純白に身を包んで。
初出:べったー/2018-01-14

ワンライお題で前半を作成、後半エロ部分はベッターで公開。せっかくなのであわせてみました。お陰で長いです。





邪神は去ったが魔物は残っている。

そんな中2人は些細な旅をしていた。
目的はただのデートなので別にやることはないのだけれど、
世界中には相変わらず困り人が居て、どこの町でもちょっとしたお使いだの、魔物払い何かをしていた。

そんな2人がソルティコに立ち寄った時のことだった。

教会の前が騒然としている。

「物騒だな。」
「何があったんだろう。」

人ごみの中には純白のドレスを来た花嫁もいる。
結婚式をしていたらしい。

「何か困りごとですか?」
イレブンが声を掛けると、すっかり顔なじみになっていた神父が貴方は、という風に気軽に説明をしてくれた。

「実は結婚式を執り行っている途中に、突然魔物が襲ってきまして。」
「魔物?」
「ええ、たぶんサキュバスの一種だと思うのですが。」
「こんな街中にか。」
「そうなんです!彼が、まだ教会の中に彼が…!」
花嫁がワッと泣き出した。

どうにも式の途中に、サキュバスの群れが襲ってきて、
式半ばで皆逃げて来たらしい。
そして花婿は人質になっている、ということだ。

「彼…私をかばって。」
「…そうなんですね。カミュ、」
「当然だろ。」
「だよね。あの、僕らで良ければ力になります。」
「良いのですか?旅の途中でしょう?」
「困っている人を見過ごすなんて出来ませんから。」
「ま、今更勝てねぇ敵とも思えねぇしな。サクっと倒してきてやるよ。」
「ありがとうございます!」

そんなこんなで2人は敵に悟られないよう、2階からそっと侵入した。
キィキィと魔物の声が聞こえる。
そっと下を覗くと白いタキシードの男が気を失って倒れているのが見える。

「ざっと、5匹くらいか?」
「気を抜かずに行こうね。」

息を合わせて、ロフトから飛び降りる。
急な侵入者にサキュバス達が驚いた。

「幸せな結婚式を邪魔するなんて!」

武器を構えると同時に敵も戦闘体勢に入った。

「いくよ!」
「おう!」

敵は大したことのない敵だ。
もっとも邪神より強いやつなどいるわけもないのだ。
ただ、すっかり忘れていた。状態異常のことを。

新種サキュバスの、サキュバスウィンクが炸裂した。

「zzz。」
「イレブン起きろ!」

イレブンが良く寝る。
邪神戦でも寝ていたのだから、しょうがないのだけれど、まぁ良く寝る。
寝るのが好きだから背が伸びたんじゃなかろうかなど、戦闘中にも関わらずカミュは考えたりした。

とはいえ、キリがない。

ザメハを連発する。
ザメハをするのも手間なので、弱小ブーメランで攻撃し起こす。

「くっそ、イレブンばっかり寝かせやがって…!そりゃ寝顔は最高に可愛いけどよ!後でじっくり拝むからいいんだよ!起きろ!」
「んぅ…あぁかみゅ、また寝ちゃった…。」
「早く攻撃しとけ、あ」

サキュバスのウィンクがカミュに向けられる。

「カミュ!」

寝つきの良いとは言えないカミュも、すっと眠りに落ちて行った。



カミュ!

カミュ!

ねえ起きて!

愛おしい声が聞こえて、はッ!と目を覚ます。
教会の床で寝ているのに気付き、戦闘に戻らねばと慌てて周りを伺うが、
敵の姿はなく、例の神父が居る。
「カミュ、大丈夫?」
声をする方に視線を向けるとイレブンが居た。
「え、その格好…」

純白のドレスに身を包み、ヴェールをかぶったイレブンが居る。
着ているドレスはそこらへんの花嫁とは非にならないほど高級そうな生地が遣われていて、薄いヴェールの向こうの美しい顔は眉を顰めてこちらを心配していた。

