西の空
初出:ベッター/2018-07-08

#第47回カミュ主版ワンドロワンライで書いたやつらしい。



仲間が寝静まった夜。
イレブンとカミュはそっと部屋をでて、
ネルセンの宿屋の屋根の上に上がった。

「本当に?」
「ああ。急げよ。」
「うん。」

慌ただしく上がって、2人ならんで腰を落とす。

「この時期の深夜、西の空に出るぜ?」
「楽しみ。」

肌寒い風に腕を摩ると、カミュがそっと肩を引き寄せてくれた。
びくりとしてカミュを見ると、優しい恋人の顔でそっとキスをしてくれる。

「2人きりになるの、久しぶりだね?」
「そうだな。」
「嬉しいよ?」
「ああ、勿論。」

一度見つめ合って、舌を絡めるキスをしてから、
体を寄せ合って西の空を見上げた。


「あ!」


キラリと光が昇っていく。

「流れ星、昇って行った!」
「ああ。不思議だろ?」
「落ちてくるものじゃないの?」
「別に落ちてるから尻尾があるわけじゃないんだぜ?」
「そうなの!?」
「ああ。…ま、長くなるから説明しねぇけど。ほら、ちゃんと見てろよ。」

カミュに言われるまままた西の空を見上げる。
再びキラリと光が昇って行った。

「本当に一杯。すごいね。」
「流星群だからな。ちょうどそういう軌道にあたるんだ。大体この時期しか見られないぜ?」
「へぇ…あ、そうか、お願い事しなきゃ。」

イレブンは両手を合わせて流れ星を待つ。

再びキラリとしたので、目を瞑って願い事をかけた。

「…よし!」
「お、ちゃんと3回唱えたか?」
「うん!でも、他にも一杯お願いしたいことあるんだ。頑張らなきゃ。」
「ははは!あ、そうだ、願い事の多いイレブンに、こんな話があるぜ?」
「なに?」
「あのデカい蒼い星と、ちょっと左下の星あるだろ?あれの話だ。」

カミュは、ホムラの里でかつてあったという、タナバタの伝説を話した。
女に現を抜かして仕事をおろそかにした結果、恋人に1年に一回しか会えなくなった男の話だ。

「…全然楽しくない伝説…。」

カミュの要約がヘタだったのかイレブンは少ししょんぼりしている。

「けど、2人が会える日に願い事をすると、叶うらしいぜ?」
「そうなの?それって何時?」
「暦的には今日。」
「きょ、今日!?」
「もう廃れちまったから誰も信じちゃいねぇけどな。」
「そうなんだ…でも、じゃあ今頃2人は再会してるのかな?」
「かもな。」
「じゃあお願いごとするなら今だね!カミュも何かお願いごとしなよ!僕もしちゃおう。」

イレブンは何かをブツブツとお願いをしているらしい。
本当に貪欲だ、他人の幸せについては。

「何をお願いしたんだ?」
「秘密だよ!カミュは何かお願いした?」
「してねぇけど、願掛けしたいことはあるぜ?」

カミュは盗賊で、自分の欲望に正直な男だ。

「それって何?聞いても良い?」
「ああ。『今夜はイレブンがやらせてくれますように』って。」

はあ?と口をぽかんと開けて呆けるのが可笑しかった。
それからかあぁと顔を赤くして、恥ずかしがっているのが少し怒り口調になった。

「な、なにそんなことお願いしてるの!?っていうか、正直に言うの!?」
「いや、一々、25光年とか離れてるヤツに願いごとしても時間食うだけで、それなら30cmも離れてない恋人に願い事した方が早いだろ?」
「…。」

してやられた、という顔をしてイレブンは膨れた。
そんなことを言われたら、応じない訳にはいかなくなってしまう。
確かに最近していないし、今日だって大部屋なネルセンに宿泊なので出来るハズもない。

「…したい?」
「いいのか?」
「でも…場所かえよう?」
「ここじゃだめか?」
「ここ!?屋根の上だよ!?」
「ああ、誰もみちゃいねぇし、流星群見ながらってのもオツなもんだろ?それに今頃、織姫と彦星もよろしくやってるぜ?」

細い腰を摩り、唇を食むようなキスをして恋人を絆す。
イレブンは相変わらず舌で下手に応じてから、チュッチュと吸い付くようにカミュの唇を食み、唇を離した。

「い…一回だけだよ…?」
「解ってる。」

カミュは器用にイレブンのズボンの紐をさっと解き、
屋根の上の方で膝立ちにさせ太腿で下着とズボンを下ろさせてから、
抱きしめる様に支えながら、カバンから出したオイルでゆっくりと秘部を解してやる。

