リピート
初出:べったー/2018.03.11

リハビリで書いた短いやつらしい。


どちゅ、どちゅ、どちゅ、どちゅ

「んッ、あっ、あッ、あッ、あッ」

律動に合わせ漏れる嬌声が、床が僅かに軋む音をかき消している。
山間の小さな掘立小屋だ、周りに聞かれていることはないだろう。

湯上りの火照った体は、どういう理由で汗ばんでいるのかはわからないが、
目を固く瞑って、体を揺らしながら喘いでいる姿は、
それが何時だろうがどこだろうが関係なく、とにかく可愛い。

「ムリッ、らめ、らめッ…!」
「イけよ。俺より先に。ちゃんと、ほら、可愛い声だせよ。」
「やんッ、やらッ!いくッ、いくッ…!」
「イくのやなのか?」
「んッ、あんッ、いっしょ…っしょがいいッ…!」
「ダメだ。お前の可愛いイき顔見てぇんだよッ…!」

どちゅん

「ッぁああ!!ッはぁッ…!!あんッ、あんッ」

「ほら、お前のも、ちょっと触ったらすぐイきそうなくらいプルプルしてるぜ?」
「さわうの、やんッ…!」
「だよな。中突かれて出すのが気持ちがイイんだもんな。さっさと気持ちよくなっちまえよ。」

ばちゅん

「ひゃぁああんッ!!イくッ…!!いっちゃうッっ…!!やぁぁあん!!!」

ぴゅるっと品よく射精したのを見て、腰がぐっと熱くなる。
滾った熱でイイ場所を強く押し込み、締め付けを維持させつつ、
排熱して少しだけ冷静になった涙目の顔を拝んでから、
奥にたっぷりと吐精した。

「んゃぁああん…おくっ…おくにだしたぁ…」
「奥に出されんの好きなくせに。」
「んっんぅ…」

体を曲げて正面から見つめ合う。
「愛してるぜ?」
「ん…うん…。」
たっぷりと、恋人が大好きなキスをしてやる。
動きの鈍い恋人の舌を優しくねっとりと、少し乱暴にしてしまったのを誤魔化すように愛撫してやった。
ゆっくりと結合を解いて、腰を抱え上げ膝の上に座らせてやる。

見下ろされるのは好きではないが、こういう時はこれが適切だろう。
何だかんだ「やらせていただいている」部分が無いわけじゃない。
恋人の負担を思えばこそ、そういう気遣いは必須だと、本能が囁くからだ。

「っ…はぁ…カミュ…。」
「…痛くなかったか?」
「…うん。へいき。…カミュ…。」
「どうした?」
「ん…。」

首にぎゅっと抱き着いてきて、耳元で囁かれる。
「…きもちよかったよ?」
何処までも甘いし、どこまでも可愛いからたまったものじゃない。

「お前は、そういうことして、自分の首締めてんだからな?」
そう言ったところで意図する意味なんか解るわけもないのだけれど、
真っ赤なままの目元に軽くキスを何度もしてやって、興奮冷めやらぬ幼い恋人を宥めてやる。

落ち着くまで抱きしめてやっていた。

「…本当に堪え性がないんだから。」

文句を言えるようになれば理性が戻ってきた証拠だ。

「お前をイかせるまで堪えてんだぜ?」
「そーじゃないの!もー、なんでこんなところでエッチしたか覚えてる?」

そう、ここは脱衣所である。

「お前が中々ベッドに戻って来ねぇから迎えにきたんじゃねぇか。」
「こっちは君と違って準備があるの!時間がかかるの!っていうか迎えに来たとか言いながらオイルまで持ってきた癖に!」
「その割に肌赤くなるくらい湯船につかってたみてぇだったが?」
「だ、だって…えっちするとき、さむいし…。」

秘湯があると聞いて、2人である山麓までやってきたのだ。
完全個室で、風呂までついてるというので、普通の宿屋から比べると数倍したが、
カミュがカジノで当てたので、豪勢に使ってやろうと泊まりにきたところだった。

2人でこんな秘境まで温泉に来たのだ。
イレブンも、そこで何をするのか、カミュが何を求めているのか解っていたし、
だからこそ風呂で念入りに準備していたのだけれど、
どうにも狼は待てが出来なかったのだ。

「ちゃんと、ベッド行くつもりだったし、…くしゅん!」
「すっかり冷えちまったな。始末がてら風呂はいるか。」
「うん…。」

イレブンを抱え上げて風呂へ入った。…イレブンからしたら風呂に戻った、という状態だが。
浴室は温泉の熱気で暖かい。
風呂に入らずとも体が温まるが、寒がりな恋人の体調を気遣い、白い体には一応タオルを巻いてやる。
しかもイレブンは、髪から滴る水が冷たくて嫌だというので頭にタオルを巻く習慣がある。
するともう女にしか見えないのが悩ましい。