「カミュ…大丈夫?」
「え、あ、わ、悪ぃ。」

慌てて起きて、服の誇りを払おうとすると、自分は白いタキシードを着ているのに気付く。

これは、まさか。

「え、あぁ、イレブン、聞きづら」
「自分たちの結婚式に寝ちゃうなんて。どうしたの?…昨日無理させちゃった?」
「へ?」

どう見ても新郎状態な自分と、どう見ても花嫁なイレブン。

自分たちの結婚式でなければ何だというのか。

「…どうしたの、そんな奇異な目で人のこと見て。」
「そんなわけじゃ」
「君が着て欲しいっていうから着たんだよ?」
「ああ…すごく、綺麗だ。」

背の高いイレブンに相応しいデザインだった。生憎名前は解らないが、恐らくイレブンの為に作られたドレスだ。
イレブンがカミュのネクタイを直してくれる。それからフフっと笑って、腕を組む。

新郎が寝ていたという謎の状況に、どう見ても夢だと解るのだけれど、
カミュはそれに浸っていたかった。
周りの席には知っている顔が一杯いて、デクなんかはすでに泣いている。理由は解らない。

「カミュ…。」
「悪いな、さあ早く済ませて夫婦になろうぜ?」
「うん!」

改めて神父の前に歩み寄り、誓いの言葉を述べる。

そして指輪を交換する。
見たこともないダイヤモンドの指輪だ。
多分100万ゴールドはするだろう。けれど、とても清楚でイレブンの指にぴったりだった。あー、実に俺が選んだっぽい指輪だ、などとカミュは思う。
それからカミュの指に指輪がされる。
プラチナのリング。多分イレブンが作ったものだ。普通の装備品とは違う、世界で一つしかない指輪。

それから、誓いのキスをしろと言われる。
そっとヴェールを上げる。

品の良い化粧を施されたイレブンは、いつも以上に女顔で、いや、女顔だから化粧が映えているのか解らないが、とにかくまるで女神のように美しくて、
紅の引かれた唇が少し微笑む。
頬も赤らんでいて、目が少し潤んでいて…。

「カミュ…。」
「イレブン…お前のこと絶対に幸せにするから。」

イレブンが目を瞑ったのでそっと唇を寄せる。

最高に幸せだ。


ったのに。

「カミュ。」
「…どうした?」
「起きて。」




はっとして目を覚ます。

ちまっちまサキュバスを攻撃しているイレブンが居た。
「カミュ!起きて!起きた!?」
「…起きた。」
「おはよう!もおおお!!!早く起きてよ!君7ターンも寝てたんだよ!」
「…起せよ。」
「だって!これで君叩いたら流石に死んじゃうでしょ!」

彼が手にしているのは星屑の剣だ。確かに死ぬな。
「しかも君、寝ながらにして魅了状態だったんだよ!?どういうこと!?だから君が傷つくから全体攻撃出来ないし!こいつら何か増殖して、グループ攻撃も出来ないし!けど起きたから覇王斬します!」
「了解。」

教会にドスンと強大な剣が落ちてきて、
残ったヤツをデュアルカッターで一掃した。

終わった。
最初からやってればこんなことにはならなかった。

「手こずったね。」
「そうだな。」
「…ごめんね、僕が寝すぎたせいで…。」
「…それはお互い様だからな。」

魔物の気配が消えたのを察してか、教会のドアが開かれた。



「イワン!」

花嫁がドレスをモノともせずに走り寄ってくる。
どう見ても夢の中のイレブンの方が可愛かった、などと怒られそうなことを考える。
「新郎さん大丈夫かな。」
サキュバス達に襲われていた新郎のことをすっかり忘れていた。
顔色もおかしくないし、平気だろう。
まぁ神父もいるし、お布施すれば生き返らせてくれるんじゃないだろうか。

「イワン!イワン!」

花嫁が夫を抱き起して起している。
うぅん、と夫が目を覚ました。

「り、りんだ…?」

「良かった、目が覚めたみたい。」
「ああ。これで何かあったら後味悪いからな。」

ニコニコと見守るイレブンを微笑ましく見守っていると、
背筋の凍るような声が聞こえた。


「リンダ?…私カヤだけど。」


「!?」
「え、」

「あなた…まだリンダのこと引いてたの?私がこんなに心配してる間にリンダのことでも夢に見てたワケ?はあ?」
「ち、ちがうんだカヤ!」

パァアアン!

