ワガママ
初出:pixiv/2017年9月26日




久しぶりにソルティコへやってきた。

勇者なりの仲間への気遣いである。

色々な国を回ったし、各地に美味しいものはあるのだけれど、
女性陣(オトメ含)はここの料理が一番好きらしいので、
ひと段落ついたところで、時折やってきていた。
メダ女の運営するリゾートホテルに泊まるのが細やかな贅沢なのだが。

「6人分しか空きがございません。」

まぁ8人の大所帯なので仕方がない。

「俺は普通の宿屋で構わん。ゴリアテは自宅でも行ったらどうだ。」
「ええー!アタシも美味しいディナーを頂きたいのに」
「私が代わりに他の宿屋で構わないから、シルビアさんが泊まったらいかが?」
「姫こそこちらでお休みされよ。ワシが」

譲り合いが始まると、いつもの一言が挟まる。

「皆の疲れを取るのが目的なんだから、僕が隣の宿屋に行くよ。」

一番疲れているはずの勇者が譲りだす。
おっとりしているように見えて極めて頑固なので、説得をさせるには相棒が必要なのだけれど、
「じゃ、俺も一緒に別行動させてもらうか。」
珍しく勇者の意見を後押しする。

「カミュちゃんにしては珍しいわね。」
「折角カジノがある町にきたってんのに、なぁ?」

僕は別にカジノには興味ないんだけど、と思ったが都合はよかった。
勇者も時には気ままに過ごしたいだろうということで、渋々勇者とその相棒の個別行動が許可された。

「じゃあ明日の、昼前に門のところでね。」
「ええ。カジノではしゃぎすぎない様にね?」
「うん。」

仲間たちのチェックインを終えて別れた。仲間の姿が見えなくなったのを確認して相棒に単独行動の許可を出す。

「カミュ、カジノ行きたかったら行ってきなよ。」
「別に用はないぜ?」

ケロっと言われて眉をひそめた。

「あれ?そうなの?」
「そう言えば納得するだろって思っただけだ。」
「そっか。」

普通に相棒の援護射撃というところだったようだ。皆の顔を見ていると安心はするのだけれど、色々考えてしまうこともあったから、偶には一人でのんびりしたかったのだけれど、
どうにもこの相棒はそんなつもりはないらしい。

「さっさと宿とらねぇと野宿になりかねないぜ?」

そう言って宿屋へ連れて行こうとする。それもそうかと足早に宿へ向かった。
流石に2人部屋は空いていたので泊まれた。
カミュが何時になく宛てられた部屋に早足で向かうので、
支払いを終えてから追いかけた。どうしたのだろう。雰囲気が違う気がする。

「ベッドで寝るの久しぶりだな。」
「そうだね。ごめんねいつもキャンプで。」
「ま、お蔭で財布にも余裕があるし、いいんじゃねぇかな。」

そんな他愛もない話をしていたのだが、状況は一変した。
部屋に入るなり、イレブンはいきなりベッドに投げとばされた。
カミュは部屋に鍵をして、ベッドの上で驚いたままの男の顔を覆いかぶさるようにして見つめる。
イレブンは理由を問おうと口を開いたのだが、カミュに先を越された。

「限界。」

どういうこと?とその言葉について質問を投げるが、
その目を見て何が限界か察した。

「いつ振りか解ってんのか?」

この目は、盛っている時の目だ。確かに旅の最初の頃に関係を持ったし、
その後も数回そういうことをしたが、デルカダールで仲間が8人になってからはとんと無かった。
正直そんな余裕もなかったし、仲間も目も避け辛かった。
どちらかと言えば淡泊なイレブンとしては別に気になっていなかったのだけれど、
カミュはお察しの状態だったらしい。

「…嫌か?」

聞いているというよりは、覚悟を求めている。
その証拠に彼の手はイレブンの服のベルトを外し始めていた。
着るのも脱がすのも厄介だ。まるで着ている男のガードさながらである。
イレブンは抵抗せず、身をゆだねた。
嫌か?との問いに、素直に答えるつもりはなかったけれど、嫌悪感も拒否反応もない。
お互いに無言のままイレブンの服を脱がし終えると、
拘束するように馬乗りになったままカミュも服を脱ぐ。
彼の軽快な動きを支えるための筋肉はしなやかで美しい。
自分とは違う造りに見入った。

