丁度いい運動がございます。
初出:ベッター/2017-11-25

ワンライ



平和だ。

平和の為に戦ったんだ。甘受しよう。
そう思って幾日が経ったことか。

家の手伝い、ご近所さんの手伝い、馬の世話。
家に帰れば母親の美味しい料理があって、
この上ない幸せだった。

「イレブン?」
「何?」
「最近、ちょっと太ったんじゃない?」
「え?」

手伝いだなんだで運動はしているはずだ。
けれど、言われて見ると少し体が重い。
先日であればジャンプで越えられたような川に落ちたりした。
流石にこのままでは、20代でテオじいちゃん体型になってしまう。
あの紫の兵士服の弛みが伸びきってしまう。

「うわぁ…どうしよう。」
「運動でもしたらどうだい?」
「運動かぁ…。走るとか?」
村の中を走り回っているつもりだったが…。
最近はルキも年を取ってきてあまりじゃれてくれない。というか、村人からの結婚しろオーラが怖くて、幼馴染の家にあまり近づいていない。その気がないのに、見せかける勇気も無い。
「(流石に、恋人が別に居るなんて言えないしなぁ…)」

最近会っていない恋人を思う。
きっと彼は今もどこかを旅していて、相変わらず引き締まっていて…。
「(彼に見せられない体で居るわけにはいかないよね。)」
イレブンが何か体を動かそう!と思い立ち、ちょっと家を留守にしようとしたところ。

「おう。」

さっき想像していた姿が現れた。驚く隙もない。
「カミュ?」
「おいおい、なんだよ。久しぶりの再会なわりに、さっぱりした反応じゃねぇか。」
「あーら、カミュ君、よく来たね!」
「お久しぶりです。」

珍しくカミュは一人だった。以前は妹と一緒に来ていたので、何だか変な感じだ。

秘密の恋人は、平然と母親と会話をしている。最近どうしているだの、妹はホムラの里で鍛冶に没頭している、だの。
「ちょっと聞いておくれよ。イレブンってば最近」
「あわわわわ、まって、それは僕が言うから!」
「最近?」
「わーわー!だから、」
「最近、太っちゃってね。」
「太った?」

恋人には隠しておきたかったのに平然と言われてしまった。
まぁ旅の相棒という認識の母親からしてみれば、別になんてことないのだろう。
「家のことを手伝ってくれるからありがたいんだけど、戦ってた時より運動量落ちてるのに食欲全然落ちないんだから。まぁ食欲なくなっちゃうよりは絶対いいんだけど、太るには若すぎるっていうか…結婚するまでは体型を維持しててほしいというか。ちょっと良い運動とかないかねぇ?」
「まぁちょっと痩せすぎだったし、別にいいんじゃねぇか?っていう気がしないでもねぇけど。けど丁度いい。なぁイレブン、ちょっと討伐でもしにいかねぇか?」
「討伐?」
「ダーハールーネの方の洞窟で、魔物が出てるとかいう噂を聞いてよ。1人でも行けるかとは思ったんだが、折角だし相棒誘おうと思って来たんだ。」
「そうだったんだ。」
「剣の腕はおちてねぇよな?」
「大丈夫…たぶん。」
「はは!リハビリしつつ行こうぜ?っていうのでどうだ?」

母親はこの相棒を信頼しているので、あっさりOKを出してくれた。
かくして久しぶりの二人旅である。
剣を取り、装備を整えて、さっそく出発した。

村を出るところで癖が出る。
「じゃあダーハルーネの洞窟までルーラで」
「おいおい、運動にならねぇだろ?折角だし、ルーラはサマディまでにして、そっから歩こうぜ?」
「…うん。あー…これも太ってる原因なのかな…」
便利過ぎて、ユグノアの祖父のところへ顔出しに行くのもルーラである。
「(今度行くときは手前のネルセンから歩いて行こう…。)」
「どうした?」
「何でもないよ。じゃあサマディね。…ルーラ!」


あっという間にサマディである。空に太陽は一つだ。実に清々しい。

「確か北西だっけ?ダーハルーネ方面の関所。」
「ああ。けど、サマディ寄ってこうぜ?」
「流石にまだ疲れてないよ?」
「まぁオススメの運動があってな。」

そういう恋人の笑顔に、イレブンは嫌な予感がした。

久しぶりの外泊だ。
平和になってから観光客も増えたらしい、市場も宿屋も栄えている。
「シルビアさんは居ないのかな。」
「今は巡業中らしいぜ?」

恋人に手を引かれやってきたのは宿屋だ。…あれ?
「宿屋、二つもあったっけ?」
「新しく出来たんだ。」
「へぇ。」
そんなに混んでいないのに手を引かれるのは恥ずかしい。
しかしカミュは一切気にせず、ずかずかと宿屋へ入る。
お金はカミュが出してくれた。いくら払ったのか解らないけれど、本来の宿よりは割高みたいだった。