とても良いビンタ音が教会に響いた。

「…後味、よくなかったね…。」
「ああ…。」


とりあえず、事件は解決した。ということにした。





「ありがとうございました。」
花嫁の家族からお礼を言われる。
「いえ、ちょっと手こずっちゃいましたし…。」
「いえいえ、良かったんですこれで。相手があんな男だと気付くことも出来ましたし。それでお礼をさせていただきたいのですが。」
「お礼なんてとんでもないです。」
「いえいえ…。というか、まぁこちらの都合でもあるのですが…お二人は旅をされているんですよね。」
「ああ。」
「実は…娘が泊まる予定だった部屋がありまして…もうこの状況なので娘は家に帰りたいと喚いていますし、私たちも泊まるつもりはありませんし、このままではキャンセル料がかかってしまいますので、よろしければお使いいただけませんか?」
「ええ!?申し訳ないですよ。」
「けど、イレブン。キャンセルするにも金がかかるわけだし、俺らも結局どこかに泊まる予定だったんだから、これも人助けだと思ってありがたく使わせてもらった方がいいんじゃねぇか?」
「お願いします。」
「う、うーん…わ、わかりました。じゃあ。」

新婚夫婦が泊まる予定だった部屋に泊まる、というのは気が引けたらしいが、かといって断る大きな理由もなかったので、言葉に甘えることにした。

家族からホテルに連絡を入れてくれたおかげですんなり部屋へ案内して貰えた。
旅人が泊まる様なレベルのホテルではない。
内装の豪華さに目を白黒させた。

「こちらでございます。」
「あ、ありがとうございます。」
「何かあればお申し付けください。」
「は、はい。」

通された部屋は、スイートではなかったが豪華な部屋だ。
ソファもテーブルも全て美しい細工が施されており、まるで王宮だ。
そして、まぁ想像出来てはいたのだが。

「…ベッドは一つだね。」
「…新婚夫婦が泊まる部屋だからな。」

一緒に寝るのだって初めてではないのだけれど、何となく意識してしまう。
イレブンも同じだったのだろう、カミュと目を合わせようとしない。背を向けて荷物の整理をしている。

カミュも夢のことがあったので、ちょっと気まずく、話など振って自分の気を紛らわせた。

「街中に魔物が出るとはな。しかも俺らで見たことねぇとか。」
「そうだね。狙って出て来たのかな。」
「かもな。女で遊んでそうな新郎だったし。」
「サキュバスは男を惑わせるらしいから、きっと何か状態異常にさせられてたんだよね。だから可哀想な気もするけど。」
「けど流石に結婚式の他の女の名前はNGだろ。」
「…だよねぇ。」