「イレブン…何も言わないと、このまま食っちまうぜ?」

嫌だといったところで、喰わずに終わる未来は見えない。
イレブンはいいよ、と小さな声で呟いて、男に自分の体に触れる許可を出した。
カミュは許可を貰ってから、ゆっくりと割れ物に触るくらい丁寧に、その頬を撫ぜ、挨拶のようにキスをした。
久しぶりで緊張しているのに、彼の首にかかっているネックレスが体に当たってビクリとする。
触れるだけのキスを繰り返し、舌を忍ばせ絡めあい、咥内をめぐって、呼吸を奪う。
何時もと変わらないハズなのに、イレブンには違和感があって、呼吸の合間に彼を観察すると気づいた。
全身の毛が逆立っている。
荒い呼吸を抑えてるように胸が動いている。
目は血走るということはないが、胡乱な目をしていて、焦点が定まっていない。
焦りが感じられる。

こんなカミュを見たことはなかった。
もっともそこまで頻繁に行為に及んでいたわけじゃないので、
全ての彼を知っているとは断じて言えないのだけれど、
何時もならもっと余計なことをいってこちらをその気にさせようと躍起になることが多く、
年上の彼が少しだけ子どもに見えることもある。その彼は居ない。
今、自分の目の前にいる彼は、必死に耐えているようにしか見えなかった。

イレブンが上体を起こすと覆いかぶさっていたカミュは驚いたようだったが、
イレブンの目を見つめた。何かを覚悟したような目に少し躊躇した。
「…嫌だったか?」
「ううん。あの、首飾り、とってもらってもいい?」

カミュは意外そうな顔をしつつ希望にそった。
今までそんなことを言われた試しがない。

「ありがとう。ちょっとひんやりして気になって。」
「前から気にしてたか?悪ぃ気づかなくて。」
「今日思っただけだから。何時も外さないもんね。風呂でもさ。こだわり?」
「あぁ…まぁそうだな。」
「僕、ワガママ言っちゃった?」
「ワガママってほどのことじゃねぇけど…お前が何か要求してくるなんて珍しいな。」
「カミュは優しいよね。僕が何かワガママいうと、何でも聞いてくれるし。」
「まぁ、甘いなとは思ってるけどよ、お前だと思うと拒否なんかできねぇし。」

「じゃあ。僕もそうしようかな。」

珍しくイレブンがカミュの頭の腕を回して、彼からキスをしてくれた。
触れるだけのものだけれど、カミュはそれにゾクリとする。
だがそんなものは序の口だった。

「僕の体、好きにしていいよ。君のワガママ、今夜は全部受け入れるから。」

心臓がドクリとなった。

「なんつった?」
「好きにしていいよって。ちょっとやそっとで壊れるほど弱くないよ。昔よりね。」

誤魔化すことなくもう一度告げられて、全身の血が沸いた。
イレブンが傷つかないよう耐えて耐えて、極めて優しく触れてきたのに、
そんなことを言われてしまうともう。

「理性きかねぇよ?」

唇に噛みついた。








「ッ…」

ベッドの脇に置いていたカバンからオイルを出して温める余裕もなく、
イレブンの穴に塗りたくった。そして指を侵入させる。
四つん這いになっているイレブンには、カミュの顔は見えなかったが、
その指先から余裕の無さがうかがえた。
カミュは久しぶりの行為を体に思い出させようと、内心焦りつつ指で馴染ませる。
だが杞憂だったようだ。
「久しぶりってんのに、すげぇな。もう悦んでる。」
指を入れれば力み、抜けば縋るように絡みつく。
馴染ませたオイルが暖かくなってきてから指を増やし、中を弄り回るように蠢かせる。
「ひッ!」
少し荒くしてもそれを逃さまいと食いついてくる。
イレブンの息が荒いのは快楽の証でしかない。
「あんましエロい声だすなよ?」
イレブンの中の、一番イイところはもう知っている。
どんなに久しぶりでも忘れるわけがない。
そしてそこを弄れば彼がどういう反応をするのかも、カミュは知り尽くしている。

指の動きを一度止めて、息が整うのを待ってから、
良い場所を爪の先で刺激した。

「ひゃッあああぁん!!」

まるでそういう女のような声を上げる。入口はぎゅっとしまり、
体をわずかに痙攣させる。
思った以上の反応にカミュの口角が上がった。

「すげぇ感度いいじゃねぇか。久しぶりだからか?やっぱり欲しかった?」

イレブンが淡泊なのは知っていた。
その上この宿命に真っ向から立ち向かっているのだからあまり気乗りしないのは承知の上だ。
だからこそ、体が反応してくれることが嬉しかった。
この時間を求めていたのは自分だけじゃないと、少しでもそう思い込みたかった。