カミュに案内されるままに部屋へ行くと。
「…キングサイズ…。」
「暴れても大丈夫だぜ?」
暴れるというのはどういう意味かなんて考える必要もない。
腰をぐっと引き寄せられて、耳にフっと息を吹きかけられる。
「っ!」
「運動不足だって?」
「い、いやなよかんが」

逃げることはもう出来なかった。
太ったはずのイレブンの体は、戦いの後も鍛えつづけたであろう腕に軽く持ち上げられ、キングサイズのベッドへ転がされた。

「運動しようぜ?」

「そ、それは…う、うんどうじゃない…!」
「運動だろ。腰振ったりするだろ?」

ベッドにぬいつけられて、ぬっとりとしたキスをする。
久しぶりの熱に脳が思考を止める。
「ッん…」
「感度は鈍ってなさそうだな。じゃ、さっそく、そのお太りになった白いワガママボディを見せてもらおうじゃねぇか。」
「わがまま…!?」

鼻歌を歌いつつ、あっさりと脱がされた。久しぶりとは思えない。

「…脱がすの早い…」
「浮気も何もしてねぇからな?イシの村行く間、ずっとイメージトレーニングしてた。」
「もう…。」

白昼の、しかも砂漠の国の明るい太陽に白い肌が晒される。
カミュは脇腹をプニっと抓む。
「前からこんな感じじゃなかったか?」
「少し太ったよ。」
「あとは、顔か?丸くなると、女顔から童顔になっちまうな。」
「ならない!」

頬をぷにぷにと弄られる。
「もちもち…」
「やめて。」
「よし、始めよう。」

カミュは手持ちからオイルを持ち出す。そして、イレブンに馬乗りになったまま服を脱ぐ。案の定バキバキだ。イレブンは自分の腹を見比べて少しため息をつく。
「…だよねぇ。だから君には知られたくなかったのに。」
「どうした?」
「旅し続けてる君と比べたら、この太った体がみっともないよ。」
「今から絞って行こうぜ。」
「はぁ…ッひゃん!」
秘部にプすりと指が入る。
「や、やだ…んー…」
「相変わらず良い締め付けだな。やべぇ興奮してきた。いや、最初からしてたけど。」
ぬっちゃぬっちゃと音が立つ。
イレブンは久しぶりとはいえ、今までの行為を思い出し、しかも久しぶりの恋人との逢瀬に興奮しない訳もなく、息を殺しながらゆっくり溶けていく。

「はぁ…かみゅ。」
「俺の指気持ちがいい?」
「ん…。」
「満足?指だけでいい?」
「…やだ…」

イレブンはカミュの股を指し、暗示する。
「淫乱。」
「んやだぁ…だって…」
「解ってる。…久しぶりだから少し心配してたけど…俺のこと求めてくれて嬉しいぜ?」
チュッと何度も軽いキスをする。
「なぁ。」
「なに…?」
「お前…結婚すんのか?」
「…それ、気になってた?」
「まぁ…。」
イレブンも母親が口にした言葉を気にしては居た。
「僕はその気ないから。安心して?」
「…良かった。やっぱりあれだな、早めにお前を攫いにいかねぇといけねぇか。」
「攫いになんて…。」
「悪ぃけど、もうちょっと待ってろよ?」
「何時までも待つよ、僕の気持ち変わらないから。…君が迎えに来るまでにやせないとね。」
「そうか、この運動は俺の為か。じゃあ頑張らねぇとな。イレブン。」
「何?」
「愛してるぜ。…最近言ってなかったから。」
「…うん。ありがとう。僕も…」
唇に齧り付き貪るようなキスをする。舌を絡めて咥内を巡らせる。イレブンの腕が久しぶりにカミュの頭を掴んで、もっともっととねだって来る。
晒されている互いの体が僅かに触れるだけでもビクンと興奮し、より愛おしくなる。

「かみゅ…」
「たまんねぇ。入れていい?」
「ん…。」

イレブンが律儀にも自分の膝を抱えて秘部をみせてくれるので、そこへギンギンに育ったペニスをグリグリとこすりつけたのだが、はたと気づく。
「これだと、腰ふるの俺だよな。」
「…え?」

カミュはちゅっとイレブンの額にキスをしてやり、腰を出して体位を変える。
「騎乗位なら腰ふるのお前だよな?腰が絞れるんじゃねぇか?」
「…こんなに明るい時間から…?」
「久しぶりなんだから、よく見せろよ。」