どうしたって夢のことがちらつく。
今更何を隠す関係でもないし、正直に話しておこうか。
カミュは正直に口を開いた。

「あー、イレブン?」
「何?」
「…戦闘中に寝ちまったけどよ、まぁ教会で寝てたからだと思うんだけどな。」

イレブンの動きはピタリと止まった。

「…結婚する夢見た。お前と。」
「…。」
「お前ドレス着てた。すげぇ似合ってた。俺が着て欲しいってダダこねたからだって言ってた。」

少しの沈黙の後で、イレブンは少しだけカミュに顔を向けた

「…君も、似合ってたよ、タキシード。」


「へ?」

イレブンは顔を真っ赤にして、先にお風呂借りる、と浴室へ消えて行った。

「…マジかよ。」
イレブンもどうやら似たような夢を見たらしい。

徐にベッドに座る。
脳の中に残っている花嫁の姿と、先ほどの赤い顔が交互にちらつく。


イレブンはきっと長湯になるだろう。

「新郎」はベッドで、「新婦」を待った。





予想通りの長湯の後で、イレブンは、待ってるねと囁いてからベッドへ向かっていった。
あまり待たせるわけにもいかない。カミュは急いで風呂へ向かった。






カミュが風呂から出ると、イレブンはバスローブのままベッドの上に座り込んでいた。

チュッチュと軽いキスをして、漸く見つめ合う。

肩を寄せるとイレブンが緊張しているのが解る。
慣れたはずの行為なのにこんな風になってしまうのは、きっとイレブン自身も見た夢を引きずっているからだろうとはすぐに分かった。
カミュ自身にも言えたことだったからだ。
だからあえてその夢の話に言及した。

「…で、改めて話を聞かせて欲しいんだけど?」
「…僕も夢見たんだ。教会で。…あんな夢、サキュバスのせいとは思えないから、僕一人で見てたのかもって思ってたけど。」
「…幸せだった?」
「うん。」

もう一度唇が触れる。

「幸せだった。君の腕に捉まって…皆がお祝いしてくれたんだ。けど、一番うれしかったのは、夢の中のことよりも、現実として君が似たような夢を見てくれたっていうこと。」
「それは俺も同じだ。嬉しかった。」

少しからかうように言ってやると、イレブンは口元を綻ばせた。

この妙に畏まった雰囲気を脱したくて、何時ものように軽口を叩く。

「お前、マジで女なんじゃねぇかってくらい美人だったぜ?」
「…すぐにそういうこと言う。」
「事実だから。あのドレス誰が作ったんだろうな。すげぇ豪華だったぜ?つーか、お前も夢の中でドレス着てたのか?」
「…。」
「マジで?」
「よ、よくは見てないけど。…か、カミュがしょっちゅうそういうこと言うからだよ。だからきっと夢に出て来ちゃったんだよ。」
「お前もドレス着る覚悟出来てたってことか。そろそろ発注しねぇと。」
「もう。」

ふぅ、とため息をつかれる。悪くなかった。

「何か、すげぇリアルだったんだ。そもそも俺が我がままいってドレス着せたってところも、俺が見たことねぇようなデザインのドレスだったし、お前にはめた指輪も俺が選びそうな感じっつーか、お前にすげぇ似合うなって思う感じだった。だから、夢だったってわかったあとでも、なんつーか、ちょっと夢見心地というか、夢現というか。」

何を言いたいか解るのだろう。
イレブンは少しだけ眉を顰めて、仕方がないなぁという顔を作る。

そんなこと、普段からしたいと希望をして聞き入れてもらったり拒否されたりしているのに、何だか今日は気分が違う。
したい、には違いないのだけれど、
今夜は、愛し合いたい。

「所詮は夢だったし、本番は…少し先になるけど、まぁ新婚の練習というか。」

腰を摩り、しっとりとキスをする。
舌を絡めて、イレブンを溶かすように。

「…初夜ってことで。」

小さく嫌か?と聞いたけれど、イレブンは首を小さく振って、ぎゅっと抱き着いてきた。
それをゆっくりとベッドへ押し倒す。

たっぷりキスをする。何度も何度も。
相変わらず鼻で息をするのが苦手なイレブンを気遣いつつ。

しょうもない会話と何時もの行為にイレブンの緊張はだいぶ解けていた。
柔和な笑みを浮かべている。

イレブンのバスローブの紐を解き、白い体を露わにさせる。
まだしっとりとしていて吸い付くようだった。

鎖骨に甘く噛り付いてから、胸にキス痕を残す。
敏感なところを避けるように優しく撫でるとくすぐったそうに笑った。
「体あったけぇな。」
「カミュの指の方が、あったかいよ。」
冷たいのが大の苦手な恋人なので、しっかり体を温めてきた甲斐はあったようだ。

