チェリー
初出:pixiv/2017-10-29




夜のダーハルーネの倉庫街を歩いていた。歩いていた、というのは非常に便利な言い方だ。間違ってはいないが正確に言えば、手をつないで2人でデートしていた。
倉庫街はいわゆる商業エリアとは違って、荷物ばかりだ。大型船の関係者が出入りするだけで、人気何か殆どない。そんな場所でデートをしているには理由がある。今日はダーハルーネで宿を取るつもりが、全員分取れなかった。そこで、カミュとイレブンは船室で休むことにした。折角の2人きりの時間を捻出してみたのだ。
2人の関係はまだ子どもの恋だが、あわてて先へ進むつもりはない。手をつないで何もない場所を歩く、それだけで十分幸せなのだから。

商業エリアから見えないように隠れて触れるだけのキスなんかしてみる。
「なんか、悪いことしてるみたいにドキドキするね。」
笑い合って、幸せになる。きっとこれ以上の幸せは存在しない。イレブンはそう思う。

「そろそろ冷えて来たし、船戻ろうぜ?」
「うん。あ、待って!あそこ気になる!」
コンテナの隙間を見つけたらしい。指をさしてアピールしている。
「おいおい」
「樽に、メダルとか入ってるかもしれないから。」
イレブンの蒐集癖というか、丹念な探しっぷりは前からのことだ。カミュは手を引いてそこへ向かってやる。今夜はその手を離したくなかった。
コンテナの先には案の定樽があったのだけれど、めぼしいものは無かったらしい。イレブンは肩を落とした。
「無駄足だった。ごめん。」
「手をつなぐ時間が増えただろ?」
「うん。」
そんな幸せ一杯な2人の耳に、声が聞こえる。酔っ払いの怒号のようだ。正直関わりたくない。
「こっち来るか。」
「どうしよう」
「隠れてやり過ごせるんじゃないか?」
漁っていた樽の辺りにある小さな木箱の裏に隠れた。さらに樽でカモフラージュをする。
「(黙ってんだぞ?)」
「(うん)」

そう待たずに男が2人やってきた。一人は普通の青年でそこそこに酔っていて足元もおぼつかないようだ。もう一人は八眉の青年で酔っ払いの男に手を引かれてやってきた。風貌からすると2人とも旅人だと思われる。2人の会話が聞こえる。
「ねぇどうしたの?」
「え?決まってんだろ?人目避けてんだよ。」
「何で?」
「…人前でしたかったか?」
そういって八眉の下半身に触る。

「(!?)」

まさかの展開である。カミュはすっかり酔っ払いが青年に喧嘩を売るなり因縁をつけてカツアゲするなりと思っていたのだがそういう話じゃないらしい。
「ここで、するの?」
「二人きりになれるんならどこだっていい。ここじゃ嫌か?」
「嫌じゃないよ。僕だってそれなりに、ガマンしてきたんだから。」
八眉の青年の口調が何となくイレブンと被っていて焦る。青年二人組は、自分たちとは非にならない程に濃厚なキスをして、互いの体の形を確かめあう。
「大人数の旅は嫌いじゃないけど、こういうときは困りものだな。」
「そうだね。…こういうことになるんなら、僕もお酒飲んでおけばよかった。」
「理性なんてオレが吹っ飛ばしてやるから。オレに全部委ねて、潔く抱かれてろよ。」
「うん。」

カミュは心の中で全力で叫んだ。やめてくれ、と。
自分一人ならまだしも、隣には、無垢で初心なイレブンが居る。イレブンの様子を見ると、
案の定頭から?を出し、混乱した目でカミュを見ている。とりあえず声を出さないようジェスチャーで言い聞かせる。この状況で存在がばれるとそれはそれでかなりやばいだろ。下手したら埠頭から海に突き落とされかねない。ここで耐えるしかなかった。

その男たちは、こちらのことに気付きもせずに、そのまま必要な部分だけを晒して、互いの体を貪った。酔った男が所謂「上」らしい。八眉のズボンを下ろして、散々ならしてから自身のものを挿入している。聞きたくもない男の嬌声が耳に入る。

ああ、最悪だ。

何でそんなもんを見なきゃいけないのか、ということ以上に、イレブンがそれを見てしまったことがショックでならない。イレブンもやはりショックを受けたらしく、口を両手で押さえつけて小さく震えている。目をぎゅっとつぶってカミュに縋りついてくる。見えない様に気を使いつつ、しかし音は丸聞こえで、避けようもない。片手で耳を抑えてやったがあまり効果はないだろう。
カミュはこの地獄の時間が終わるのをイレブンを抱きしめながら待つしかなかった。

どれだけの時間が経ったか解らない。
連中が満足そうに帰ってからも暫くは動けなかった。掛ける声も見つからず、イレブンを抱きしめてやるほかない。彼の体は少し冷えていて心配になる。
早く帰って、温かいものでも飲んでゆっくり寝た方が良い。カミュは立てるか?と彼を気遣いつつ、足早に彼の手をひいて船まで戻った。
その間2人は何も話さなかった。イレブンの顔を見ること何となく申し訳なかった理由は、カミュの内にあるが目を背けた。

船に乗り込もうというところで、イレブンの足が止まった。

「ねぇ、カミュ。」
「どうした?」
整備する者も居ないドック内は薄暗くて、彼の顔色は良く解らない。
「あの人達…恋人だったの?」
「…そうだな。」
恋人だろう。あまり思い出したくもないが、人前では晒せない感情を囁き合っていた。
「じゃあ…僕たちと同じなの…?」
「…そうだな。」

