぇだろ?」
「…うん。」

顔に一杯キスをしてもらって、幸せだった。

「ほんと、初めてなのにがっつき過ぎた、悪い。反省してる。」
「ん…?」
「…覚えてねぇ?」
「途中までは覚えてるような…。」

カミュは包み隠さず話してくれた。
「あの後…お前意識すっとんでそうだとは思ったんだけどよ、抑えきれなくて、
そのまま、3,4回…その、な、」
「いいよ。だって、恋人だもんね?」

恋人がそういうことするっていうのは知ってたし、だから頷いたんだ。

「その、こういうことは聞かないものだと思うんだけどね?その、
カミュは気持ちよかった?」
「当然だろ。お前がどうだったかはわかんねぇけど、相性は悪くねぇって思った。」
「ほんと?良かった。」

照れくさくて笑うとおでこにキスしてくれた。
本当に幸せだった。

「つーか、ほんと、明日はダブルベッドの部屋とるから。…いや、しようってわけじゃねぇんだけど、一緒に寝るのはいいだろ?」
「うん。一緒に寝るの温かくて好きだよ。」

カミュは嬉しそうな顔をして、茶化すように言った。

「折角一週間旅ってんのに、最初からお前がそういうのOKか聞いときゃ良かった。」

それを聞いてら思い出した。
もう、初エッチしたし、聞いても差し支えないよね?

「ねぇカミュ?」
「ん?」


「ネコってなに?」



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