イレブンはカミュの腰の上で屈む。本当は自分で入れるように命令したいところだったが、久しぶりで機嫌を損ねるのもどうかと思ったし、正直触られたら爆発するのではないか位興奮していた。
「広げて。俺が入れてやるから。」
「ん…。」
指示通り双丘を両手でつかみ開く。イレブンがゆっくり腰を下ろすので、秘部にペニスを当ててやると、ぬぷりと亀頭が収まった。
「ッあ」
「ゆっくり腰下ろせよ?」
ゆっくりと挿入し、そしてぐぷりとカミュのペニス全てが収まった。

「っあ、あぁ…」
久しぶりの結合にイレブンは意識を手放しかける。そして無意識に腰を振る。
「相変わらずエロいなぁ。」
白くて、すこしぷにっとした腰を振っている。
「んあっ…あぁ…きもちぃよ…」
「奥届いてるな。」
「あ…はぁ…かみゅ…かたくて…」
ぬっちゃぬっちゃとグラインドして、カミュのペニスを秘部でしゃぶり続ける。ぬちゃぬちゃと立つ音がいやらしい。
「このまま一発目搾り取って。」
「んー…むり…。」
「中出されるの好きだろ?」
「すきっ…けど…あぁ…」
無理と言いつつ腰が早まる。グラインドと上下運動を交互にしつつ、咥えたペニスに精子をねだる。
「…昔より巧くなったか?」
「かみゅ…。」

もうカミュの声が聞こえないらしい。無我夢中で腰を振っている。髪が揺れ、口はうっすらと開き、甘い声を漏らし続ける。

「はぁ、はぁ…っあッ…んっ」
「お前もイけそう?」

碌な回答がない。本当に感じているらしい。
カミュは先にイレブンをイかせなければ気が済まない性格だったので、緩慢な動きを制止し、下からガンガン突きあげた。
じゃぽじゃぽと音がするのはあふれ出て止まらない先走りのせいだ。
「やああああッ!!」
最奥を突きあげる細かなピストンにイレブンは背を反らし、羞恥心を失って足を開き、カミュに結合部を見せつけるように手を後ろについて快感を耐えている。
「イけよ。」
「あ、かみゅ、かみゅ…!おく、ごりごりだめ…!だめ!」

腰を掴む男の手を握り、イレブンは雌になる。

「あ、あ、あ、…やぁあああん、あん、っやん、はっ、はっ…あ、」
じゅぽ、じゅぽ、じゅぽ、じゅぽ
「きもち…きもちィ…!!いく…イっちゃうッ…イっちゃうううう!!」

ビクン。

「あっ…」

ぎゅっと口が締まる。カミュはまさしく搾り取られるようにして、中に射精した。

イレブンの意識が明確になるのを待つ。
「はぁ…カミュ…。いきなり…」
「悪ぃ。抑え効かねぇよ。相変わらずエロすぎだろ。」
繋がったままの部分を意識させるようにグンと突くと、あん、と声が漏れる。
「カミュ…ふつーのでしたい…顔みたい…。」
イレブンから珍しいお誘いだったが、カミュはキスをして宥めるだけだ。
「駄目だ。それは最後にしてやるから。」
「さいご…つぎはさいごじゃないの…?」
「次は、こうだろ。」

カミュはつながったまま、イレブンの腰を突き出させて床に立つ。
「!?」
「立ちながらした方が、痩せそうだろ?」
「やだ…これやだぁあ!!」
「そうだったか?前やった時は大興奮だったじゃねぇか。自分から腰突き出してよ。」
「ちがうの…立ってられないの…あんッ!」

すでに腰が下がっている。その様は、本当に自分からペニスを咥えているようにしか見えなくてたまらない。
イレブンに壁に手を付けさせて、カミュは再び腰を振った。
「だめ、だめ、やだ…ふつーのしたいぃ…」
「普通のはちゃんと運動してからな。」




数日後。

「あら、少しやせたかしら。やっぱり運動しないとね。」
多少スッキリした息子の顔をみて母親は嬉しそうにしている。
…正確に言えばげっそりというべきかもしれない。

何と言ってもサマディでたっぷり頂かれたあと、ダーハルーネでもたっぷりされてしまった。

「討伐も無事に済んだし、一石二鳥だったな!」
「…そうだね。」

魔物何かいなかった。強いて言えば溜まりまくった恋人が魔物だ。

「カミュ君、またよろしくね。」
「こちらこそ。」

イレブンには母親の誤解を解く方法は無い。
恋人がにやりと笑うのに苦笑いで返すほかなかった。



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