「カミュは…カミュも…、ああいうこと、したい?」

したくない、なんて言える訳がない。むしろしたい。
カミュが連中の行為の間に考えていたことは、よそ様の行為は気持ち悪く見えるということ以上に、隣の恋人ならどういう風に反応を返すのだろうか、どんな声を出すんだろうかということだった。カミュは自分の本心に気付いてしまった。だからこそ、顔を見るのが恐ろしかった。困っている恋人に発情だなんて、カミュ自身が赦せなかった。
だが、こうして本心に気付いてしまった以上、認めざる得ないし、隠し通すことも出来ない。

「…頭にないわけじゃない。」

今じゃなくても、何時かはそういう希望を持っていると、そう答えた。
イレブンはすっとカミュに歩み寄って俯きながらも囁いた。

「カミュがしたいなら、いいよ。」
その顔は熱した鉄のように真っ赤で、きっとカミュの顔も相当だったと思う。
「僕は、君のこと好きだから…。」

周りに一目があろうが無かろうが構わなかった。一度イレブンをぎゅっと抱きしめてやって、俯く顔にキスをしてやって、彼の精いっぱいの勇気を受け止めてやる。
「とりあえず、船内入ろう。体冷え切ってる。」
イレブンの手を引いて、船室へと戻って行った。
2人の船室。宿とは違って、自分の部屋が決まっていて、そして2人は一緒だ。

誰も見てない。
誰も居ない。

コンテナの積んである倉庫街よりもずっと安全で、暖かくて、
抱き合うのに不向きなものなど何もない。

2人はイレブンのベッドの上に並んで座った。互いに顔を見る勇気はなかった。
「なぁ。」
「うん…。」
「…してみるか?俺も、お前のこと好きだから。」
「…うん。」
「あんな風に、お前を抱いてみたい。」
イレブンが顔を隠すようにきゅっと腕に抱き着いてきた。
「…僕、そういうのしたことないから」
「俺も無い。けど、」
「うん」
「お前に惚れた瞬間から、覚悟してた。」
「覚悟?」
「お前が嫌だって言ったら、一生ガキのままでいる覚悟。お前以外はありえないから。」
自分はそもそもカミュと同じ場所に立てていなかったとイレブンは気づいた。愛し合うというのは精神的なもので、それは唇が触れる程度で伝わるのだと、どこかで思い込んでいた。
「…ぼくは、ああいうことするって知らなかったけど、でも…きっと僕の気持ちなんて君には全部伝わってなかったんだって思った。あの人たちくらいしないと、君に僕の気持ちは伝わり切らないんだって。それに、あの人たち、幸せそうだった。僕は君と幸せになりたい。」

あの、とイレブンは直ってカミュを見る。
目の下は真っ赤で、熔けてしまいそうで、大きな目は潤んでいて、息を飲む。
「あの、僕と、」
口を手で塞ぐ。イレブンは驚いた顔をしていたが構うわけには行かない。
「そこは俺が言うんだよ。流石に俺のプライドを優先させてもらうぜ?」
カミュは、溶けそうな頬を親指の腹で撫でてやりながら、顔をぐっと近づける。
「イレブン。」
「うん。」
「俺と愛し合ってくれるか?俺に、抱かれてくれるか?」
頷き、うんと答えた唇に触れる。いつもより熱いキスをした。何時もより唇が熱い気がする。
カミュは、食べてしまいたいと思う。離れてしまうのが本当に惜しくて、全身の神経がイレブンを求めていると解る。これが、愛する人を抱きたいと思うことなんだろうと、不器用に応じてくる恋人を感じながらぼんやり思った。

糸が引くほどのキスは初めてだったかもしれない。でもお互いに動じはしなかった。それよりもその先のことばかりが心配になる。
「そ、それでどうすればいいのかな。」
「…とりあえず、俺がなんとかするから。」
「うん。」

自分より背が高いはずのイレブンが何だか小さく見えて愛おしい。
何とかすると言ったが、部分的な情報しかないので、そこへ至るまでの道が良く解らない。とりあえず大事な事はイレブンを傷つけないよう大事に大事にすること、それだけだ。

「あ、あの」
「どうした?」
「僕は、その」
「…解ってるとおもうけど、お前八眉側だからな?」
「…うん。」

天然気味な恋人に念のため確認をする。
カミュとイレブンは武器やらポーチやら外して、靴を脱ぎ、2人でベッドの上に座る。
「とりあえず服、脱がす。」
「え、服?」
「アイツらは外だから脱がなかっただけで、普通脱ぐんだよ。」
「そうなの?」
「そこについては確信がある。」
「じゃあ自分で」
「嫌だ。」

別に脱いでもらっても構わないのだが、自分が服を脱いで振り向いたら全裸の恋人がいるなんて多分無理なのだ。心の準備をする時間を稼ぐにも、服を脱がせてやりたかった。イレブンはコクリと頷いて身を委ねてくれた。
何回か頭の中でシュミレーションしてきたが、やっぱりこの服は脱がしにくい。何で全部ベルトなんだ。むしろそれが焦らし行為にしか思えず、お互いに微妙な沈黙の間が生まれる。
だが、苦労をして脱がしただけの甲斐はありそうだ。
ベルトが一つ、一つと外れるたびに、イレブンは肌を昂揚させてくる。上着の留め具を全部外した頃には、イレブンは全部脱いだんじゃないかくらい恥ずかしがっている。やばい、腰に来てしまう。いや、すでに来てる。黒いタートルネックを脱がして、その下のシャツも脱がすと漸く諸肌を晒す。
「お前、真っ白だな。」
「これでも健康優良児なんだけど…遺伝なのかな。」
その白い肌は火照っているのかほんのり赤く、座り悪そうに手で仰いでいる仕草が可愛かった。イレブンの下半身を晒す前に、自分も上着を脱ぐ。一枚しか着ていないカミュはあっさりと上裸になる。イレブンが目を逸らした。
とりあえず、お互いに諸肌になったところで一度キスをした。理由は無い。何となくだ。