イレブンを仰向けにして、背中にキスをする。背骨のラインを舌でなぞり、肩甲骨のあたりにキスをする。
「体中白くって、そこら中にキスしたくなるな。背中は見えねぇから痕いっぱい残してもいいだろ?」
「うん。」
チュッ、チュッと吸い付き、痕を残していく。
その度に僅かに体をビクリとさせるのが愛おしかった。

「ねぇ…初夜って、いつもと同じのするの?」
「夫婦になって初めての夜っていうだけだからな。」
「だよね。」
「どうした?」
「ううん。…けど…たまには。」

イレブンは珍しく体を起こして、カミュを押し倒す。
そしてそのまま覆いかぶさるようにキスをした。
顎、首、鎖骨とじわじわキスをして、それから大胸筋の辺りにキスをして、
少し悩んだらしいが、胸の突端をペロっと舐めた。
カミュの反応を上目で確認しつつ、チュッチュとキスをして、そのまま腹直筋へと移っていく。
「んッ」
最近覚えた通りに、キス痕を残す。

付け根の辺りに一度キスをしてから、許可を得るようにカミュの表情を一瞥して、ゆっくりとすでに固くなり始めたカミュのペニスに口で触れる。
舌でそれを持ち上げるようにして小さな口で吸いつく。
全体的に舌で愛撫をしてくれる。
「…かたくなってきた。」
恋人、いや疑似的新妻の、それも珍しい口淫が気持ちよくない訳がない。
「無理すんなよ?」
気を遣っては見るが、今日は自主的にしているからか止めるつもりはないらしい。
歯が当たらないように慎重になりつつ、先端まで頬張る。
口の中で、カリを弄る。不器用な舌が頑張っている。

じゅぷ、じゅぷと卑猥な音に煽られて、気持ちがどんどん高ぶってくる。
美しい髪を撫でると、くすぐったそうに上目でカミュを見る。
ぷちゅりとそれを引き抜くと唾液がつうっと糸を引く。
清楚な彼が、少しずつ妖艶になっていく。

そして、カミュが上体を起し、ねっとりとキスをした。

「変じゃなかった?」
「すげぇ可愛かったし、巧かったぜ?珍しいな。」
「だって…。」

大胆な事をしていたさっきより余程顔が赤い。

「その…い、今は君が僕にいっぱい気持ちが良いことをしてくれるかもしれないけど、その、結婚したら、何時までも君に甘えるわけにはいかないし、ちゃんと僕も君のことを気持ちよくしたいから…。」
「…ったく、ほんと、お前どこまで可愛けりゃ気が済むんだよ。そりゃあ、お前に口でされて気持ちが良いし、最高だけどよ、何時もお前の体に負担かけさせて気持ちよくなってんだから、何も気遣う必要はねぇよ。気遣うのは俺の方だろ。」

イレブンの側になったことはないが、結構な負担になっているはずだ。
しかも今だってこちらの熱は滾り続けている。
本当に大事にしなければいけない。

「そろそろお前の中もちゃんと準備しねぇとな。」
「うん…。」

イレブンはカミュの左脇に身を預けて体を屈める。
準備しておいたオイルを持ち出し、少し手に取ってはイレブンの秘部へ宛がう。
「んっ」
今日は強引にイかせてはいけない。あくまでも優しく。
イレブンの秘部はすでに柔らかくなっていた。恐らく風呂でしっかり準備をしてきたのだろう。
第一関節までをぬぷぬぷと挿しいれする。
「んっ、んっ」
「痛くないか?」
「うん…。キスしていい?」
ご希望通りにキスをしてやると満足そうに笑う。
「僕だけ気持ちが良いなんて、ずるいよね。」
そう言って、イレブンがそっとカミュのペニスに触れる。
お互いの体の、これから交わる場所を触り合うのはとても愛おしい行為だった。
オイルを適宜足しながら中をより丁寧に解していく。

