散歩をしていただけでその気はなかったんです
初出:べったー/2017-12-30

#カミュ主版ワンドロワンライ
#第20回カミュ主版ワンドロワンライ








ネルセンの宿屋でちょっと息抜きをしていた。
切羽詰った状況だからこそ、一息つこうということになったのだ。勇者なりの仲間への気遣いだ。

ネルセンは周囲に何もない。
何故こんな場所を選んだのか?

以前ソルティコで休みを取った時は、誰かがカジノに噛り付いてしまったばかりに散財する事件が起きた。
それ以降、財布の紐が固い勇者は、娯楽施設や散財する場所がない場所を選ぶようになってしまったのだ。

一行は特に不満はないらしい。読書をする者や、体を動かして鍛錬を積む者、装備品の手入れをする者など、それぞれ有意義に過ごしていた。
1人を除いては。

さわやかな風が吹く場所なので、イレブンは散歩に出かけることにした。ここらへんは敵も強くないし、見晴らしも良いので、仲間も了承してくれた。勿論、護衛を付けることは義務付けられたのだけれど。

ということで、
「単なるお散歩だからね?」
「解ってるって。」

イレブンはある意味信用されていない。仲間を休ませた状態で、クエストの魔物を狩りに行こうとしたり、足りない素材を集めに一人ルーラをしかけたこともあるからだ。
仲間が護衛を義務付けるのも当然だった。

2人で、何もない麦畑を歩く。
小川のせせらぎが心地よい。

「なんかいいね。清々しいっていうか。」
「ここに居ると、平和な感じがしてくるな。」
「そうだね。あ!ベビーだ!」

イレブンは動物好きだ。動物型の魔物も例外ではない。いや、はむかってきたら戦うが。
特にお気に入りは、キラーパンサー系統のベビーである。特にスノーベビーがお気に入りらしいが、今目の前にいるのはシャドウベビー。グレーの毛並に赤いとさかだ。

「かわいい…。」
獣を見てキュンとしているイレブンの方がよほど可愛い、とカミュはそれを眺める。
「見て見て!あくびしてる!お昼寝するのかな…。そうだよね、心地いいもんね?」
遠くから観察しては一人でぽよぽよしている。実に可愛い。

「お前ほんと、好きだよな。」
「だって可愛いじゃない?」

お昼寝を始めたベビーたちを起さないように川を渡り、辺りを見回す。あちらこちらにシャドウパンサーの親子がいて、ほのぼのしてくる。
そんな中、小さな茂みの先に。

「あ…。」
「あ!…。」

カミュは慌ててイレブンの目を隠す。

「見た?」
「見えたよ…。っていうか、別に見てもいいじゃない。」

まぁなぁ、とカミュは手を放してやった。
2人の視線の先に会ったのは、ベビーをメイクしている最中のシャドウパンサーの夫婦の姿だ。
「…シャドウパンサーとかって、やっぱり一回に3匹くらい生まれるのかな。」
「猫と同じなんじゃねぇか?」
「だよね。」
「つーか、お前、割りとフツーなリアクションだな。」
「動物のは子供のころから見たことあるよ。馬とか、牛とか。」
「そうか、お前のところ牛飼ってる人とかいたもんな。」

人の、いや魔物だけれど、魔物のそれをそんなにガン見する必要はないのだけれど、ぼけっと観察してしまった。

「どう見ても首噛んでるよな。」
「君も噛んでくるよね。」

そう、口走って、あわてて口を塞ぐ。
カミュはにやりとした。

「へぇ、動物の交尾程度でも誘発されるくらいには溜まってんのか?」
「違います!そういうわけじゃなくて!」
「いやいや、顔真っ赤だぜ?俺が首噛んでたかどうか思い出してドキドキしたのか?」
「ちがうって!」

イレブンが休暇にこのネルセンの宿屋を選んだのはもう一つ理由がある。なぜなら、ココは大部屋だからだ。
そう、2人部屋にでもなろうものなら、容赦なく食いついてくる恋人をけん制するためにも、大部屋がよかったのだ。