「んっ…はずかしぃ…」
「恥ずかしいと興奮すんだな。何時もより解れるの早い気がするぜ?それとも久しぶりでお前も欲しかったか?」
「そ、そんなわけじゃないもん!けど…カミュにぎゅってしてもらうの、久しぶりで嬉しい。」

時折キスをしながらほぐしていると、すっかり何時ものように柔らかく広がった。
カミュは自分のズボンを下ろし、屋根の上に横になった。
「カミュの、もうそんなになってる…」
「解してて興奮した。」
「…そ、そんなにエッチしたかったなら、いえばよかったのに…。」
「俺なりに我慢してんだぜ?もう旅も闘いも佳境だしな。」

イレブンに履いていたものを脱ぐように指示をだして、
脱いだものが落ちないよう、自分の腰の下に畳んで敷いた。

「跨げよ。」
「え!?き、きじょうい!?」
「お前を流石にこんな屋根の上に横にはさせられねぇし。」
「でも…」
「流星群見ながらセックスしようぜ?」

騎乗位は趣味じゃないか!と思いつつ、一応はカミュの気遣いなのでワガママは言わずにゆっくりと腰を下ろす。
カミュが自身を握って宛がってくれるので、イレブンは片手で秘部を広げる様にしながらゆっくりと恋人の滾る熱を受け止める。

「うッ…かたいッ」

ぬぷぬぷとオイルが音を立てる。
熱くて硬いものに中が蠢く。
恥ずかしいから口にはしないが、この熱がずっと欲しかった。

「カミュ…」

ごちゅん

全部を飲み込むと同時に、奥を突きあげられた。

「ひぎッ!」
「久しぶり何だから、あんまりハードにやるとやばいぜ?」
「そんなつもりじゃ…前よりおっきくなった?」
「マジで?お前との格差が広がっちまったな。」

ツンとイレブンの幼い雄を指ではじいた。

「やあん!」
「でかい声だすと誰か起きるぜ?」
「そ、そうだ…、う、うごくよ…?」

イレブンがゆっくりと腰を振り始める。
前後にグラインドして、秘部でぎゅっと竿を締め付け扱いてくれる。
それだけでも十分気持ちがイイのだが、頑張っているイレブンを見上げるのがまた最高に気持ちがイイ。
カミュは服の上から隠れているピンクの乳首をまさぐり、優しく刺激した。

「だめ、だめだよ」
「乳首弄られんの、好きだよな?」
「でも声出ちゃうから」
「ちょっとくらいならバレねぇって。」
「ッでも、あんっ」

イレブンの腰の動きが段々早くなる。
息が上がり、当たっている内腿もじんわり汗を書き始めた。

ぬちゅ ぬちゅ っとオイルの音がして、
結合部から少し先走りが漏れて、律動に泡立った。

「はぁ…カミュ…きもちいい?」
「ああ、すっげぇイイ。」
「えっち…ひさしぶりだもん、ね…ぼくも…きもちよくなってきたよ…?」
「雌いけるか?」
「ん…」

イレブンが何とか試みようと重心を後ろにさげるが、ここは傾斜だ流石に危ない。

「体位変えるか。」

腕を伸ばすとイレブンがとってくれるので、そのまま体を引き寄せて、
抜けないように細い腰を抱き、カミュは体を起した。

「向かい合って座ってするの、好きだろ?」
「ん…。」

カミュとしては、正直奥まで入らないし、見下ろされるのであまり好きではないのだが、
この状況ではこれしかない。
イレブンに首に腕を回すよう促してから、両腕でがっちり腰を抱いて、
下からどちゅどちゅと、イレブンの中を突き上げた。
「ッあ、やぁあんッ」

ぱちゅ ぱちゅ ぱちゅ ぱちゅ

「あ、あッ、らめッ」
「イイとこいっぱいゴリゴリしてやるからな。」
「ふッ、ん」

どろどろと先走りが零れてくる。

「イレブン、キス。」
「ん、きす…する」

首に抱き着いているイレブンから何度もキスをしてもらう。
キスをする余裕がなくなってくると、雌イキが近いということだ。

「ふぁッ、あッ、かみゅ、いっちゃう」
「イけよ?」
「んっ…いっちゃうよ…もうだめ…かみゅ、ぼく、さきに」
「先にイってくれて構わないぜ?たっぷり可愛い声上げて、可愛いイキ顔見せてくれよ。」
「あ、あぁあ、あ、いく…」