「…どんどんかたくなる…。」
「お前が触るからだろ。」
「触られるの、気持ちいい?」
「ああ。」

積極的なイレブンもやっぱり可愛い。けれど、主導権は得たかった。
愛おしいけれど、カミュは指を抜き、一度起き上がってイレブンに覆いかぶさる。そして腰の下に枕を差し込む。イレブンはすっかり本番に入るのかと思ったらしいが、そうではない。

「偶には、触らせてくれよ。」

秘部にさっきより深く左手の指を入れてから、ゆっくりとイレブンのペニスに右手で触れる。
「カミュ、それは」
「さっきのお礼な。」

まだ濡れても居ない場所だから唾液で濡らしてやりつつゆっくりと舌を使いつつ口に入れて行く。
「ッかみゅ!」
人のモノを口淫しておいて、自分はされたくないなんていうのは無いだろう?
左手で中のイイ場所を時折刺激し、気を逸らせつつゆっくりと弄る。
自分と出会ってしまったばかりに、永遠にこのままなんだろうと思うと少し申し訳ない気もするが、ここに触れていいのは世界で自分だけだ。
イレブンにとって結構なコンプレックスなのは知っているが、だからこそ大事にしなければいけない。

「やだ!かみゅ止めて!」
「気持ちよくないか?」
「…そういうんじゃなくて…。」
「どうした?」
「はずかしぃから…。」
「大事なお前の大事なトコなんだから。今日はちゃんと全身気持ちよくするからな。」

暫く愛撫を続けているとイレブンは自分の指を噛んだ。
久しぶりに見る声を抑える仕草にぐっとくる。
そして膝を胸につけるほどに曲げる。指を入れている秘部が見えるようになる。
普段から時折する仕草で、本人と確認を取ったことはなかったが、早く欲しいという合図のようだった。

流石に少し固くなった幼いペニスにキスをしてから、残っているオイルを滾っている場所に馴染ませて、待っている場所に熱を宛がう。
イレブンが右手を伸ばしてくるのでカミュはその手を取ってやり、甲にキスをしてから指を絡める。
そのままゆっくりと挿入する。
ぬぷりと先端が入り、ぬちゅぬちゅと奥へゆっくりと進んでいく。
「っふぅ…」
息を吐き力を抜いてくれる。
一度奥まで押し込む。奥に突き当たるとイレブンが体をビクンと跳ねさせて、恥ずかしそうに微笑んだ。

「痛くない?」
「こっちの台詞だ。…大丈夫か?いつもより結構アレだぜ?」
「うん…いつもよりちょっと固い…。」
「お前がしゃぶるからだ。」
「だって…。」
「ゆっくりするから、痛かったらすぐ言えよ。」

そうは言いつつ、負担になるのを承知で膝を抱えてキスをする。
「ッ…!」
少し奥を刺激すると呻くと同時に内壁が蠢いた気がする。
すぐには動かず、挿入したままイレブンの体にキスをしたり愛撫したりして、緊張を解す。
首の血管を舐め上げて、耳朶を少し食んでみると甘い息が漏れた。
それからイレブンの白い指をしゃぶるように舐めて、刺激する。

「カミュ…。うごかないの?」
「もう少しお前の中が慣れてからな。」
秘部の口はやわやわと締め付けていて、とてもイイのだけれど、
何時もより質量があるし、折角の初夜≠ネので、ゆっくりにしようと風呂の中で決めてきたのだ。

普段の行為はカミュにとっては大変気持ちがイイ行為だ。
自分だけが気持ち良くならないようにイレブンを気遣っているつもりだが、
やっぱり負担になっているには違いないとは解っている。

夫婦になり、一緒に生活するようになったら、そんな自分本位な行為は控えなければいけないとカミュ自身思う所があった。
それは上を取る側の責任でもあり、長く長く愛し合うためにすべきことだと、粗野な世界で育ってきた彼らしからぬ発想だった。
それもこれも全ては、イレブンを愛するがゆえのことだ。