「大部屋だからね!絶対に駄目だよ!」
「じゃあ外でするか?」
「こんなに魔物がうじゃうじゃいるよ!だめだめ。絶対やだ。」

「じゃあ室内ならいいよな!」

カミュは悪い顔をして、イレブンを担ぎ上げた。
やだやだ!と暴れてみたが、最近ちかたのたねを食べまくっているカミュから逃げ出すのは難しかった。

カミュが向かった先はバンデルフォンの宝物庫跡だ。
少し乱暴に床に転がされる。

「ひどい…。」
「さて、ベビーでも作る工程でも楽しもうか?」
「うぅ…。」

抱きしめられて、ねっとりとキスをする。
思えば久しぶりだった。

ここの所テント暮らしだったし、久しく2人きりになっていなかったので、キスさえ碌にしていなかった。
イレブンでさえ久しぶりでちょっと嬉しいと思っているくらいだから、カミュは恐らく渇望していたんだろうと、撫ぜる舌に感じながらぼーっと考えていた。

「ッ…。」
幸い暗くてよく見えないが、カミュは焦燥しているらしかった。
結局したがっていたのは君じゃないか、と言ってやりたくなる。
「イレブン…なぁ、最近お預けが過ぎるんじゃないか?」
「だって…。」
「俺に飽きた?」
「まさか!そんなわけないよ。…拗ねないでよ。」
「あえてネルセンなんか選びやがって。牽制にも程があるだろ。」

イレブンの意図は読まれていたらしい。
「だって…君とすると…歯止めきかないっていうか、明日のこととか考えなくなっちゃうっていうか…。」

牽制はしまくっている。けれど、別にカミュのことが嫌いなわけでも、カミュとの行為が嫌いなわけでもない。
ただ、何だかんだ求められたり、求めたりしていると、ずっともっとそうしたくなって、翌日は何もできないなんて状態になりかねなかったから、頻繁にならないように自分を律していただけだ。

「…一回だけならいいよ…する?」
「一回しときゃ良いだろって感じか?」
「そういうわけじゃないよ…本当はもっとちゃんと、気兼ねなくゆっくり、君と…夜を過ごしたいけど、今はそういうわけには行かないから…。君は平気かもしれないけど、僕は君みたいに強くないし…。」

拗ねていたのは事実だ。したかったのも事実だ。
けれど、別にイレブンを困らせてやりたかったわけじゃなかったから、申し訳なさそうにされるとちょっと参る。
カミュは雰囲気を変えるべく、イレブンを床に縫い付けた。
「カミュ!?」
「じゃ、遠慮なくイタダキマスさせてもらおうか。…獣みたいにな。」
カミュの気遣いを察した。イレブンは白旗を上げる。
「どうぞ、お召し上がりください…。」


イレブンのズボンをさくっと脱がせる。上を脱がせる暇はない。四つん這いにさせて薄暗い中でも白いと解る尻を撫でまわし、キスをする。
「っあん。」
可愛い声が漏れてきて、ちょっと安堵する。鞄からオイルを持ち出して、許可を得てからヌルヌルと秘部を解す。

「ッ…カミュ・・ゆっくり…。」
「無理。ぶっちゃけもうイけそうなくらいマジ興奮してる。」
「シャドウパンサーので興奮したの僕より君じゃないか…!」
「普通に溜まってただけだからな!」
「言い訳っぽ、ひゃんッ!、あー、もぅ…」
「穴に指つっこまれてて、優位に立てると思うなよ?」

カミュはイレブンのイイところをコリコリとこする。
「ッ!!んあぅ…そこ、よわいの…」
「知ってる。腰うごいてるぜ?」
「いじわるッ」

穴はすっかり広がって、猛るカミュのものも入りそうだ。
カミュはズボンを下ろし、イレブンの穴をぐりぐりと刺激する。
「ん…カミュのあつい…。」
「もっと中で感じろよ?」