「さて、奥に出したからな。しっかり始末しねぇと。始末終えたら湯船浸かろうな。」
「うん。」

ネコ側に始末をさせる羞恥プレイなんかも多分あるんだろうが、カミュのケジメでもあった。
イレブンを膝の上に横抱きに座らせて、何度か軽くキスをしてから、体を驚かせないように優しく肌を撫ぜつつ、洗うべき場所に手を伸ばす。
まだ緩い場所に指を忍ばせて、刺激をし過ぎないように優しく掻き出す。
「ッ…」
その間イレブンはカミュの首に腕を回して、肩に顔を埋めつつ刺激に耐えているのだが、そもそも恋人と交わる場所に恋人の指が入れられている状態は、イレブンからすれば前戯に、いや行為そのものに等しい。
それが始末だと解ってはいるのだけれど、行われていることは恋人の指を秘部で銜えているということにほかならず、始末が終わるまでの間、
感じているのをばれない様にぐっと耐えるのがイレブンのすべきことだった。

「ッ…でた…?」
「もう少し。つーか、悪ぃ、奥に出し過ぎたか。ちょっと指奥入れるからな。」
「…うん…。」

器用な指が奥へと侵攻してくる。
しかもチラリと見た横顔は何やら妙に真剣で。
「(エッチの時と同じ目してる…うぅ…みなければよかった…。)」
後悔しつつギュッとさっきより強く抱き着いて耐えていた。

何とか耐えきり、概ねの始末が終わる。
掛け湯で綺麗に清めれば、漸く恥ずかしい状況から脱することができる。

「早く温まろ?」
「ああ。…湯船ではタオル外せよ?」
「解ってるよ。…後ろ向いて。」
「はあ?さっきもガン見したんだぜ?今更何隠してんだ。」
「君の視線がいやらしいから。」

タオルをとってそそくさと湯船に身を沈めた。
ここの温泉は白濁なので、透けて見えないのが幸いだ。

「温かくて幸せだね。」
「ちょっと熱いくらいだけどな。」
カミュは浴槽の階段部分に腰を掛けていて半身浴状態である。
小柄ながら鍛えてある大胸筋なんかが見えて悔しくなって、イレブンは余計に潜っていった。
「全部潜るより半身浴の方が温まるんだぜ?」
「前も聞いて試したけど、半身浴じゃ温まるまで耐えられなかったよ。」
「マジか…。信じらんねぇ。俺らの相性の悪い唯一だよな、この温感の違いはよ。」
「どうかな。」
「ん?」

イレブンは、ツンっとそっぽを向く。

「何が相性悪いって?」
「相性が悪いっていうか…。」
「…やっぱ体に負担かかってるか?」
「そーいうわけじゃないけど…。」

煮え切らない態度にカミュは思わず湯船につかってイレブンを後ろから引きよせた。
「え、ちょ、ちょっと。」
「なぁ、マジ、そこは、ぶっちゃけ俺もデリケートなんだぜ?」
「え?」
「お前に負担かけてんじゃねぇかって、それは何時も心配してるし、気にかけてるつもりなんだ。」
「気を使ってくれてるのは十分解ってる。」
「解ってるってだけじゃだめなんだ。…無理はさせたくねぇんだよ。」

真面目な調子にイレブンも調子が狂う。
「あの、カミュ…その、君、逆上せちゃうし、お風呂あがってから」
「ダメだ。…お前がはっきり言ってくれるまで動かねぇからな。」
「無理、っていうか、その別に君が悪いわけじゃないし」
「何かあんだろ、言いたいこと。どうにもできねぇことかもしれねぇけど、お前の気がかりを知らないままではいたくねぇんだ。」

こうなると頑として動こうとしないのがこの恋人だ。
しかもただのワガママならともかく、自分の為なのが解っているからこそ、
イレブンから折れるしかない。

「…あの、だから、その…。」
「…ああ。」
「えっと…本当に、その、君のせいじゃないし、その、嫌なわけじゃないんだけどね、」
「ああ。」

「その、カミュの、ちょっと、おっきすぎる…。」

「は?」
想定外の回答にカミュが脱力すると同時にイレブンが逃げ出した。

「は?」
「だから、その…そ、それだけ…。」

カミュは驚きのあまり、湯船の中で起ちあがった。
「っ!!!」
その様子を見たイレブンは、一瞬目をまん丸くしてからさっと顔を背けた。
件のものが目に入ったらしい。
顔を真っ赤にしているイレブンは、相変わらずやっぱり可愛かった。