繋がったまま、動かすことなくキスを繰り返し、白い体を愛撫した。
「どきどきする…。」
消えそうな声で呟いて、イレブンはカミュの手を取り、その指を唇へ運ぶ。
「ん…。」
指をチロリと舐める。
その咥内をかき乱してやりたいくらいに気持ちが良いけれど、ぐっと堪えてイレブンの好きにさせる。
ぷちゅぷちゅと水音を立てながら、カミュの器用な指先を舌で遊んだ。
目が合うとふっと笑った。

口から指を引っこ抜き、その指をちゅっと舐め上げてから、腰を抱く。
「そろそろ動かすぜ?」
「うん…。」

数度奥を優しく突きあげてから、ゆっくりと引き抜く。
「んふッ…」
感想を聞けば、痛くない、気持ちが良いと答えるだろうから聞かないように気を付ける。

優しく、優しく抽挿を繰り返す。

「あっ」
イイ場所に当たると高い声がこぼれて、恥ずかしそうに笑うのがやっぱり可愛い。
何時もよりもゆっくりと、律動を繰り返す。

ぐちゅ ぐちゅ
「ん、カミュ…なか…あついよ…。」
「ああ、お前の中すげぇ熱くて、絡んできて、気持ちが良いぜ?」
「んっ…はぁ、はぁ…すごく、気持ちが良いよ…カミュ…。」

何時ものイイ場所をぐりぐりとこすると、相変わらず身を捩って悶える。
「ッああん、きもちいよぅ…ッだめ…!」
「ダメか?」
「だめ…じゃないぃ…。あたまおかしくなっちゃうよ…。」
「後で治してやるから、今はおかしくなっとけよ。俺も相当やばいから。」

イかせすぎないように、次は奥を細かく突く。
イレブンはシーツを掴んだ。その期待に応えるように数度強く押し込む。
「ッあああ!!!」
体を跳ねさせて、震わせる。
荒くなった呼吸が整うのを待って、キスをしてやる。

それを暫く繰り返していると、イレブンがじれったさそうにカミュの手首を掴んだ。
「はぁ、はぁ…カミュ…イきたい…。」
普段なら言わせる台詞を自ら言う。けれど茶化したりはしない。
「どこ気持ち良くなりたい?」
「な…なか…。」
「何時ものとこ?」
「うん…。」
「じゃあ、ちょっと強くするからな。」
ちゃんと宣言をしてから、何時もの抽挿へ移行する。

じゅぷ じゅぷ じゅぷ じゅぷ

「ッあああ!!あん!はぁ、はぁ、カミュ…!」
何時ものイイ場所をごりごりと、いつもより固くなったペニスで擦りあげる。
「んあぅッ!かみゅ!かみゅ!いぃっ!!かみゅッ…!」

イレブンが自ら腰を上げた。
脚が力み、背を反らして、イイ場所に当たりやすくするかのように。
「イレブン…」
「はぁ、はぁ、イッちゃう…んッんぅ…!」
浮いている腰を腕でぐっと持ち上げて、カミュ自身の腰とピタリとくっつける。
「はぁ、はぁ」

大きな目からポロポロと泪がこぼれている。

「かみゅ、かみゅ…んぅ…はぁ…きもちよくて…イっちゃう…。」
「イっちゃえよ。」
「うん…ッ…あッ…かみゅ…!」

どちゅ どちゅ どちゅ どちゅ

「!!ッあああ!!あんッ、イイところあたるのっ!イっちゃう!!
ビクンと背中が跳ねる。
内壁がぎゅうぎゅうと締め付けてきて、先走りが溢れる。
「はぁ…はぁ…俺もイくから…」
「いっしょ、いっしょがいいッ…!んやぁあんッ!」