クチュクチュと音を立てながら中をじらすようにいじる。

「ッは、は、や、だぁッ…なか、おかしくなるッ…!ひゃんッ!」

指をさらに増やして中を引っ掻き回すとまた甘い声を漏らす。

「お前の声、エロすぎるからもうヤベぇ。」

限界にもほどがある。入口部分もだいぶ柔らかくなってきたようだ。

「入れるぞ?」
「うん…」

カミュは自分の唇を噛み慎重に自身を穴へと侵入させた。
「きっつ」
流石に指程度と比べれば圧倒的な質量で、カリまで入れるのは中々苦労した。
とはいえ一番最初にした時を思えば、かなりすんなり入るようになったものだ。
それはイレブンの体が男を知ったというだけではなく、
彼自身がカミュを受け入れてくれたということでもあると、
そう考えるほどカミュは嬉しくなる。
呼吸が落ち着いたのを見計らって、ゆっくりと腰を進めると、
イレブンの秘部はカミュの全てを飲み込んだ。

「ッ…あ、はぁ、はぁ、ぜ、んぶ、はいッ…た…?」
「わかるだろ?」

どこまで入っているのかを知らしめるように、軽く突けば「ひゃん!」と声を上げた。

「久しぶりの感覚はどうだ?」
「んッあ、あついよ…かッ…たいし…ッはぁ」

中は熱いし、オイルでドロドロだ。それだけで達してしまいそうだが、そうはいかない。
久しぶりだからこそ、イレブンを想って溜め込んだもの全てを彼の最奥に放ちたい。

「なぁ、奥に出したい。いいか?」
「んッ、あッ…い、いい、よッ…」

最初の言葉通りに、今日は本当にワガママを赦してくれるらしい。
腰を揺らして優しく責める。中は気持ちがいい。幸せな気持ちになる。だが、
一番イイのは、この卑猥な体が達したあとの締め付けだ。一度も忘れたことがないあの快感で達したい。
自分が達するより前にその状態まで持っていかなければいけない。
つまり、イレブンを先にイかせるということだ。
もっともカミュが先にイったことは一度もなく、それはプライドでもある。
イレブンのイイ場所は重々解っているが、そこだけで簡単にイかせるのもプライドが許さなかった。
カミュはイレブン腰をぐっと掴んで、自分の腰を突き出す。

「やぁあああッ」

今日一番の奥に触れてまた啼いた。少しきつくなる。
ゆっくり引き抜いてから、少し手前の前立腺に先をグリグリとこすりつけると、
オイルと先走りがぐちゃぐちゃと音を立てる。そして再び抽挿をする。
「やッ、あ、はぁ、はぁ…ッ」
息を吸いながら、律動に合わせて声を漏らす。時折、イイ場所を促すように腰を振り、身をよがらせながらカミュを感じている。

「欲しいだろッ?お前、中でイくの大好きだもんな…!」
「や、やって、あぁん…あ、あ、あ」

ぬちゃぬちゃという音が部屋に響き、それが何によって発生している音なのかを想像するだけで
全身の神経がその音の元に集中していくようだった。

「あ、あ、やッ、んぁッ…」

動きに合わせて声が漏れる。その声に羞恥の色はなく、快感に甘んじている。
そろそろ良いだろう。甘い動きを止めて、イレブンの左手をつかんだ。
それだけで深くまではまってしまい、少しだけ可愛い声を上げる。
崩れていた体が持ち上がって、お互いに顔がすこし見えるようになって嬉しい。
「逃げんなよ?」
イレブンのイイ場所だけを硬くなりきったペニスでゴツゴツと突いた。

「や、やめぇっ!い、いっちゃッ!やだッやぁ…ッ!!」

いきなりの刺激にぐっと昂ぶった。イレブンは男のものとは思えない声を上げて上っ面の抵抗をする。
体は悦びに震え、動き回る熱を逃がすまいと締め付ける。ぬちゃぬちゃと音を上げて、獣のように背中を反らす。

「イッ…ンッあ、あッ、や、やぁああんッ!イッ、くッ…!!」

体を大きく痙攣させて、穴がぐっと閉まる。
カミュはここぞとばかりに、ぐっと腰をつかんで、その圧で中の自身を扱く。
腰を出来る限り押し付けて、その奥の、奥まで届くように突き出してから、
熱を放った。

「ッあぁああ!」

今までは嫌がってきた奥での射精にイレブンは体を震わせた。
イったあとで全身が敏感になっていたというのもあるが、
カミュが耐えて耐えてきたものが今、中に放たれたのだと思うと余計に出された物を感じてしまう。

まだビクビクとしている体からゆっくり自身を引き抜いた。
白い糸を引き、秘部から精液とオイルがトロトロと滴れている。
体を解放されたイレブンはぐにゃりと脱力してうつ伏せに倒れ込んだ。