パンパンパンパン

「イくッ…イクよ、かみゅ、いくッ」

じゅぼじゅぼと先走りが溢れ、イレブンの雄もポタポタと蜜を零す。

「いっちゃう、いっちゃうッあ、あぁあああんっ!」

ビクンを体を震わせて、背を反った。
秘部が、いつもより太いカミュのペニスをぎゅうぎゅうと締め付けて、
小さく痙攣した。

「ッふぅ…はぁ…。」

カミュは舌をチラリと見せると、ちゅっと吸い付いてキスをしてくれる。

「はぁ…はぁ…」
「相変わらず可愛い雌イキだな。」
「うぅ…」
「次は俺がイく番だからな?」
「ん…がんばる。」

カミュは再び律動を開始する。
下から上へ腰を振る。
イレブンはカミュのカリを刺激しようと、雌をキメた敏感な体で熱いペニスを締め付けて腰を振る。

「ッ…ん…カミュ…」
「イレブン…すっげぇイイ締め付け。可愛すぎてもげそうだぜ?」
「らめ…いっぱい、いっぱい気持ちよくなって…」

ぱんッ ぱんッ ぱんッ

「あー、すげぇ…イきそうだ。」
「イくの、カミュも、いっしょに…ぼくも、またイっちゃいそう…」
「敏感だもんな。ココとかも好きだろ?」

前の方をごりゅっと擦り当てると、背中をぎゅんと反らしてイレブンが喘いだ。

「あっひぁあん!!」
「腰に来る声出しやがって。」

本当は横になってガンガン腰を振りたいがしょうがない。
カミュはイレブンを持ち上げて、自身も中腰になってどちゅどちゅと激しく突き上げた。

「あーっ、かみゅッ、らめ!イっちゃうぅっ!」
「ああ、俺もイきそうだ。中にたっぷり出すぜ…!」
「だしてッ!ほしいの、いっぱい、いっぱいちょうだいッ、あッん!」

じゅぷ じゅぷ じゅぷ じゅぷ 

「ひゃぁああん!イクッ!」
「イレブン…!奥に出すからな…!」
「おくッ、おく!」

「ッ…!!」

びゅるるるッ

ほぼ膝立ちで、イレブンは真下からびゅるびゅると放たれた精子を奥の奥で受け止めた。

敏感な中はその熱さや濃さに蠢き、体を震わせて感じた。

「ッはぁ、っん」

脱力して崩れ落ちるのをカミュは抱きとめ、
たっぷりとキスをした。


星のことなどすっかり忘れていた。






「流星群見に来ただけなのに。」
「星よりお前の方が綺麗だったからな。」
「…そういうこと言っても駄目だもんね。」

イレブンの上にコートを掛けてやっただけで碌に始末もしていないが、
2人は何となく寄り添っていた。

西の空にはまだ時折流れ星が光る。

「なあイレブン、彦星たちには何を願ったんだ?」
「え?…笑わない?」
「笑うかよ。何となく予想ついてるし。」
「そう?…あのね、…2人が何時でも会えるようになりますようにって。だって、大好きな人に1年に一回しか会えないなんて、寂しいもんね?」

どうせイレブンが自分の願いなどしちゃいないことは解っていたが、
まさか伝説の2人にまでそんな願いをするとは思っていなかったので驚いた。

「ほんと、お人よしだな。あいつら自業自得だぜ?」
「そうだけど。…僕だったら辛いから。」
「…ほんと、そういうとこだぜ?人のことばっかりで。」
「いいの!」
「けど、そんなんじゃ俺にはどうしょうもしてやれねぇな。」
「どういうこと?」

「お前が俺の願いをかなえてくれたから、お前の分を叶えてやろうと思ったんだ。」

願い事だと言えばイレブンが応じてくれるなんて解り切ってた。
それにイレブンが誰かのための願いばかりするということも解っていた。

だから、イレブン自身の願いを自分の手で何か一つでもかなえてやりたいと、
カミュはそんなことを考えていたのだが。

「じゃあ、流れ星にお願いした方、叶えてくれる?」
「ん?」

少し恥ずかしそうにしながら、教えてくれた。

「カミュが、ずっと、幸せで過ごせますようにって、お願いしたから。」

カミュは頭を掻くほかない。

「…そいつも俺には叶えてやれねぇよ。」
「どうして?」
「それにはお前が不可欠だから。俺を幸せに出来るのは、お前だろ?」

キョトンとしてから、恥ずかしそうに笑って胸に飛び込んできた。

「まだ、もう少しだけこうしてていいよね?」
「ああ。」






この後、イレブンが風邪をひいて滅茶苦茶怒られた。






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