さあ、どうする。

先に下まで脱いでしまうべきなのか?もう少しお互いの気持ちを昂揚させてからがいいのか?というか、どうしたら昂揚する?緊張でガチガチのままじゃ流石にやばいだろう。
イレブンの背中に腕を回して、彼の二の腕の辺りをさすると、少し鳥肌が立っている気がした。これは寒さのせいか、緊張や興奮のせいなのか。
「寒くないか?」
「大丈夫。」
大丈夫と言ってはいるが、彼の薄い体はより寒そうに見える。それは流石に良くないだろう。ぐっと引き寄せて、彼の体を腕の中に閉じ込めてみる。薄い胸が自分の胸にピタリとくっついて恥ずかしいし、じれったいし、心臓が吹っ飛びそうだ。
「カミュ温かいね。」
「お前は少し冷えてる。風邪ひきそうだ。」
「くっ付いてるとあったかいから大丈夫だよ。けど。」
「どうした?」
「僕の心臓、ドキドキ言ってるのばれちゃうね。」
「お互い様だから気にすんなよ。」

イレブンはこの初めての状況を楽しんでいるのか、出来るだけ緊張しない様に努めているのか、ふふっと笑いかけてきてくれて、カミュは安心すると同時に申し訳なくなる。本当ならもっと堂々と、気を使わせずに済むようにしてやりたいくらいだった。
こうしているのをイレブンは嫌がるようではないので、しばらく肌を合わせつつ、キスをしたりくだらない話をしたりしてみる。目が合うたびに恥ずかしくなったり、緊張したりもしたが、さすっていたイレブンの腕から鳥肌が消えたのが解って安心した。
白くてスベスベな背中を撫でつつ、少しずつ腰の方へ手を伸ばしてみる。何か言いたそうな顔をしたらキスをしてごまかしつつ、じわじわと腰へ下っていく。
「そこ、はずかしいよ…?」
「さわり心地がいいもんだからつい。…もっと下、触っても良いか?」
恥ずかしそうにコクンと頷いたのをみて、ゆっくりと手を進めようとしたが、これは布地の上から行くべきなのか、下に滑り込んでいいのかで一瞬悩む。どうする。いきなり直にはまずいかと思い、ズボンの上から尻を撫でる。
「ッ」
イレブンが息を飲んだのが聞こえてドキっとする。
「嫌だった?」
「ううん、大丈夫だよ。だって」
そこ、使うんだよね?と消えそうな声でいってきて、ゾクっとした。ああ、そうだ。あの男のようにしっかりとほぐしてから、イレブンの中に自分の性器を入れるんだ。
そう意識すれば、触っている指がなんだか突然敏感になって、ズボンの上から彼の形をより感じる。布の上からでもわかる。引き締まった小さな尻だ。
いいケツ、という表現があるのは知っているが、それはどういう基準なのだろうか。そそるという意味なのか?まて、イレブンの尻がそそるのは、別に形じゃなくてイレブンに対して興奮しているだけじゃないか、ということは別に尻の形について何か言う必要はないんじゃないか、とか、そんなことを考えてしまう。それどころじゃないのだが。

「直に触って良いか?」
「うん。」

腰を撫でていた腕はそのままに、左手でイレブンのズボンの前の紐を解く。手早く解いて勢いで下着の中に手を突っ込んだ。
「ひっ!」
「悪ぃ。」
「大丈夫、ちょっと手がヒヤッとしただけだから。」
今夜、カミュを受け入れる予定である場所にゆっくりと指を這わせると、流石にイレブンの体がモゾモゾと抵抗した。もし逆の立場だったらと思うと、モゾモゾで済むこの恋人の度胸に頭が上がらない。
「カミュ。」
「どうした。」
「抱きついて良い?」
「…そんなの一々断るなよ。良いに決まってんだろ?」
腰を抱いてぐっと引き寄せるとイレブンはカミュの背中に腕を回して体をピタリと合わせる。耳元でふぅふぅと息をしていて、秘部への刺激に耐えているようだ。申し訳ないような、そそるような。

ただ、何時までもこうしているわけにはいかない。先へ進むにはとりあえず、イレブンのこの秘部の準備をしなければならない。
連中は何か使ってほぐしていたらしい。その時の発言だとかから考えればヌメリのあるものだと推測される。お互いのカバンにそんなものは入ってただろうか。少なくとも専用のモノなんかあるわけない。

粘液。

僅かな思案の後、カミュはイレブンのズボンを脱がすことにした。思ったより抵抗されなかった。そして自分も全部脱ぎ捨てる。
「ぁ…」
尻を触られてたとはいえ、流石に前をおおっぴらにする勇気はないらしく、不自然にならない程度に足で隠している仕草が腰に来た。
「もう、するの?」
「まだしねぇよ。」
お互いに生まれたままの姿になって改めて抱きしめあうと、さっきよりずっと興奮する。互いの素肌を見たことが全くないというわけじゃなかったが、今2人がこうして裸になっているのは、風呂に入るためではなく、愛し合うためだと意識すると見え方も違う。
イレブンの腰をさすりながらまたキスをする。舌を絡めるキスもだいぶ慣れてきた。肌に触れる指も段々遠慮が無くなってくる。
カミュはイレブンを抱きしめたまま布団に横になる。
「カミュ?」
「ちょっと都合があってな。」
腰を撫でつつ、少しだけ前を意識させる。
「なぁ、触って良い?…どこをか言わなきゃわかんないか?」
「うっ…、その、ううん、大丈夫。触って良いよ。」