「上体おこさねぇと、出したもん出てこないぜ?」
「んッ…」

胸の辺りに腕を回してぐっと引き寄せ、自分の体に身を預けさせる。
やっと顔が見える。
イレブンは顔を真っ赤にしながら唇を濡らしていた。

「エロい。」

唇を舐め上げて深いキスをする。脱力していたイレブンもそれには応じてくれて、
クチュクチュと音を立てて互いの咥内を味わった。

「お前の体、やっぱやべぇよな。」

余韻に浸っているイレブンの下腹部を確認すると、ぬるぬるにはなっているが、
吐精した形跡がない。たぶんカミュが原因なのだが、
自慰すら碌にしていなかったこの体に、中の刺激を覚えさせてしまったことが原因なのか、
吐精せずに達する、いわゆる雌イキを覚えてしまったのだ。

「ま、お前がイってるの可愛いし、気持ちがイイし、歓迎なんだけどな。」

淡泊ゆえの防衛的機能なのかも知れなかった。
そうでもなければカミュを満足させることは体力的につらいものがあった。
関係を持って2回目あたりから習得してしまい、それによってカミュを満足させられるようになってしまった。
お蔭でカミュはイレブンの女のような絶頂をすっかり気に入ってしまっている。
無論かといってイレブンの男の絶頂を蔑ろにはしていない。
今も充分熱も持っているし、固くなっているのは解っている。

「あの…だしたいんだけど…。」

胸に回されていた腕を白い指で誘いながら、足を擦るような仕草で誘う。
カミュに触れられたら僅かも持たずに吐精できる位だったのだが。

「あと3回、雌イキしてくれたらイかせてやるよ。」
「え…!?さ、さん!?」
「出したらすぐ潰れちまうだろ?」
「…。」

イレブンにか返す言葉もなかった。経験済みのことだった。

「いじ…わる…」
「今日は、ワガママ、聞いてくれんだろ?」
「…うん。」

カミュのエラにチュっとキスをして、ワガママを許可する。

「さて、じゃあ、また可愛く啼いてもらいましょうかね。」
「は、はずかしぃ…」

イレブンを向かい合うように座らせて、再び秘部へ指をあてがった。



******************************


「やんッ、や、やぁんッ!あ、い、い、くぅッ!!んぁぅッ!」

あれからカミュとつながったまま、丁度4回目の雌イキをさせられた。
ぐっと締め付けてくる力は変わらないし、最早全身が性感帯になってしまったのか、
どこを触っても体をビクンと跳ねさせる。
カミュはまだ中に入れたまま、イレブンの息が落ち着くのを待っていた。

「ひ、ひどぃ、さんかいっていったのに…」
「今はフツーにイかせようと思ったのにお前が勝手にイったんだぜ?」

そういって、一度突くと、ひゃん!と声を上げる。

「まだイき足りないのか?淫乱。」
「やだぁ、カミュ、へんたい。」

トロトロの時間が楽しいが、あまり無理をさせると明日の昼の合流には間に合わないだろう。
寂しいけれどもそろそろ終えなければ。

カミュは抜けない様に気を付けつつ、体位を変えた。ちゃんと顔を見てしたかった。
仰向けになったイレブンはトロトロで腰に来る。 イレブンのペニスももう限界だろう。
とはいえここまで来たら触らずに射精をさせてやりたい。
この姿勢は一番腰に来るだろうから、手早く終えようと思っていたのだが、
イレブンの目が蕩けつつカミュを物言いたげに見ていたのに気付き声をかけてしまった。

「どうした?」
「ぼく、今日はカミュのこと満足させられた?」

恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら問われてカミュは熱を感じた。
溜め込む熱とは違う、燃え上がるような熱。なんで、こんなに愛おしいのか解らない。
さっきまでの喘ぐ姿を見るときとは違う、食い尽くしたいと思うのではない、
溶けて一つになりたいと思う。

「今日も最高だった。…お前のこともきっちり気持ちよくすっから。」
「んっ…そしたら、ぼくの、ワガママ聞いてくれる…?」

イレブンは手を伸ばして、覗き込んでいるカミュの頬に触れる。

「すき、って、いって…。体だけじゃ、いやだから…」

伸ばされていた手を取り、キスをした。

「悪ぃ。」
「…。」

「好きなんかじゃ済まねぇ。」
「カミュ…」

「愛してる。」

イレブンはさらに顔を赤くして、僕も、とつぶやいた。
繋がったまま最初と同じように齧り付くようなキスをした。
けれど最初のそれとは違う。もっと、溶けるような無くなってしまうような熱があって、
気持ちよくなった。それと同時に物足りなくなる。
口だけでは足りない、体も全て溶け合ってしまいたい。