「散々、見たことあんのに改めてそういう反応をされるとな…勘弁してくれよ。
つーか、え、でかいって?」
「だから、君のせいじゃないから…っていうか、君にもどうしようもないでしょ。」
「そりゃ、でかくなるのはお前のせいだからな。そーやっていつまでも初心い反応しやがって…!」
「わ、わああ!!」

カミュはイレブンを抱え上げ、掛けていたバスタオルを取ってから風呂場を出た。
そして脱衣所にバスタオルを敷いて、赤くゆであがっている体をうつ伏せによこたわせる。
「え、ま、待って!」
「でかいっつー割にはちゃんと最後まで収まっちまうんだよなぁ?」
桃尻をペシリと叩くと、ひゃん!と声を上げて体をビクンと反応させる。

「だ、だってカミュが入れるから…!」
「入るから入れるんだろ。でかいのでゴツゴツされるのが気持ちイイ癖に。」
「だ、だって、っていうか、君のがおっきいから僕のが広がっちゃった、ひゃん!」
「ああ、そうだな広がっちまって、その癖に気持ちが良くなると、ぎゅうぎゅうに締め付けてきてな、たまんねぇよな。」
「ちょっと、やぁんッ!!」

指がずぽりと収まる。
さっきの始末の時と同じ感覚だ。

「あんッ、だめ!ゆび、だめぇッ!!」
「ほら、まだ細いだろ?つーか、指だけでこんなに感じてんだもんな。そりゃ俺のモン入ったらそりゃあ気持ちよくて理性吹っ飛んじまうよな。
つーか、指入れられるだけでこんなに感じてんなら、実はあれか?始末してる時も相当気持ちイイんじゃねぇか?」

「(しまった…!!)ち、ちがうッ!さっきのとは違うのッ!!」
「ほんとか?さっきの始末の時みたいに入れてやろうか?」

ぬぷり、侵入させる。

「ひゃぁああん!!」
「あーあ、ほら、ったく。マジ淫乱。」
「あん、だって、いま、こりってしたッ…!」
「どこを何だって?」
「やぁん、あん、いじわるッ…!」

カミュはさっき使ったまま置きっぱなしだったオイルを持ち出す。
挿したままの指を伝わせて中へ流し込んでいく。

「ひゃん!つめたい!!」
「大丈夫、お前の熱で温まって、ドロドロになって、すぐに欲しくなっちまうぜ?ちゃんと中に馴染ませてやるからな。」

ぬっちゅ ぬっちゅ と指が中で暴れ回る。
まだ柔らかいままの内壁はあっという間に、恋人を受け入れる準備が整った。

「あんっ、だめ、だめ…さっきもいっぱいえっちしたのに…」
「いっぱい?俺は一発しかイってねぇよ?まぁお前は始末でもイってたのかもしれねぇけどよ。」
「いってない…!!」
「じゃあイこうぜ?一緒によ。」

穴をゆっくりと広げられて、覚悟を求められる。
「っはぁ…はぁ…ほんとに…?」
「当然だろ?お前のせいで、すっかり硬度も傾度も戻って来たぜ?」
「ほんと…もう…。」
「それがイイんだろ?つーか、俺のがデカくて困るって何だよ。」
「だって…」
「だって?」
「…。」
「つーか、本当に痛いのか?」
「ちがうよ…。」
「じゃあなんだよ。」

柔らかくなった秘部にグリグリと亀頭を擦りつけられる。
それだけで熱くて、固くて、イレブンの体は求め始める。それについて自覚もある。
早く欲しいと思う感情がつっぱしって、理性が塞き止めてめていた言葉がぼろぼろ零れた。

「かたいのも、あついのも…きみ、そのものってかんじで、
その、きみの、おっきぃから…ぼくのなか、いっぱいになっちゃって…
きみの、ねつをかんじて、うれしくて、ぼく、こわれちゃいそうだから…ちょっと、こわいんだ…。」


腰をぐっと持ち上げられ、ぬぷり、と熱いものが侵入してくる。
「んぁあああ!!!」
「俺も、お前の中好きだぜ?どんな俺だって受け止めてくれる、お前そのものみたいで。」
「かみゅ…。」
「壊れちまいそうだ。体も、理性も。」
「んっ…はぁ、かみゅ…。」

どちゅん

「あぁんッ!!」
「壊れちまおうぜ?一緒なら、怖くねぇだろ?」

ぐっと腰を押し込んで、奥の奥に熱を擦りつける。
「ふぁあああ!!」
「イレブン…!!」
「あん、かみゅ…かみゅ…いっぱい、いっぱいきもちよく、なって…!!」
「いっぱい、きもち良くしてやるからな…!!」

ゆっくりと腰を振り始める。
ぬっちゃぬっちゃというオイルの音を、零れる嬌声がかき消していく。






そこから先は、最初に戻っていただければそれで。







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