手を一度臍の辺りへ移してから、ゆっくりと下げていく。
「ッ!」
カミュの腕をつかむ白い指に力が入ったが、そのまま下へ下へ降りていく。

「あっ」

ぴくん、とした。赤の他人に触られることも初めてのイレブンの中心は、固くはなっていないが熱を感じる。
「嫌か?」
「ドキドキする。あんまり弄らないで。」
「でも触ってると固くなるだろ?」
「そ、それが恥ずかしいから…。」

自分の指を感じてそれで固くなってくれるのなら、それは幸せな事だ。指の腹を使ってやわやわと刺激する。
「カミュ、それ、だめ。」
「気持ちがイイってことか?」
「う、うん…。」
はぁはぁという息遣いの間に、ん、とか、ふ、とか甘い声が混ざる。2人で逃走をしてからだいぶ時が立ったが、カミュはイレブンが自慰をしているところすら見たことはない。していたかも怪しい。そんな心理状況ではないのかもしれないが、いずれにせよイレブンの甘い声なんてのを聴いたのは今日が初めてで、それだけで興奮した。
「可愛い声出すんだな。」
「か、可愛くなんか…。」
「俺からしたらすげぇ可愛い。もっと聞きたい。」
「か、カミュ!」

指の力を少し強くして、あえて興奮するように仕向ける。イレブンは、やだ、と言いつつ息を荒くしてまるで快楽に耐えるように目をぎゅっとつぶっていた。
「…お前だけなんて恥ずかしいよな。」
イレブンの手をとって、ゆっくりと自分の中心へ誘う。
「俺のも触ってみる?」
「ッ…」

イレブンにも解ったことだろう。それはイレブンの意志を問うものではなく、自分のを触れという命令に似た提言だということを。だからこそ、イレブンはおずおずとカミュの手に誘われるままその中心へ指を伸ばす。

「!!」

イレブンのモノとは非にならない程の熱をすでに内包していた。
「か、かみゅの…」
「触られるのも、呼ばれるのも全部いい。全部気持ちがイイぜ?」

イレブンの手の上から握りしめて、2人の手でカミュは自身を扱く。じわじわと昂ぶってきて、後少しというところでイレブンのモノを握った。
「わっ!」
「ほら、お前も気持ちよくなって。」
自分のモノからイレブンの手を離して、自身を扱くよう促すと、鈍いながらも自慰を始める。その姿がまたエロくてヤバかった。もうイけそうだ。覆いかぶさるように激しいキスをしながら、イレブンを煽り、こちらに意識が来ないように激しく揺さぶって、カミュは自身を強く扱いて、ばれない様に射精した。
溜まっていた粘液が手のひらにあふれる。

カミュに思いついた粘液はこれしかなかった。

いや、他に全くアイデアが無かったわけじゃない。ただ何となく、自分以外の何かが最初にイレブンの中に入っていくのが許せなかった。イレブンのモノを使うという案もあったが、先にイかされた挙句、その精液を自分の秘部に塗りたくられるというのはどうなのかとも思ったし、イレブンが一回で満足してしまう可能性もあったから、これしかなかった。

「カミュ…、もしかして」
「…たまったもんを全部お前の中に出すわけにいかねぇだろ?」

流石にカミュが一回目を出したことにイレブンも気づいたらしい。だからもっともらしいことを言って納得させる。

「けど…二回目は、お前の中に出したい。ってか、きっとお前と繋がったらガマンなんかできねぇし。」
「大丈夫、僕の中に出して。」

どこまでも健気な恋人だ。カミュは手のひらのものを見られないよう気を付けつつ恋人にキスをしてやる。
「結構汗ばんで来たな。そろそろ、ちゃんと準備しねぇとな。うつ伏せになれるか?」

イレブンはおずおずとうつ伏せになって、自ら腰を持ち上げた。
「こう…でいいの?」
「ああ。」
こちらの様子を見られないのは安心する。
そして、明かりに照らされたイレブンの秘部を見た。
どうしてこんなところまで綺麗なんだろう。

カミュは尻に数度キスをして覚悟を決める。それから、手のひらのモノをゆっくりとイレブンの凋みに落としていく。
「ッ!」
白濁を指で混ぜるようにしながら、秘部の周りをクルクルさせて先っぽが入るか刺激してみる。
「ッ…うぅ…」
信じがたい感覚に息を止めているようだが、多分それはよろしくない。
「リラックスしろ、ってのムリだよな。」
「ごめん…。」
「俺の方こそ悪い。ちゃんとしてやれりゃいいんだけど。」
「カミュ…」

イレブンは体を起こし、キスをせがんだ。それにちゃんと応えてやる。何度もキスをしていると、イレブンの体から緊張が抜けていくように感じた。これならいけるかもしれない。
もう一度イレブンを寝かせて、改めて穴に指を宛がう。さっきよりも緩くなってそうな気がする。じわじわと穴に粘液を塗り込むようにしていると、
ヌプっと指先が入った。
「ッ!ッ〜〜〜!!!!」
イレブンの指がシーツをつかむ。千切れそうなほど強い力だ。
「ゆび、カミュの指…!へんだよ…」
拒絶ではあるが、抜く気はなかった。じわじわと指を進めていく。ぎゅうぎゅうと締め付けられて苦しいが、イレブンがはぁはぁと息をし始めるとヌルヌルと奥へ入って行った。