腰のあたりを掴んで、白い尻を強く刺激するように親指で広げながら、自分の腰の位置を調節しつつぐぷりと先を押し込んだ。
「あんっ」
「イイ声。もっと出せよ。」
ゆっくりゆっくり、いつもより解し方が甘いので気を付ける。ゆっくりと飲み込ませる。
最後まで押し込むと、体がぴったりと合う。
「あついよ…カミュ…おっきいから、僕の中、もうぱんぱんだよ…。」
「ああ、お前の中、すげぇぎっちぎちに締め付けてきて、すげぇ気持ちがいい。たまんねぇよ。」

上着は着たままなのでじれったいが、半身は少し汗ばんで吸い付くようだ。
「腰動かすからな。」
「うん…。」
ゆっくりと抜いて、ゆっくりと挿しこむ。
「ふッ」
奥の刺激に声が漏れる。

ゆっくりと、次第に速さを上げて責め立てる。
どちゅどちゅと奥を突くとそのたびにイレブンは色っぽい嬌声を城跡の宝物庫に響かせた。
「ッああ…あんっ、ん…きもちいぃよ…」
「俺もすげぇ気持ちがいいぜ?」

どちゅん じゅぽっ

「カミュ、カミュ…。」
突かれる反動に体を揺らしながら、秘部はくちゅくちゅカミュの雄をしゃぶる。あふれ出る先走りがぬるりと光って、カミュは煽られた。
「やべぇ、もう…出していいか?」
「うん、いいよ、だして…。」
「ちゃんと、お前もイかせるからな。だから、感じろよ?」
「ん、んぅ、かみゅ…。」

ばちゅん ばちゅん どちゅッ どちゅッ

カミュはガチガチな雄でイレブンのイイ場所をごりごりとこすった。

「ひゃん、あぁああんッ!!」
「イレブン…!」
「カミュ、かみゅ、かみゅッ…んッあぁ!!」

熱と熱がこすれ合い、どんどん暑くなる。服を着たままの体は汗ばみ、額から流れ落ちる。
当たっているイレブンの内腿も汗をかいて、怪しく光る。

「はぁ、はぁ、かみゅ…!」
「イけよ、何時でも…!」

イレブンは手を後ろに回して、カミュを求めた。それに応じてやり、手を握ってやる。自然と背を反らせ男のモノで腰を突きあげられるような姿勢になった。それにより、より奥に感じられる。

「カミュ!かみゅ!イっちゃう、いっちゃう!かみゅも、かみゅもいって!いっしょっ…!」
「ああ、一緒だ・・・!」

「やぁん、あんあんッ…いっちゃうぅううッ!ああんッ!」

びくッん

愛おしい秘部にぎゅっと締め付けられて、カミュも吐精した。
どぷどぷと奥へ流し込むと、イレブンの体が震える。

「はぁ…カミュ…カミュ…。」
「イレブン…。」

カミュはさっと自身を引き抜いて力尽きているイレブンをぎゅっと抱きしめてキスをした。
「イレブン…。悪い、無理させた。」
「へいきだよ…。カミュの…あつくて、きもちがいいよ…。だいすきだよ…。」

イレブンの息が整うまでそっと抱きしめていた。








「物凄い罪悪感だよ。」
「…悪い。」
「安心して、僕も共犯だから。」

2人、手をつないで宝物庫から階段を上ってくる。

「始末、ちゃんとしねぇと。水辺行こうぜ。」
「…うん。」
「大丈夫、流れ込んだりまた発情したりはしねぇ。」
「当たり前です。」

階段を上り切ってカミュはイレブンを見た。
汗ばんで髪が顔に張り付いている。
暑いのか上着のベルトが外れていて、タートルネックの奥の白い肌を想起させる。

「…。」
「なに?」
「…事後のお前、そうとうエロいよな。」

「毒の沼地に突き落とされたい?」




暫く、テントか大部屋で過ごす日々が続いたらしい。


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