「カミュ、抱いて。心も、全部。」

カミュはイレブンの右足を肩にかけてぐっと持ち上げて、密着する。
体がピタリとくっついて、汗ばんだ肌が溶けるように馴染む。
見つめ合ってキスをする。下も上も肌も溶けるようで気持ちがいい。

「ひとつになってる」

イレブンを見つめながら、抽挿を繰り返す。後ろから繋がるよりは奥へは届かない。
けれどもイレブンの体はカミュのものに絡みつき、熱がまとわりつく。
イレブンのペニスからは蜜が再びあふれ始め、カミュの腹に当たって震えている。

「かみゅ…」
「イレブン。」

キスをして、名前を呼び合って、特殊な事など何もないのに、愛し合っていると確信する。
散々弄ってきた場所をペニスで探り昂ぶらせる。
「はッ、カミュ、カミュ…!」
イレブンは自らも腰を動かし、肉壁でとらえる。カミュのものからも蜜が溢れ、再び部屋はクチュクチュという淫猥な音で満たされる。

「イレブン。」
「か、みゅ…い、いっちゃいそう」

涙があふれている目元にキスをして、舌を舐めあって、吸い付いて、カミュは抽挿を早める。イレブンのペニスも熱を増し、蜜を振りまく。
「や、やッ、か、かみゅッ、んん…!」

イレブンの背中が反った。中のイイ場所をグリグリと攻めて、促す。

「んッい、いッく、いっちゃッんぅッ!かみゅッ…!!」
「イレブン…!」

カミュはイレブンの左手を取って、噛みつくようにキスをした。

「や、やぁんッ!」

イレブンが溜め込んでいた精を吐きだしたのをみて、
カミュもまたイレブンの熱い中に精を放った。

繋がったまま、もう一度キスをして、愛を囁いた。
イレブンが幸せそうに名前を呼ぶのを聞いて、もう一度キスをした。

2人はそのまま、溶けてしまった。




+++++++++++++++++++++++

「喉が渇いた。」
「はいはい。」

カミュは体を起こすのを手伝って、水を飲ませてやる。
事の後の時間もまた、カミュにとっては愛おしい時間だ。
互いの体の中にまだ冷めぬものがある気がして、お互いの心を占有している気持ちになれた。

「…ワガママ聞いてくれるっつったのはそっちだろ?」
「ワガママ聞くのと、立てなくなるのは違うよ。加減を知って。」

出したものの処理も、ドロドロになった肌を拭くのも、全部した。
というか吐精後イレブンはもう力が入らないらしく、まともに動けなくなっていたし、その原因はカミュだから当然のことなんだけども。

「まぁ、久しぶりで5回もいけばまぁダメージ出るわな。ホイミ効かないしな。」

けど、可愛い声だして誘ったお前がいけないんだぜ?と言いつつ、
カミュはイレブンの髪を弄っていた。
嫌がる素振りはないので、機嫌は悪くなさそうだ。

「か、カミュ、あのさ。」
「どうした?」

イレブンは顔を真っ赤にしつつ目を逸らしていうのだ。

「30日に1回くらいなら、いいよ。」

この状況で何を?なんて愚問だ。
この淡泊な相棒から、許可が出るとは。

「…マジで?」
「だって、こんな…こんなになっちゃうくらいなら、ちょっとずつ発散した方が…」

そう理由づけをする声や顔を見る。そして昨日のことを思い出す。
無理だ。

「悪ぃが相棒、30日だと今回と同規模になるぜ?」

「はぁ!?」

イレブンは珍しく露骨に嫌な顔をした。

「せめて一週間だろ。いや、本音を言えば3日に1回はしないと」
「ムリ!ムリムリ!」
「その分1回の負担は減るし悪い話じゃないと思うんだけどな」
「…なんだろう、信憑性が…」

顔が青ざめている。良かれと思って提案した事項でこんなことになるとは思って居なかっただろう。カミュの本音は冗談ではなかったが、無理をさせるつもりはない。

「じゃあ一週間でのんでやるよ。」
「それもムリ!ムリだよ。却下!」
「はぁ?」
「はぁ、ってそれはこっちの台詞だよ!意味わかんない!変態!」

顔を真っ赤にして布団をかぶった。怒っているように見えて、妥協案を考えていると思われる。何時もそうやってカミュの要望は汲んでくれているのだ。
集合まであと1時間はある。
イレブンのワガママであれば幾らでも受け入れてしまうのだけれど、今日ばかりは少し渋って、この甘い時間をもぎ取ってやるのも悪くないと、カミュは笑った。




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