「イレブン、指入ったぜ?」
「うん…ごめんね…んッ…ぎゅうぎゅうしちゃう…。」
「当然のことなんだから気にすんなよ。指動かすからな。」

ゆっくりと動かす。はっきりいって動かせていると思えるほどは動けない。それくらいに締め付けられる。でも無理は出来ない。出来うる限りのことをするほかない。顔が見えない不安があるだろうと思い、せめてもと空いている手を彼の顔の方へ向けると、イレブンはその手をギュッとつかんで、こちらを一瞥し不器用に笑った。指先で互いの体温を感じる、それだけで少し心が落ち着いて、イレブンの中も少しずつほぐれていく。
ぬちゃぬちゃと粘液の音がして、幾度かイレブンは体を震わせたが、穴はすっかり指一本なら動かせるようになった。
だが、カミュのモノが指一本サイズな訳は無く、はっきりいって不足すぎる。あまり意識させない方が良いかと思い、黙って指を一本増やしてみる。
「あうぅッ」
「悪ぃ」
「だいじょうぶ…指…?」
「二本入れた。」
「あッ…う、うん。」
先ほど触ったカミュのモノを思い出したらしく、そ、そうだよね、と再び耐え始める。カミュは黙々と中を弄っていたのだが、はぁはぁと苦しそうに息をしているイレブンが忍びなくて色々思案した。
「その体勢きついよな。」
体を支えるものを用意した方が良いか、そうだ布団を丸めて上体を乗せればいいんじゃないか?と思い立ち、行為を中断してでも用意しようと指を考えなしに引っこ抜いた。
「んわぁああ!!」
イレブンは悲鳴にも嬌声にも似た声を上げてしまったと焦る。
「悪ぃ、指抜くの急すぎた…!痛くないか?」
穴を見ると少しだけ口を開けてピクピクしている。やばいものを見てしまった。その穴は失った指を求めているように見えて煽られた。イレブンの体が俺を求めている、なんていう錯覚を覚える。
「だいじょうぶだけど…どうしたの?」
「いや、その姿勢辛そうだから。」
カミュは横にのけていた布団を雑にではあったが畳んで丸めて、イレブンの胸の下あたりに抱かせてやる。
「ごめんねカミュ、気ばっかり使わせちゃって…」
「いや、無理させてんのこっちだし。」
久しぶりに顔を見合わせた気がして、数回吸い付くようなキスをする。イレブンはまた意を決したように布団に身を委ねながら腰を向けた。
そこはまだヒクヒクしていてカミュは焦る気持ちを抑えながら再び指を入れた。暫く続けているとゆっくりながら解れてきて、調子に乗って指を増やす。

「ねぇ、いま、どうなってるの?」
「今?…俺の指3本が入ってる。きついか?」
「少しずつ慣れて来たよ?でも、カミュの、もっとあるもんね…。」
「まあ…だから、ちょっと指の動きでかくするぞ?」
「うん。」

今度は断ってから指を大きく動かしてみる。
穴を広げるようにしつつ、指先は中を引っ掻くようにうごめかす。
「は、は、。カミュ、それ、おかしいよ…!」
「何が?」
「うぅぅ…はぁ…へんなんだ、なんか、あぁッ… ッあんッ!」

突然大きな声が出て2人で一緒に驚いた。

「おい、大丈夫か?」
「はぁ、はぁ…カミュ、今のところだめだよ…」
「だめ?」
「頭の中、まっしろになっちゃいそうだったから」
「…それって、気持ちがイイってことか。」
「気持ちがいいってことなの…?」
「もっかい弄るぜ?」

先ほどと同じように引っ掻き回すと、また声を上げた。
「やだ、やだッ!」
いやだと言いながら逃げようと腰を揺らす。拒否反応なのかあるいは違うのか、イレブンの秘部はカミュの指を逃がすまいとぎゅうぎゅうに締め付けていた。
カミュは無心になって繰り返していた。無心にでもならなければイレブンの声に自身が限界を迎えてしまうのではないかと思い、何も考えまいと努めていた。

続けていくと、拒否の言葉が減り、腰の動きが段々大胆になっていく。
声を抑えることも忘れて、呼吸のように「あッ」と甘い声を漏らしていた。

「指、慣れてきたな。」
「はぁ、はぁ、…カミュの、指…すきだよ…。」

指をゆっくりと引き抜くと、イレブンの秘部はだらしなく口を開けていた。
まるで、何かを欲しそうにしている。さっきよりもずっと大きく開いているものの、イレブンの声と腰を振っていた様子にさらに熱を増したカミュのペニスが簡単に収まるとは思えないけれど、出来ないことはなさそうだ。

「入れても大丈夫そうか?」
「…たぶん…。」

カミュは何も考えずに指を突っ込んでいたわけじゃない。ちゃんとイレブンの様子を観察していたつもりだ。3本目の指を増やした時は、そうキツくは無かったし、彼の呼吸は整っていた。きっと何らかの相関関係があるんだろう。
数か所は触れると物凄い締め付けだった。でも甘ったるい声を出してたから、本当は気持ちがいいんだろう。つまり、イレブンを気持ちよくするためには、あの締め付けを受けなければならないということだ。…覚悟は出来てる。

しかし、どういけばいい。

悔しいが、さっきみた男たちの様子を思い浮かべる。
立ったまま後ろからだった。だがそれはどうなんだ。屋外だからであって、室内では違うだろう。でもさっきの指の感じからして、向き合ってするのは負担がかかりそうだ。それなら今の方がマシじゃないか?
「顔見て安心させてやりてぇんだけど、きっとこのままの方が負担軽いだろうな。」
「…うん。」
返事が寂しそうなのが申し訳ないのだけれど、体を思えば仕方がない。
一度イレブンの体を起こして、キスをする。舌を使って彼の口を貪る。少し冷えていた体が申し訳なくて、背中をさすりながら温めて、まだ彼の気持ちが萎えてないことを確認する。
「こっから先、本当に本番だけど」
「うん。だってカミュだから、なにも怖くないよ?」
ぎゅうっと抱きしめられて、骨の髄からコイツに惚れたと実感した。この懐の深さに自分は甘んじていると思えば思うほど、情けなくもあり、同時に同じだけの愛を返したいと思う。絶対に傷つけるわけにはいかない。
「痛かったらすぐに言えよ。」
「うん。」