抽挿とともに先走りとオイルがどろどろと溢れてくる。
全てが熱くて、ドロドロになる。

「あぁッかみゅ!かみゅ!イく・・イかせてッ!!」
奥のイイ場所をどちゅんと突きあげる。

「ッ!!!あ、ああああ!!イっちゃううぅッ!!!やッ…あん」

ビクンッ

背を弓なりにして、嬌声が止み、小刻みに体を震わせる。

ドライでイった。

その甘くて強い締め付けに、カミュも中にたっぷりと吐精する。
はぁはぁと荒い呼吸が重なって、何となく恥ずかしい。

「イレブンの中、気持ちイイぜ。」
「カミュの…あついよ…。あついのいっぱいでてる…。」

イレブンの腹にそうっと触れると、ビクっと震えた。
「あぁん!だめ!…びんかんだから…。今の、すごくゾクゾクする…。」
目は気持ちが良いと訴えているので、言葉に構わず優しくさする。するとまたビクビクを震わせてイく時とは違う甘い甘い声をこぼしている。
「ん、あん…ッ…カミュ、だめ…きもちいいよぅ…。」
「もっと気持ちよくなれよ。」
「ん、んん、ッ」

腰も動かしていないし、中のイイ場所を押し込んでいるわけでもないのに、
イレブンはビクビクと震えて感じている。
愛撫をやめると、息を整えたイレブンが何だかちょっと不満げに見つめてきた。

「カミュ、なんかいつもと違う?」
「嫌か?」
「やじゃないけど…どうしたの?」
「愛妻家になる練習ってとこ。」
もう一度腹を撫でる。
「…んっ…!!その触り方はずかしぃよ。」
「触られるだけで気持ちがイイなんて、たくさんイけちゃうな?」
「いじわる…。」
「中、無理させねぇから。」

そう言いつつ、奥を突く。きゅんっと締まった。

「ひゃんッ!!あ、あ…もぅ…」
「ゆっくり楽しもうぜ?」

イレブンは顔を真っ赤にしつつもコクンと頷いた。

この日は最後の最後まで、優しく花嫁を抱いた。







「どうだった?…って野暮な事聞くのは止めようって思ってんだけどよ。」
「…何時もと違って何か吃驚した。何時ものガツガツじゃなかった。」
「おいおい、俺が野蛮なヤツみたいな言い方すんな。」
「そういうの好きなんでしょ?」
「…まぁ。けど、今日みたいなのも悪くないだろ?」
「うん。腰痛くないんだ。」

イった回数は普段と同じなのだけれど、時間を倍くらいかけたので、
激しい時間というよりは、優しい時間だった。

「なんで?」
「何でって何が。」
「何時もと違った理由。…何かあったの?」
「言っただろ、愛妻家の練習だって。お前に無理させねぇようにってのは、考えてない訳じゃねぇんだぜ?」
「…しないっていう選択肢はないんだ。」

そう言いつつそっと身を寄せるので、満更でもなかったらしい。

「自然に愛妻家っていってるけど、僕が奥さんってこと?」
「ドレス着てたやつが何言ってんだ。」
「君の奥さん…違和感しかない。」
「そうか?」
「けど、嫌じゃないよ。」

チュっと鎖骨にキスをしてくれる。喜んでいるらしい。

「次は、本番の初夜か。」
「どうせその前に恋人のいっぱいをしたがるんでしょ?」
「まあな。色々準備が必要だしな。指輪とかドレスとか。」
「…やっぱりドレス着るの?」
「あんなすげぇ美人を見た後で、ドレス無し、なんて考えらんねぇんだけど。」

イレブンは自分の姿を碌に見ていないだろう。まぁヴェールを被っていたくらいはわかっただろうが。
「あのドレス、どうしたんだろうな…。とりあえずシルビ」
唇を指で塞がれた。

「初夜に女の人の名前はNGでしょ?」

悪戯に笑っている。

「エッチの途中にほかの女の子の名前呼んだら別れるからね。」

それだけ言いつけて胸にうずくまって眠りにつく。
寝るのが大好きな恋人は10秒も持たずに眠ったらしい。

呼ぶ名前なんか存在しないので心配はないのだけれど、
愛妻家より恐妻家になる未来が見えた気がした。

カミュは花嫁を抱いて眠る。
教会の夢はもう良い。純白のドレスに身を包んだイレブンも居なくていい。


次は現実で見ると誓う。


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