もう一度だけキスをしてイレブンは再び四つん這いになる。
カミュは、その後ろに膝立ちをする。
そしてイレブンの尻に数度キスをしてから、猛る自身の先を秘部の辺りにこすりつける。
「んッ!!」
「…どうした?」
「…今の、カミュの?」
「ああ。」
「すごく、あつい…あついの…入ってくるんだ。カミュのが…僕たち、一つになるんだね。」
「ああ。」

両手でイレブンの尻をつかみ、穴を広げるようにしてみると入りそうな気がしてくる。カミュは先っぽを穴に押し当てる。
「入れるぞ?」
「うん。」
「イレブン」
「なに?」

「今日から、全部、俺のもんだからな。」

片手で穴を広げながら、亀頭を押し付ける。そして、ゆっくりゆっくりと亀頭が収まるまでじわじわと腰を進める。
「あ、あ、あぁあああ、…あぁ」
イレブンは声を漏らした。

ぬぷり。
秘部は、カミュの亀頭を飲み込んだ。

「やっべ…入った。中、すげぇ熱い。」
すでに射精出来そうなくらいの快感だった。中がというよりも、イレブンの尻に自分のイチモツを突っ込んでいるその画がとんでもなく気持ちよかった。入るべき場所ではない場所で自分を受け入れてくれている。誰も触れたことのない未知の場所であり、大事なイレブンの大事な場所だ。そこに、まるで土足で踏み入れてしまったような不道徳さと聖域を犯した支配欲が胸中をめぐる。
「奥まで入れるからな。」
キツい。でも、痛くはない。ゆっくりとゆっくりと自身を押し込んでいく。
「はぁ、はぁ…かみゅ…かみゅ…」
「ちゃんと息して。息してる時の方が入れやすいっぽいし。」
指では触れられなかった部分は拒否反応を起こしたが、イレブンが名前を呼ぶたびに白い体はカミュの熱を受け入れていく。イレブンがシーツをぎゅっとつかんだ。
「ごめん、痛いだろ。」
「はぁ、はぁ、はぁ…」
イレブンは肩で息をしながら受け止めている。一気に行くわけにはいかない。呼吸が整うのを待った。
「痛いか?」
「痛いのはちょっとだけ…なんか、ぎゅうぎゅうで、変なんだけど、でも、うれしい。」
イレブンはこちらに首を向けて微笑んだ。自分に気を使って笑ってくれたんだろうと思うと苦しい。
「…無理すんなよ。」
「だいじょうぶ、来て。全部、いれて。」

カミュは腰を進める。悦びと熱に浮かされて先走りが中にあふれている。それが円滑材になり、ぐちゅぐちゅと音を立てながらとうとう付け根まで収まった。
「全部…入ったぜ?」
「はぁはぁ…カミュ、カミュ…」
「イレブン…。」

こんな大事な瞬間なのに顔を見てやることも、キスをしてやることも出来ないのが歯がゆい。
「イレブン…俺達今繋がってるんだぜ?お前と。」
「うん…入ってる…んっ恥ずかしい…でも、嬉しい。」
「イレブン、愛してる。」
「ぼくも…」

小さな消えそうな声で愛を囁かれて、カミュは一瞬理性が吹き飛んだ。思わずもっと奥へ到達したいと腰をぐっと押し込んでしまった。
「ひゃぁあああん!」
イレブンは女みたいな声を出して体を震わせた。
「悪ぃ、大丈夫か!?」
「奥のほう変。あたると、頭まっしろなの。カミュは、きもちいい?」
「ああ。もうやばい。お前とドロドロになりたい。」

イレブンの中はすでに先走りでドロドロだ。最初に使った精液よりも多いんじゃないかというくらいの先走りで動かすのもだいぶ楽になっていた。
「動かすぜ?」
ゆっくりと抜く動きをすると、イレブンはシーツを両手で握りしめて、
「あぁあああ!!」
高い声を上げて背を反らした。ぐっと締め付けられてカミュも顔がゆがむ。

「悪ぃ、痛い?」
「は、は、は…はぁ…はぁ…いたくない、うごくの、こわい、おかしくなっちゃう!」
痛くないというので、ゆっくりと抜く動作を続けると、悶えた声を出す。
「あッ、あああん!」
本人の意思とは違う声が出たんだろう。ビックリしたように口を塞ぐ。指で触れた場所だろうか、一か所敏感に反応をした。瞬時的にキツく締め付けられたが、すぐにふっと力が抜けた。
「ここも変か?」
「ん…変なの…」
シーツを離した指が、彼の腹をなぞり、臍の下を指す。カミュの真下にあるイレブンのモノが少しだけ熱を持ったようだ。
「腰に来た?」
「ん…」
「気持ちがイイってことか。」
それなら遠慮はいらないだろう。カミュは亀頭ギリギリまで抜き、もう一度奥を目指す。「はッ、あぁん!はぁ…はぁ。やだ、へんなこえでる。」
「変?イイ声だ。いっぱい聞かせて。」
「やだぁ…やんッ!」
イレブンは変だといった最奥を少しだけ小突くとまた声が漏れる。どうやら奥とさっきの場所がイイらしい。イレブンの中もだいぶ緊張が解けて来たのか柔らかくなってきて、正直最高峰に気持ちがいい。こういうものなんだろうか。女も知らないカミュには解らないけれど、この気持ちの良さは中の熱や力具合だけではなく、目の前で目を潤ませている恋人やその肌の火照った姿や、漏れる声の全てが作用しているのだと思う。きっとイレブンでなければこんなに気持ちよくはない。
「お前が声出すとこ、一杯小突いて良い?」
「だめ…」
甘える声は今まで聞いたことがないほど可愛らしく、愛おしく、もっと乱れさせたい。普段ならダメと言われたら止めるのだが、今日は心からの拒絶とは思えなくて数度イレブンの体にキスを落としてから少しだけ小さく動いてみる。
「ッ…」

カミュははやる気持ちを抑えて、ゆっくりと動き続ける。
暫くするとイレブンの内壁はヤワヤワとカミュを包む様に求め始める。
少しだけ動きを早めてもイレブンが痛がる素振りを見せない。気を良くして動きをさらに早くさせる。

ごりゅ。

「ッああああ!!」
ほぼ声になっていなかったが、背中を反らしてイレブンが喚いた。
「気持ちがイイ場所だった?」
「んッはぁ…あたま、とんじゃう」
もう一度同じ場所を擦ってみる。
「んやぁあん!…けほッけほっ…」
体が小さくピクリと数度痙攣する。そしてぎゅうっと穴が締め付けられる。
「かみゅ…かみゅ…」
心が休まる呪文のようにカミュの名前を呼んでいる。それはまるで自分を求めているように聞こえる。こんなに体をつなげているのに。そう思うと何だか自分だけが喜んで腰を振ってた気がして急に怖くなった。自分は愛し合いたいのに、イレブンで気持ちよくなってるだけな気がして怖い。

「悪ぃ、やっぱ無理だ。」
カミュはゆっくりとペニスを引き抜いた。
「カミュ…?」
首を必死にこちらに向けてくるイレブンを一度抱きしめてやる。イレブンは不思議そうな顔をしながら、それでも猛っているカミュのものに目がいった。
「でも、カミュのまだ」
「やっぱ、顔見ないでなんかできねぇ。お前の顔みて、ちゃんとお前に愛してるって伝えながらじゃねぇと、何か…納得できないっていうか。」
「顔見ながら…」
「正面向いて繋がろう?」
イレブンも小さく頷いた。

前から繋がるなんて本当に可能なんだろうか。もう一度指で確認をしてみる。イレブンはビクンとしたが、ゆっくりとカミュの指を再度受け入れる。一番負担なく入れられそうな角度を探す。脚を抱え込むようにすれば楽かもしれない。
「これ、腰痛いよな。」
「大丈夫。…顔見える方が嬉しいから。」
片足はイレブンが自分で抱え込むようにして、片足はカミュが持ち上げる。
カミュは猛々しい自身をとり、そこへゆっくりとあてがう。白い体がビクンと震えた。
「ゆっくり入れるから。」
「うん。」
二回目ということもあり、中はすっかり粘液でドロドロになっていたこともあり、亀頭はすんなり収まった。その様子をイレブンは見ていた。
「入ってる…カミュの…。」
「お前が受け入れてくれたんだ。」
イレブンは恐る恐るとその繋がっている場所へ手を伸ばす。そして結合部に指で触れると身を震わせた。穴がきゅんと締まった。
「もう少し奥入れるからな。」
「うん。」
ぬぷりぬぷりと推し進める。思ったよりすんなり収まっていくが、目が合うたびに甘く締め付けられて、さっきよりもずっと気持ちがいい。付け根まで入れれば奥まで届く。
眼下のイレブンははしたなく足を広げ、しかも片足は自分で持ち上げながら、カミュのペニスを秘部で銜えている。自分の為にそんなに恥ずかしいことをしているなんて。見つめれば見つめるほど愛おしくなる。ゆっくりと腰を動かす。
「はぁ…はぁ…カミュ」
「イレブンの中、最高だから。あー…やべぇ出そう。」
「出して…カミュの出して…」
太腿の付け根辺りをぐっと掴んで腰をぶつける。
「ッあぁあああ!」
奥のイイ所に当たったんだろう。可愛い声を出している。あまり無理をさせないように小さな律動を繰り返す。イレブンの中はだんだん遠慮を忘れて、きゅうきゅうと締め付けてくるようになっていた。特に入口の辺りはまるで意志を持っているかのようにぎゅっと絞ったりゆるゆると撫でる様だったり、カミュのペニスを味わっているかのようだ。
ぬっぷぬっぷと粘液の音がする。それらが全部自分から出たものかと思うとカミュは興奮した。
粘液で、性器で、イレブンを汚している。
それが快感だった。

イレブンの反応など構わず、奥を細かく、しかし激しく突いていた。
「は、は、は、は」
細かく息をしながら、イレブンがカミュを見る。カミュもそれを見て微笑む。
なんて愛おしい恋人だろう。
「ちょっと姿勢厳しいかもしれねぇけど。」
カミュはイレブンの両ひざを抱えて、少し奥へ腰を突きだす形にはなってしまうのだが、つながったまま小さな唇に貪りついた。イレブンも舌を出して応えてくれる。唇は求めあい、下半身はつながっていて、まるでひとつになった気持ちだ。キスをしたまま腰をグラグラと揺らすと触れていたイレブンの指に力が入った。気持ちがイイのだろうか、調子に乗って続けているとイレブンの呼吸が荒くなった。

「それ、すごく、あたるの、きもちがいいの…」
「じゃあいっぱいしてやるよ。」
グリグリと彼がイイと言った場所に亀頭をこすりつけているとイレブンが身をよじった。
「あっ…」
まるでいけないことをしてしまった子供のような声を出すので、唇を離して体を起こしてみる。ぴょこんとイレブンのペニスが立っていた。
「やだ…」
「立ってる。本当に気持ちがいいんだな。」
ペニスで腰を突くように揺らすと、蜜を振りまいた。イレブンは恥ずかしそうにそれを隠そうとしたがカミュはその手をつかんで制する。
「見せてお前の」
「はずかしぃ…」
「可愛いから…お前、全部俺のもんだから。」
「ん、うん…」

律動に揺れている。無性に触れたくなって、腰を止めて許可なくそれをつかんだ。
「やぁああん!あ、だめ、だめッ、でちゃッ…!」
少し強く扱くとさらに固くなった。
「イレブン…こんなとこまで可愛いとか、本当にお前って」
「かわいくない、かわいくないから、て、はなしてッ!でちゃうッ!」
聞く耳は持たず、イレブンのペニスをつかんだまま再び腰を振る。掴まれているせいかイレブンの腰が上がっていて、カミュのペニスが再びイイ場所に当たった。
「ッ!!!!」
イレブンは体をぐっと反らし、腰を痙攣させた。カミュがそれを突き上げた時。

「やだぁあ!!」
びゅるッと、吐精した。

吐かれたそれはイレブンの体にポタポタと落ちた。
「見ないで、見ないで…!」
「見るだろ、こんなの。」
イレブンの腰はまだビクンビクンと震えていて、穴もそれに合わせてきゅんきゅんと締めてくる。
「気持ちよかったんだな、良かった。」
「はぁはぁ…うぅ…カミュ…」
「俺ばっかり気持ちが良かったんじゃないかって思ってたから、良かった。お前もちゃんとイってくれて。」
「カミュと繋がるの、キモチイイもん。」
一度強く奥を突いてやった。
「やん!」
「本当に、お前…あー、また、デカくなったからな?お前のせいだぜ?」

イレブンの中に納まっているカミュのペニスは彼が知るよりも育っていた。亀頭ギリギリまで引き抜いたときに自分でも驚いてしまった。自分のものとは思えない程の質量だった。そして腰をゆっくり進めればイレブンは全部それをくわてしまうのだ。興奮した。

腰を振りながら、時折キスをして、再び律動を早める。イレブンの胸の上でイレブンの精液がふるふるしている。それを指で掬って、イレブンの乳首にこすりつけた。
「ッ、やだ、へんなことしないで」
しかしそう言いながら、穴がきゅっと閉まる。乳首が気持ちがいいのだろうか。つめで弾くようにするとぎゅんぎゅん締め付けてくる。射精したいと訴えている。
「やべぇ、流石にもう限界だ。」

腰を、煽るように振った。

「出すぞ…!」
「出して、出してッ!」

激しく腰を振られて、イレブンの意識はとっくにどこかへ飛んで行っていた。何の意識もせずに突き上げてくるペニスをひたすら受け止め、締め付け、感じるだけだ。
カミュはイレブンの腕を背中に回すようにしてから、抱きしめるように背中に腰を回した。体を密着させて全身でイレブンを感じる。耳元に聞こえる小さな喘ぎ声に昂ぶって、何度も何度も頬にキスをしてやる。

「あ、あーあぁああ!」

爪が背中に突き立てられる。イレブンは背中に腕を回したまま、ぐっと背中を反らした。
ぎゅっと穴が締まり締め付けられる。カリぎりぎりまで引き抜き、何度も奥まで突きあげる。奥の方で小刻みに突きながら付け根の締め付けを感じる。指何か比じゃない。

「イレブン…!出すからな、全部、受け止めろよ…!」
「ん、カミュ、んぁあ、やぁああッ!………ッあッ!!」
「ッ」

カミュは中に放った。
二回目とは思えないくらいだった。
壊れたんじゃないかというくらいにビュンビュン放って、脱力したイレブンの体から自身を抜くことが出来ない。
「やべぇ…」

全てを出し切り、引き抜いた時、
イレブンの穴からとめどなく溢れてくる精液を見て、まるで自分の気持ちを客観視した気持ちにすらなった。どれだけイレブンへの愛を溜め込んでいたんだろうかと。

暫くするとイレブンの意識が戻ってきたようで、汗だくのままカミュに笑いかけてきた。
「つながっちゃったね」
「…野暮かもしれねぇけど、感想聞いても良いか?」
「…幸せだったよ?カミュと一緒にはずかしいことして…一杯感じたよ?」
「俺もだ。」

笑い合って、キスをした。



「ねぇカミュ。」
「ん?」
ベッドに横になって、イレブンはカミュに見つめられながら問う。

「僕の気持ち、全部伝わった?」
「ああ。俺は、お前に愛されてるって十分伝わった。」
イレブンはくすぐったそうに笑う。行為の途中とも、デートの最中とも違う、初めて見る笑顔に思えた。ああ、イレブンは心から満足してくれたんだと胸をなでおろす。
「俺の気持ちは?」
「全部、受け止めたよ?いっぱい…溢れちゃうくらい。」

それが何を指しているのか聞くのはそれこそ野暮だろう。

疲れきったイレブンがゆっくり目を閉じた。寝息が聞こえてからカミュは動き出す。後始末をしなければならない。実際どうすればいいのか、見たことも聞いたこともないが、兎に角イレブンが受け止めてくれたものは出した方が良いだろう。

責任を感じる。
それはもう、彼が子どもではないことの裏返しでもあった。本当はイレブンの隣で寝顔を見ていたいけれど、ちゃんと責任を取りたいと思った。イレブンを進むつもりのない場所へ誘い込んでしまったのだから、最後まで手を引いてやろうと、カミュは誓った。

二度とその手を離したくなかった。









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